陽だまりの中のなか

前田勉・秋田や詩のことなど思いつくまま、感じたまま・・・。

うぶな詩集『魂(ことば)まえ』

2019-08-01 | 詩関係・その他

      

 詩誌「密造者」同人のうぶなさんの詩集『魂(ことば)まえ』が刊行された。
 うぶなさんの本名は越後谷信義。これまで本名での詩集2冊、詩劇集1冊の著書があり、本人としては今回が4冊目の出版となる。
 独特な世界と言ってしまえば何が独特なのかを書かなければならないが、実はうまく言い表せない。ただ言えるのは、うぶなさんの姿勢は「じぶんをかくのだ。/しぜんからわけあたえられた/じぶんを/どういうふうにことばでばくはつさせるかだ。/」(「咆哮」より)とあるように、自身の姿を、思っている世界観を言葉にするということだ。心の中に”萌えだす”思いが文語体であったり口語体であったり、叫び(注釈付きの叫びを表出)であったり、時としてモゴモゴとした呟きであったりする。うぶなさんの心と脳は”宇宙”という”胎内”を観ながら息づいている。
 なお、発行日3月20日となっているが、著者の跋文月日は5月18日。このことについて「発行日を3月20日にしたことは、亡母ハナの誕生日であったことから、その日は彼岸なので何万年後どこにいてもここに集まろうというオレのはかない願望からでした。」と書いている。「何万年後どこにいてもここに集まろう」というこの願いは重い。
 
 作品を紹介したいが、みな長詩で収められない。著者には申し訳ないが、一部を抜粋する。

 

     「ものいはぬものたちのじゃうねん」


  び ゆうゆうゆうゆうゆうゆうゆうゆうゆうゆうゆうゆうゆうゆう
   ☆☆☆☆☆い!  ※1

    ゆうきゅうのこだまとひびきあい
    ひぐちにむかってまっすぐにそそぎこんでくるもの
    それはことばだ。
    それはものいはぬことによって
    うみもやまもかわもブナもひつじも
    ふるえながらたにぞこをながれる
    わたしもすべてだいしぜんをのみこむひぐちをもった
    ひとつのとうめいなことばである。

    よくわたしはいわにぶつかりひめいをあげるが
    それが とびちる ☆ とおなじねいろであることから
    そのこえをうけとったかぜは
    あおとみどりのこきゅうのなかで
    いつものようにめいそうをはじめる・・・・

  びおうおうおうおうおうおうおうおうおうおうおうおうおうおう    
  ☆☆☆☆ い!  ※2


    ごらん
    わたしとおなじいところからうまれた
    ☆ たちは
    どんなゆめをみるのだろう


  がおうおうおうおうおうおうおうおうおうおうおうおうおうおう
  ☆☆ い!   ※3
  

   (以下略)

      ※1 超新星の爆発の擬語
      ※2 超新星の爆発によりいのちに関わるあらゆる出来事の総称の擬語
      ※3 きょうりゅうとよばれる時代の擬語

 

  著者  うぶな
  出版  書肆えん(秋田市新屋松美町5-6)
  発行日 2019年3月20日


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