広島の井野口慧子(いのくち けいこ)さんから、所属する詩と批評「アルケー」№20号(名古屋の中原秀雪氏が編集発行する詩誌)が届けられた。
井野口さんは、詩と絵本の活動や詩集、エッセイ集など多数の著書をお持ちの詩人。(私が30才頃に私信を戴いたりしていた呉市の詩人、故木川陽子さんとかつて二人詩誌「水声」を出されていた)
広島の原爆を、いろいろな関連する絵画などから自身の世界へ取り込み、自身の立ち位置と織りなして静かに詩世界をつくっている。きっちりとした考え方とテーマを持っている人の詩句、表現には圧倒される。
「彷徨う一日に」から第4連を抜粋
生き地獄を見た人々は/生きている限り眠れない/死んでいても眠れない/
神がいるのなら/なぜこんな世界を/見せ続けるのだろう/問いを抱いたままで/
生き絶えた人たち/七十四年前 真っ黒になった赤ん坊を/抱き 赤く焼けただれた/
裸身の母の飛び出したままの目玉/今もキャンバスの中で生き続けて/こちらを見ている
※ヘンリー市川の油絵「黒焦げになった赤ん坊を抱く母親の母子像」
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます