『モネ 連作の情景』 Journey to Series Paintings
第6回「美術館・博物館を巡る会」は、快晴微風の1月12日に、22名の方にご参加
いただき、上野の森美術館に於いて『モネ 連作の情景』を鑑賞しました。
日本人にとって、モネは最も人気のある画家の一人でしょう。また、モネ自身も
遥か東方の日本文化に強い興味を持っていたようです。モネは大変多作の人で、
例えば「睡蓮」だけで約300点の作品が残っていると言われています。
今回の展示は、「ルーヴル河岸」「昼食(午餐)」などの作品を除いて、モネの
人生の後半に描かれたものが多数を占めます。
我々の良く知っている作品は、彼の人生の前半に描かれたものが少なくありません。
画家の登竜門である「サロン(官展)」に初めて入選した「カミーユ、緑の衣裳」
(カミーユは早世した糟糠の妻)や「印象、日の出」「散歩、日傘をさす女性」等です。
当時のフランスの「サロン」は、画家を目指す者であれば必ず超えなければならない
大きな壁でした。余談になりますが、先日お亡くなりなった歌手の八代亜紀さんが、
この「サロン」に複数回入選していたことを知り驚嘆した次第です。
一方、標題でもある「連作」は、モネの人生の後半(晩年)に描かれました。
「連作」には定義があり、描く対象と描く視点を限定し、異なった天候や季節、時間の
推移による反射光の変化だけを画面に定着させる手法、作品のことをいいます。
本展示で見ることのできる「連作」は、「積みわら」「ウォータールー橋」(ロンドン
テームズ川)、そして「睡蓮」などです。
印象派の誕生(1874年 第1回印象派展)から150年を向かえる節目の新年に、
モネを従来とは異なる視点で観ることができたのは収穫でした。
次回は、3月27日に「皇居三の丸尚蔵館」にて、開館記念展を鑑賞する予定です。
「皇室のみやび ー受け継ぐ美ー」
皆様には、後日詳しい内容をご案内する予定です。
(記:里見誠二)