生活する中において言わなければならない事や、他の記事で共感したことなどを中心に。今その時の思いを表す。
野党の“青二才”に業煮やし 小沢一郎氏が「檄文」に込めた決意http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/164983/3
■力強い言葉の矛先が民主や維新の“青二才”たちに向かっているのは間違いない。■共産党にはエール送る2015年10月4日日刊ゲンダイ〈政権交代を目指さない野党連携は単なる子どもの遊び〉――生活の党の小沢一郎代表が2日、「政権交代こそ野党連携の最大の目的」と題する談話を発表した。内容は青臭い書生論に固執する主要野党に業を煮やした印象だ。野党のお子ちゃま議員は〈違憲立法を許すならば戦前の昭和史を繰り返す〉と国民の不安を代弁した小沢の「檄文」に瞠目すべきだ。
次の選挙で国民をナメきった安倍政権に目にモノを言わせたいが、その受け皿となり得る政党がない。選挙のたびに戦後最低を更新し続ける投票率が、国民の〈忸怩たる思いの表れ〉と小沢は指摘し、〈野党再編の最大の目的は次の総選挙で政権を取ることにある〉〈この前提を抜きにして、何を言っても始まらない〉と改めて強調した。
来夏の参院選での野党連携に向け、〈最善の策は何か。各党が解党して1つの党をつくることだが、現実的になかなかそこまでいかない。次善の策は(比例代表選を)統一名簿、つまり『オリーブの木構想』で戦うこと〉と提案。既存政党とは別に選挙の届け出政党をつくり、そこに各党の候補者が個人として参加する構想で、そのメリットを〈単なる選挙区調整では自党候補が選挙区から出ないと、どうしても比例区の応援に力が入る。選挙区も比例区も一緒に戦えば、本当の力の結集になる〉と説明した。 力強い言葉の矛先が民主や維新の“青二才”たちに向かっているのは間違いない。民主党は特に保守系が細かな政策の一致にこだわり、野党総結集に二の足を踏む。維新にいたっては「大阪系」と「非大阪系」が分裂。ただでさえ少ない党勢を分散させ、多すぎる野党の数をまた増やすなんて愚の骨頂だ。
よほど腹に据えかねるのだろう。小沢は〈野党連携の政治的な旗印は、「非自公」「反安保法」など主要政策の一致で良い〉〈野党連携実現の肝は、各議員の「自分を捨てる」「自分を殺す」という利他の精神。「オレがオレが」と主張していては大事を成就できない〉と踏み込んだ表現で苦言を呈した。
■共産党にはエール送る
戦争法廃止の国民連合政府で一致する野党との選挙協力を提案した共産党に〈野党共闘に向けた大きな弾み、この決断を高く評価する〉と最大限のエールを送ったのも、政権交代を本気で目指す小沢だからこそ。民主も維新もその他大勢も参院選の候補者擁立すらままならないのに、共産の「衆院小選挙あたり2万票」とされる基礎票“献上”を、みすみすソデにするのはナンセンス。「論外」(民主党の前原誠司元代表)と決めつける前に、「共産党を利用してやる」ぐらいの気概を見せろということだ。 「恒久平和を目指す創価学会を母体とする公明と、憲法改正を党是に掲げる自民。安保法制でも際立ったのは両党のスタンスが百八十度違うこと。その両党が選挙となれば権力維持のため、がっちりスクラムを組む。この『リアリズム』が政権与党の凄みです。まだ共産と他の野党の方が、行政のスリム化、脱原発、福祉の充実など、より多くの一致点を見いだせると思えるほどです」(政治評論家・山口朝雄氏)
2日には原発や安保法制、沖縄など安倍政権の政策に抗議する市民が、東京・日比谷野外音楽堂に結集。約3000席を埋め尽くした参加者は集会後、「野党は共闘!」と訴えながら、デモに繰り出した。今の野党に市民の悲痛な叫びに報いる気持ちがあるのなら、小沢の主張に少しは耳を傾けたらどうか。
「戦争法(安保法制)廃止、国民連合政府樹立」の提案趣旨を小沢一郎氏に説明する、志位和夫氏
http://editor.fem.jp/blog/wp-content/uploads/2015/10/d49e4b27ba7e038ef92a1e2417e8ad9e-1024x566.jpg安倍首相とともにアメリカを訪れている安倍昭恵氏が9月23日、ワシントンで女性の活用について講演し、日本の女性について、「何かあれば一人でも働いていけるという意識が欠けている」などと指摘したとのこと(※上の写真)。日本の女性が社会進出できない原因の一つは、「何かあれば一人でも働いていけるという意識が欠けている」ことだという安倍昭恵氏の指摘は間違っていると思いますので、いくつか昔書いた記事を紹介しておきます。▼2014年4月28日に書いた記事の一部です。ネットカフェで2年半暮らす母親姉妹にチャンスと詰寄るNHKスペシャル女性たちの貧困のパラドクス
昨夜(2014年4月27日)放送されたNHKスペシャル「調査報告 女性たちの貧困~”新たな連鎖”の衝撃~」。以下のデータ群とともに深刻な実態を告発したということでは意味があったと思います。http://editor.fem.jp/blog/wp-content/uploads/2015/10/011.jpghttp://editor.fem.jp/blog/wp-content/uploads/2015/10/021.jpghttp://editor.fem.jp/blog/wp-content/uploads/2015/10/032.jpghttp://editor.fem.jp/blog/wp-content/uploads/2015/10/04.jpg最も深刻だったのは、2年半もの間、ネットカフェで暮らしている母親姉妹のケース。19歳の姉は高校を中退してアルバイトをしていて、14歳の妹は半年以上、中学校にも通えていません。食事は1枚のパンを分け合って食べるなど1日1食。ネットカフェのフリードリンクで空腹を紛らしているのです。14歳の少女の願いは「明日の食事の心配をせず暮らしたい」――こうした深刻な「女性たちの貧困」の実態が告発されたわけですが、これに対する宮本太郎中央大学教授のコメントは、「ピンチをチャンスに」「資格を取るなど努力している女性に未来を感じる」「女性を活用しよう」などというような抽象的な指摘に終始し、結局、番組の結論は自己責任論よりのものだったと思います。こうしたNHKスペシャルのあり方に対して、徳武聡子さん(司法書士、生活保護問題対策全国会議事務局次長)は「NHKはなぜ生活保護のことを伝えないのか~NHKスペシャル「女性たちの貧困」を視て」とブログで批判し、尾藤廣喜さん(弁護士、生活保護問題対策全国会議代表幹事)はツイッターで批判しています。私も同感です。まずもって生活保護で生存権を保障することが必要なのにそのことを一切指摘しなかった番組内容に怒りを覚えますし、その上で、すでにこのブログでも何度も指摘してきましたが、「女性たちの貧困」の根本的な原因には以下のような日本社会の構造上の問題があり、これらの問題を改善する必要があると思います。リンク先のグラフにあるように、「日本で子ども産めば世界最悪の女性賃金差別=男性のわずか39%、OECD30カ国平均の半分」という世界最悪の女性に対する賃金差別が「女性たちの貧困」の根本的な原因のひとつです。http://editor.fem.jp/blog/wp-content/uploads/2015/10/66f26f437d60a7b11aa3c8ba3fdc0046.gifhttp://editor.fem.jp/blog/wp-content/uploads/2015/10/05.gifhttp://editor.fem.jp/blog/wp-content/uploads/2015/10/07.gifhttp://editor.fem.jp/blog/wp-content/uploads/2015/10/06.gif そして、上のグラフ・表にあるように、「日本のひとり親世帯の貧困は世界最悪、生活保護受給は世界最小、子どもの貧困を生み出す日本政府」だから、「女性たちの貧困」は深刻な状況になってしまうし、異常に少ない家族関係支出や世界最低の教育支出、住宅に対する社会支出はイギリスの8分の1しかないなど異常に低い貧困対策関連支出などによって、「女性たちの貧困」も「子どもの貧困連鎖」も「男性たちの貧困」も容易に起きてしまうのです。阿部彩さんが指摘しているように、ヨーロッパの多くの国の貧困問題は失業問題です。仕事がないということが貧困につながっているのです。ところが日本の場合はそうではありません。日本は仕事があって働いているのに貧困というワーキングプア大国なのです。これが日本の大きな特徴です。その上、生活保護改悪によって、福祉のパラドクスで「本当に困っている人」さえ救えずブラック企業を増大させているのです。――以上が、2014年4月28日に書いた記事の一部です。「女性の貧困」「子どもの貧困」は、日本においては女性が働いているのに貧困になるというワーキングプアに問題があり、とりわけ、働けば働くほど貧困に陥るシングルマザーは「何かあれば一人でも働いていけるという意識が欠けている」などという問題ではまったくないのです。
▼2014年12月30日に書いた記事です。
ベビー服や絵本等が国から届くフィンランドと衣食住不足し教育も医療も受けられない日本の子どもの貧困
一昨日放送されたNHKスペシャル「子どもの未来を救え~貧困の連鎖を断ち切るために~」のメモです。(※私が関心を向けたところだけで、全体を通してのメモでないこと御了承を)日本の子どもの6人に1人が貧困
◆日本の子どもの貧困率は16.3%。6人に1人の子ども300万人が貧困状態にあり、先進国の中でも非常に深刻な状況です。年々高まる日本の子どもの貧困率は、直近のOECDの2010年のデータによると、アメリカ、スペイン、イタリアに次ぎ先進国で4番目に高くなっています。OECDによる現在の日本の貧困ラインは、3人世帯で年収211万円未満、1人世帯で年収122万円未満です。これを下回る家庭では、学ぶ・遊ぶ・医療を受けるなど子どもにとって当たり前の生活が難しい状態に置かれています。シングルマザーは8割が働いても働いても貧困
1日の1人あたりの食費は平均329円
2割の家庭は200円未満
◆日本の子どもの貧困の特徴は、家庭という閉ざされた環境の中で見えにくい“見えない貧困”であることです。子どもたちが満足な食事すら取れない状況が広がるなか、山梨県のNPO法人は、食事への支援している子どものいる家庭270世帯に実態調査を実施。この実態調査によると、世帯主の多くが非正規雇用で、平均年収は187万円。1日の1人あたりの食費は平均329円。全国平均の半分です。2割の家庭は200円未満でした。さらに子どもたちの様々な機会が奪われていることも分かりました。「塾や習い事に行かせられない」「遊びに連れて行けない」が44%。「十分な医療を受けさせられない」が23%。「貧困が子どもの健康や精神状態に影響を与えている」は59%。子どもの貧困が、子どもの心の成長や体の成長に悪影響を及ぼしていることが判明。とりわけ、母子家庭が深刻であることが分かりました。例えば派遣社員として働くシングルマザーのケース。月収は8万円で児童扶養手当等の7万円をあわせて生活。幼い2人の子どもの冬服が買えず、家賃も滞り気味。月末には所持金がなくなり、「もう3人で死んじゃおうかなって。そうすれば楽になるんじゃないかと何度も考えたことがある」と話すシングルマザー。◆日本のひとり親世帯の貧困率は54.6%(2012年)、先進20カ国の中で最悪です。とくに母子家庭は年々増え続け、2011年時点で124万世帯(全国母子世帯等調査)。そのうち8割が働いていますが、その多くが貧困状態に置かれているのです。貧困状態に置かれる子どもは「自分は価値のない人間だ」ということが内在化し、自分の肯定感が失われてしまう
◆《阿部彩さんのコメント》経済的な困窮は子どものあらゆる側面に悪影響を及ぼす。学力にも体力にも悪影響を与えますから、貧困状態に置かれる子どもは、「自分は価値のない人間だ」ということが内在化し、自分の肯定感が失われてしまうのです。子どもの貧困問題は女性への世界最悪の賃金差別とつながっている
◆《阿部彩さんのコメント》子どもの貧困問題は、女性の就労の問題ともつながっています。女性は男性と結婚して、男性が主な稼ぎ手で女性はサブの稼ぎ手であるという固定観念からつくられた労働環境というのが、女性が一人で子どもを育てるときには大きな障壁になってしまう。子育てをしながら正社員の職に就くのが非常に難しいというのは、ひとり親世帯だけでなくすべての女性の問題でもありますし、働く世代の単身女性の貧困率が33.33%(2012年)と高く、ましてひとりで子育てもし稼がなければいけないとなると二重三重の困難に立ち向かわなければ行けないということになる。女性はそのうち男性と結婚するだろうという先入観のもとに女性の貧困を政府も社会も見てこなかったのです。貧困当事者が声をあげることが困難な日本社会
◆当事者自身が声をあげにくい。お金がないとは言えない。――そうした日本社会のなかで、心身に不調をきたし病院に運び込まれてようやく経済的な困窮が明らかになるケースが増えています。[救急病院での実態→]この日、救急病院に運び込まれた23歳の女性は、非正規雇用で働いていましたが3カ月前に失業。また衰弱して倒れ運び込まれた20代の女性は2児の母親。厳しい暮らしの中で追い詰められた母親は重い肺炎を引き起こし倒れ現在会話もできない状態で病院に運び込まれたのです。「SOSをもっと早くキャッチしていたらこんなに長く苦しまなくてすんだのに」(病院職員等の声)見えない貧困、届かない公的支援
◆見えない貧困、届かない公的支援――衰弱して病院に運び込まれるなど、あれほど追い詰められないとSOSが見えない日本社会。「助けて」と言えない親子や女性。番組内では、母子世帯への支援、児童扶養手当、就労支援など、最後のセーフティーネットである生活保護など公的支援にきちんとつなげていく必要性が語られると同時に、今年8月、政府が閣議決定した「子どもの貧困対策に関する大綱」や関連法整備に乗り出すなど、国をあげた課題となっていること紹介していましたが、阿部彩さんは、以下のように指摘していました。◆《阿部彩さんのコメント》低所得者への家計支援策が圧倒的に足りない。諸外国においては、公的な住宅を提供していますが、日本は絶対的に足りていないのです。諸外国は、家賃補助や食料費の補助、光熱費の補助などいろいろなメニューをもうけて低所得者の家計を支える支援策を用意しています。日本は低所得者への支援策の拡充が絶対的に必要です。行政には圧倒的な情報量があり、本来は行政がいちばん困窮のサインをキャッチできますが、情報をキャッチするだけでは不十分で、キャッチしても低所得者への支援策が少なすぎることが大問題なのです。社会が支援もしないのに母親を責めてはいけないのです。そして、子どもの貧困対策は長い目でみた投資なのです。子どもの貧困対策を行うことで、子どもは社会で働き、国に税金を納めることができるのです。子どもの貧困への理解促進が必要です。――以上が番組を見ていての私の簡単なメモですが、阿部彩さんが指摘されていた、低所得者への家計支援策が圧倒的に足りないというのと、子どもの貧困問題は女性の就労の問題ともつながっている、という2つの点が大事なのではないかと思いました。番組の中でも紹介されていた、昨年の「子どもの貧困対策法」を受け安倍政権が閣議決定(8/29)した「子どもの貧困大綱」は、「親から子への貧困の連鎖を断ち切る」ことをうたい、「教育支援」「生活支援」「保護者に対する支援」「経済支援」の4分野の課題を掲げてはいるのですが、多くの諸外国で掲げられている貧困率改善の数値目標がないことをはじめ、ほぼ従来の延長線の政策に過ぎず、児童扶養手当の拡充、給付型奨学金の導入、就学援助の拡充、子どもの医療費の窓口負担ゼロなど、阿部彩さんが指摘するところの圧倒的に足りていない「低所得者への家計支援策」の抜本的拡充こそ最も必要なのに盛り込まれていません。最も大事な「低所得者への家計支援策」がない安倍政権の子どもの貧困対策には実効性がないと言わざるをえない上に、逆に、生活保護世帯の学習支援は国庫負担補助を半減させる計画になっています。さらに、厚生労働省は12月26日、生活保護費の住宅扶助と、暖房費の冬季加算を2015年度から引き下げる方針を打ち出しました。昨年の8月から、生活保護の生活扶助は最大で10%削減が強行されていますから、すでに苦しい生活を強いられている生活保護利用者の命を危険にさらすもので、安倍政権は子どもの貧困対策とはまったく逆向きの政策を実際は打っているというのが客観的事実です。それから、子どもの貧困問題は女性の就労の問題ともつながっているという点です。12月26日に総務省が発表した「労働力調査」によると、非正規雇用の労働者数がこの11月に初めて2千万人を超えて過去最高の2,012万人となり、雇用者に占める非正規の比率は38%に達しました。なかでも派遣労働者が増加数・増加率とも最大で男性が6万人増の56万人、女性が13万人増の79万人となっていて、女性の派遣労働者が急増しているのです。今回のNHKスペシャルの中でも、幼い子ども2人を育てながら派遣社員で働くシングルマザーが月収8万円しかなく、「もう3人で死んじゃおうかなって。そうすれば楽になるんじゃないかと何度も考えたことがある」と語っていましたが、阿部彩さんが指摘しているように、女性の劣悪な雇用が女性の貧困をもたらし子どもの貧困につながっていくわけですから、今回の「女性の派遣労働者が急増」→「女性の貧困が急増」→「子どもの貧困が急増」ということにつながっていくということです。そして前年同月比で見ると、非正規労働者が48万人増えた一方、正規労働者は29万人減。正規を減らし非正規に置き換える動きが一層進み、さらに安倍政権は雇用を守るルールを「岩盤規制」と呼んで安倍首相は私のドリルで打ち破るとしています。そして12月28日、自公両党が「生涯派遣・正社員ゼロ」となる労働者派遣法改悪法案を来年の通常国会に提出するよう政府に求める方針を固めています。今回の「労働力調査」で、女性の非正規比率は57.3%と6割近くです。年齢階層別に見ると、15~24歳が50.5%で、65歳以上の74.2%を除けば最も高くなっています。労働者派遣法の改悪は、多くの労働者の貧困をもたらし、とりわけ女性の貧困を増大させ、子どもの貧困を深刻化させるものであり、安倍政権が子どもの貧困対策を真剣に考えるならば、労働者派遣法の改悪は断念すべきです。そして、すでに何度か紹介していますが、「日本で子ども産めば世界最悪の女性賃金差別=男性のわずか39%、OECD30カ国平均の半分」という状況を抜本的に改善する必要があります。http://editor.fem.jp/blog/wp-content/uploads/2015/10/08.jpgそれから、阿部彩さんが指摘していた「子どもの貧困対策は投資だ」という点ですが、OECDの中で子どもの貧困率(2010年データ)が低いベストスリーは、デンマーク3.7%、フィンランド3.9%、ノルウェー5.1%です。日本は15.7%ですから、デンマーク、フィンランドの4倍以上も日本の子どもの貧困率は高いのです(▲上の表参照。内閣府「子ども・若者白書」2014年版)。それで「子どもの貧困対策は投資」と考えて政策を打っているフィンランドの例を以前ブログにアップしていますので最後に紹介しておきます。フィンランドでは、子育ては、親だけの責任ではなく、社会全体の仕事だと考えられています。子どもに平等な教育を提供するのは、親にではなく政府の責任にあると考えられています。ノートや鉛筆など学校で必要なものはすべて教室にそろっています。理解するまで一人ひとりに丁寧に教えていく授業。フィンランドに学習塾はありません。子どもに授業の内容を理解させるのは学校の責任です。フィンランドでは、教育は子どもの可能性を引き出すものと考えられています。家庭の経済状況によって、子どもの未来が閉ざされてしまうことはありません。家庭の経済状況にかかわらず、すべての子どもに平等な教育機会を保証するフィンランド。その背景には社会全体で支え合う国民全体の合意があります。フィンランドの企業の社会保険料負担は日本の2倍です。1991年の不況で、フィンランドの失業率は18.4%に跳ね上がり、財政危機に陥りました。しかし、フィンランド政府は、教育費を増額したのです。財政危機にもかかわらず、教育費を増額したのには次のような裏付けがあったのです。教育が受けられないため、働けない人に対する国の負担は、生活保護など年間1人当たり96万円、生涯で2,230万円もの負担になります。一方、教育を受けて働くことができれば、国に税収が年間1人当たり76万円、生涯で1,770万円の税収を得ることができるのです。教育への投資を最優先することが財政危機を解決することなのです。教育への投資は、将来の経済成長につながり、税収が拡大するのです。教育にかかるコストよりも教育で得られる利益の方が大きく、「平等」と経済の活力というものは相反するものではなく、「教育機会の平等」があってこそ、活力ある社会が生まれるのです。
「これは個人の尊厳、人間の尊厳を求める闘いだ!」
上智大学教授である中野晃一氏が、壇上から参加者に向かって訴えかけると、会場は破れんばかりの拍手と歓声に包まれた。
未明まで吹き荒れていた強風はピタリと止み、心地よい秋晴れの空が広がった2015年10月2日、集会「安倍政権 NO! ☆ 1002大行進 民主主義を取り戻せ!戦争させるな!」が日比谷野外大音楽堂で開催された。
安保法制の強行採決にとどまらず、川内原発1号機の再稼働、沖縄米軍基地、秘密保護法、TPP、消費税増税、社会保障、雇用・労働法制、農業・農協改革、ヘイトスピーチ、教育など、安倍政権が打ち出す政策のすべては国民世論に逆行しており、独裁的で、民主主義を愚弄しているばかりか、憲法も無視している、「戦後最悪の政権」だとして、集会にあつまった参加者は「安倍政権NO!」の声を上げた。
以下、中野氏のスピーチ全文と動画を記載する。
https://www.youtube.com/watch?feature=player_embedded&v=ZFede3A730c#t=2
国会議員は代理人にすぎない! 我々の存在こそが「民主主義」そのものなのだ!
「みなさん、こんばんは。
あまちゃんが終わったときに『あまロス』という言葉が流行りましたが、皆さんの中には『デモロス』になっている方いらっしゃいませんか? 毎週、毎週、木曜日、金曜日と来ていたころは、もううんざりだな、と思っていたかもしれませんが、なくなってくると寂しいと言いますか、物足りないと言うか、そんな思いあったんじゃないでしょうか。
私は先日妻からSEALDsのかっこいいTシャツをもらいまして。そんなにしょんぼりしているように見えたのかなと思ったんですけども。そしたら、本当は本人がかっこいいTシャツを欲しいと思ったら、XLしかサイズが残っていなかったので、くれたようなんですけども。さすがに大学に着ていくのは恥ずかしいので、自宅や近所の酒屋に行くときに着ていますけども、見かけたらそっとしておいて下さい。
なんでここのところ、デモに行って、それが皆怒って来ているんだけど、ある種の喜びというか、嬉しさがあったのか、そのことについてちょっと考えてみたいんです。それは、やはり私達一人ひとり個人として、声を上げる場を、SEALDsや総掛かりが、そして今日のようにいろんな運動体から支えてくれた人たちが作ってくれた。それに対する感謝の思い、嬉しさというのがあったんだと思います。そのこと自体が、『デモなんかやっても無駄だ』という冷笑するような人たちに対しての答えになっているんだと思うんですね。
私たちは一人ひとり自分で考えて、自分で動いて、そして、国会前やいろんな場所で会って、もっと強くなった。それだけで、凄いことだと思います。
ただ、これだけではありません。
国会の議事堂の中というのは、英語で言うと、”REPRESENTATION”と言いますが、『議会制民主主義』、あるいは『代表選任主義』ということになっています。ところが、この”REPRESENT”という言葉は、英語で”RE”という言葉、『再び』という意味の言葉と、”PRESENT”、これは『目の前にある』という意味なんですね。“PRESENT”というのは『目の前に存在する』ということなんです。
ですから、”REPRESENTATION”といったら、これは『再現する』の意味でありまして。言ってみれば、代表選任主義というのは、民主主義を再現しようとしているものに本当はすぎないわけです。
ところが、我々の代表、言ってしまえば代理人に過ぎない人たちが、暴走して勝手なことをした。その時、主権者である私たちが立ち上がって、民主主義そのものになる。まさに『民主主義って何だ?』『これだ!』そのことなんです。
今日ここにあるのが民主主義であって、国会の中で行われるのは、再現しているものに過ぎない。その再現に失敗した連中は追い出すしかない」
オキュパイ運動の「その後」を見よ! バーニー・サンダース候補の押し上げに結実しているではないか!
「もうひとつ、こうやってみんなで集まることに意味があります。よく言われた事なんですけれども、4年前ですか。原発事故があって、その後から日本でも脱原発の運動が始まっていって、今、ここまでの大きな流れになってきているわけですが。アメリカでも4年前の秋にオキュパイ運動というのがありました。皆さん、ご記憶だと思います。
あれは、その後どうなったんだ。あんなに集まったのに、意味が無かったんじゃないかと冷笑する人もいます。もっと勉強しろと言ってやってください。
なぜか。
今、ヒラリー・クリントンに差をつけるほどのリードを取る勢いで、民主党の候補として、大統領選で頑張っているバーニー・サンダースというアメリカでは極めて珍しい、社会主義者を自称する候補者がいます。その人を支えているのはまさにオキュパイ運動で集まった人たちだったんです。
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何かというと、私たちがこうやって集まって、国会前で最後の方になって、『賛成議員を落選させよう』、そして野党を応援していった。そこに共産党の志位委員長が早速応えた。そして、今ようやく議論が始まっている。
道のりは遠いかもしれないけれども、私たちの代理人の尻を叩くことによって、我々の言うことを聞く、そういう代理人を国会議員に送り出すことができる。アメリカで今起きているということは、そういう可能性をうかがわせるものです。
仮にサンダースが勝たなくったって、ワシントンで行われる議論が大きく変わっていく。そうやって、我々は主権者である限り、私たちの民主主義を守り、育んでいくのではないでしょうか。
安倍政権にいちいち反対しているのではない。どんなイシューにも共通する国家の暴走にNO! と言っているのだ
「私たちは、じゃあなんで安倍政権にNOと言っているのか。これは安倍政権がやることにいちいち反対したくて反対しているわけではありません。
なぜか。
それは、安倍政権がやっていることにひとつの共通点が、どんなイシューを見てもあるからです。今日のこの運動を支えているグループの様々な活動。それぞれは一つ一つのイシューかもしれない。
しかし、脱原発、安保法制への反対、憲法を守る運動、特定秘密保護法に反対する、TPPに反対する、消費税増税、あるいは社会保障、そして、雇用労働法制、沖縄米軍基地、農業・農協改革、ヘイトスピーチ、教育問題。さまざまですが、共通しているのは、安倍政権が国家の暴走によって、我々を踏みにじり、我々を屈服させようとしていることに対して、私たちは非暴力で不服従の運動に立ち上がっているということです」
個々人の命と尊厳を守るための闘いだ! 野党にも踏み絵を踏ませよう! どっちにつくんだ!?
「それでは、私たちの旗頭はなにか。
私は、これは個人の尊厳、人間の尊厳を求める闘いだと思います。
辺野古で海上保安庁が人々をけ散らかすとき、あるいは国会前で警察が過剰規制をするとき、そういうときに私たちは国家権力の暴走を目の当たりにするわけですが。それにとどまらず、教育問題にしても、TPPにしても。
いったいどこを見て政治をしているんだ。
私たちの生活、私たちのちっぽけかもしれない、しかし尊い命。その尊厳を守るための闘いだ、というふうに私は考えています。野党の共闘にも、ぜひその踏み絵を踏ませようじゃありませんか。
どっち側に着くんだ?
国家権力の暴走に組みするのか?
それとも個人の尊厳を守る私たち個々人の連帯の側に来るのか?
はっきりさせようじゃありませんか。
それまで、私たちはどんなに踏みにじられても、必ず立ち上がる。人間の尊厳を守る闘いに負けるわけにはいかないからです。
若い人たちが立ち上がって、私たちに勇気をくれた。高齢者の方たちも、頑張って来てくださっている。そして、ここには来れないけれども、本当は来たくてしょうがない人たちが、たくさん、たくさん、私たちの背後にはいる。
一緒に安倍政権を叩き出し、そして、個人の尊厳を守り育んでいく政治のために、頑張ろうじゃありませんか。ありがとうございました」
難民問題をどう思うかって質問されてるのに、「人口問題として申し上げれば・・・」ってアホじゃねえ?
(くろねこの短語)2015年10月 1日
ペテン総理の国連演説をさも意義あるかのごとく報道するメディアがあるけど、その実態ってのはけっこうお寒いものがある。なんてったって演説会場はガラガラで、これが日本のトップに対する世界の認識なんだね。でも、そんな閑古鳥が鳴く会場の写真を流すようなメディアはどこにもない。それどころか、「積極的平和主義を強調」とか「常任理事国入りに意気込み」とか、提灯記事のオンパレード。 元外交官の孫崎享氏が「安倍さんの演説はやりたいことを並べてるだけ。それを実現するための政策や客観的情報分析が欠けている」ってラジオで言っていたけど、おっしゃる通りなんだね。「新3本の矢」なんてのも同じで、GDP600兆円なんてのは名目経済成長率3%が前提になっているけど、これって夢のまた夢どころか、ほとんどお伽噺の世界ってのは経済の専門家なら誰もがわかっていることだ。つまり、なんの根拠もないことを垂れ流しているわけで、国連でも空虚なひとり芝居をしてくれたってわけです。
・第70回国連総会における安倍総理大臣一般討論演説
http://www.mofa.go.jp/mofaj/fp/unp_a/page4_001404.html さらに、演説後の記者会見では、質問に答えないで勝手なことをペラペラってのまで披露してくれちゃいました。外国人記者が「シリア難民問題への追加の経済的支援を表明したが、難民の一部を日本に受け入れることは考えていないか?」と質問したのに、ペテン総理はといえばこんな答えで悦に入ってる始末だ。
「そして今回の難民に対する対応の問題であります。これはまさに国際社会で連携して取り組まなければならない課題であろうと思います。人口問題として申し上げれば、我々は移民を受け入れる前に、女性の活躍であり、高齢者の活躍であり、出生率を上げていくにはまだまだ打つべき手があるということでもあります。同時に、この難民の問題においては、日本は日本としての責任を果たしていきたいと考えております。それはまさに難民を生み出す土壌そのものを変えていくために、日本としては貢献をしていきたいと考えております」 難民問題がいつのまにか人口問題になっちゃうんだから、頭のネジがとことん緩んじゃってるんだね。記者の質問にまともに答えられないで、常任理事国入りもへったくれもありません。
・安倍首相「難民受け入れは?」と問われ「女性の活躍、高齢者の活躍が先」
http://www.huffingtonpost.jp/2015/09/30/abe-refugee_n_8219324.html それはともかく、せっかくニューヨークまで行って、オバマと会うことすらできないという寂しい状況が、ペテン総理が世界からどんな風に見られているかをすべて物語っているんだね。プーチンのことを「ウラジミール」なんて一人称で呼んじゃって、いまアメリカとロシアがどんな関係にあるかをまったく理解してませんからね。これじゃあ、オバマだって会っちゃくれません。 豚もおだてりゃ木に登るって言うけど、木に登った豚を引き摺り下ろすのは並大抵ではないと痛感する今日この頃なのだ。
大モメになっている「維新の党」の分裂騒動。その原因はカネだ。
橋下徹大阪市長ら“大阪組”は1日、国政新党「おおさか維新の会」を結成すると表明。政党交付金を半分受け取ることができる「分党」の形を求めている。だが、自ら党を割る形で出ていって、「カネを半分よこせ」とは虫がよすぎるのではないか。松野頼久代表は難色を示しており、収拾がつかない状態だ。
残留組が大阪組にカネを渡したくないのには理由があるという。大阪組で前国対委員長の馬場伸幸衆院議員の金遣いの荒さが大問題になっているのだ。なんと毎月300万円もの党のカネを使って、連日連夜、飲めや歌えやのドンチャン騒ぎをしていたという。このことは、さすがに橋下の耳にも入って、カンカンになっているようだ。
「馬場さんの遊びっぷりは有名でした。党の内規で国対委員長が使えるカネは毎月70万円まで。しかし、250万~300万円も支出していた。仲間やメディアを引き連れ、銀座や赤坂などの高級店で遊び回っていたようです。いまどき自民党の大物政治家でもこんなカネ遣いはしませんよ」(永田町関係者)
■大阪都構想には党費6億5000万円
それにしても、毎月300万円だとしたら、年間3600万円。一般サラリーマンの年収の7、8倍ものカネを使って、飲み食いしていたのだから呆れるほかない。なぜ、こんなに使ってしまったのか。馬場氏の事務所はこう説明する。
「そんなには使っていません。だいたい月100万円くらいだと思います。ただ、党に領収書を渡しており、証明できるモノがないので、具体的な数字はわかりませんが……」
どうやら、どのくらい使ったかわからないほど散財していたらしい。異常な金銭感覚だ。維新に詳しい政界関係者がこう言う。
「維新の党は、ただでさえ大阪都構想のために、党のカネを6億5000万円も使っています。勝手に出ていく人たちに、なぜ、政党交付金の半分を渡さないといけないのか。さすがに、党本部もこれはのめないでしょう」
政党助成金で飲み食いしておきながら、橋下新党が「身を切る改革」を掲げるとはブラックジョークだ。
【WJ特別寄稿】「第二自民党の旗揚げ」でしかない「おおさか維新」立ち上げ会見 〜離党という名の「敵前逃亡」!安倍政権の“下僕”(補完勢力)を買って出た橋下徹氏(ジャーナリスト・横田一)
2015年10月1日18時、大阪市北区のリーガロイヤルホテル。国政新党「おおさか維新の会」結成の記者会見で、大阪維新の会の橋下徹代表と松井一郎幹事長は、袂を分かつことになった「維新の党」を徹底批判した。
「維新の党といろいろありまして…」と切り出した橋下氏は、「偽者の維新になってしまいましたから、本物の維新を作る必要があります」と強調。「徹底した改革をおこなっていく」「国会議員を集めにかかりますので、維新の党の国会議員とは激しい政治闘争になるかと思います」と宣言したのだ。
まさに“橋下節全開”という感じで、メディアが垂れ流す“政治ショー”としての出来栄えはまずまずだったが、私の目には、「本物の維新」と胸を張る橋下氏らのこの離党劇は「官邸との合作シナリオによる茶番劇」「第二自民党(官邸別動隊)の旗揚げ会見」にしか映らなった。党代表選挙をめぐる一連の経過を振り返ると、こんな素朴な疑問が湧いてくるのだ。
「偽者の維新」になったというのなら、代表選挙(10月1日告示・11月1日投開票)で「本物の維新を作る」ことを掲げる大阪系候補を擁立し、松野頼久代表を引きずり降ろせば良かったのではないか——。
代表選挙を巡っては、維新大阪系が再三にわたって松野執行部に注文をつけて変更を繰り返した。最初は「国会議員1人1票に対し地方議員5人で1票」という案で内定していたが、大阪系が「同等にすべき」と主張、執行部は受け入れた。これで決定かと思いきや、今度は「党員にも一票を与えよう」という新提案が浮上、これも執行部が了承した。橋下徹市長(最高顧問)ら大阪系の意向を尊重して、次から次へと繰り出す注文を受け入れて、初めての試みとなる代表選挙が実現されようとした直前に、あれこれ注文をつけた大阪系が出て行ってしまったのだ。
山形市長選を取材していた9月上旬、私は永田町ウォッチャーからこんな情報を耳にしていた。「代表選は当初、地方議員や党員が関西地区に多いため、『大阪系が候補者を擁立すれば、大阪系の勝利は確実』と見られていたが、非大阪系が党員集めを精力的に行った結果、形勢が逆転した。それで、松井一郎府知事(維新顧問)と橋下市長(維新最高顧問)が離党を決断したと見られている」。
自分たちが有利なはずだから党内で代表選挙を行おうともくろみ、実際には関西が不利になり、前述のように一票の価値をあれこれ変更するように強引に要求を通し、それでもなお、自分たちの形勢不利が変わらないとわかったため、離党することを決断したわけである。
ちなみに代表選挙に投票可能な党員募集の期限は8月末だったが、橋下・松井の両氏が離党表明をしたのは同時期の8月27日。しかも、その2日前の25日夜、松井知事は菅義偉官房長官と東京都内で会食をし、密談をしている。
8月26日付の産経新聞は、「参院で審議中の安全保障関連法案や11月22日投開票の大阪市長・府知事のダブル選などをめぐり意見交換したとみられる」と報じたが、永田町ウォッチャーは「この時に維新の党の代表選挙の票読みをして、『代表選で大阪系候補を擁立しても勝利はおぼつかない』と松井氏は判断、離党に踏み切ったと考えられる」とみていた。
この見方を裏付けるのが、9月28日付産経新聞の記事だ。「維新分裂『壊し屋』見え隠れ 小沢氏、代表選で松野氏援護」と銘打った記事の中で、大阪系が代表選を制する狙いで党員票と議員票の格差を同等にしたことや、党員数が約8千人から5万人以上に増えたことを紹介した上で、「橋下氏は代表選で大阪系が負ける前に先手を打つ形で党を割った」(維新関係者)という決定的なコメントが載っていたのだ。
この記事では、維新の代表選挙にあたかも小沢氏個人が介入して、画策しているかのように書かれており、主題がズレているが、重要なポイントは「橋下氏が代表選挙に負けるとわかって離党を決意した」という、この部分である。
前出の永田町ウォッチャーはこう分析する。
「産経新聞の記事は、『党員数増加に小沢一郎氏が関わっていた』と強調することで、『大阪系(新党組)の“敵前逃亡”を覆い隠す』魂胆がありありと見てとれます。大阪系は自らの主導で『代表選党員一票制』を決めておきながら、党員集めの努力を怠って非大阪系(東京組)に追い抜かれたことに気が付くと、白旗を上げるかわりに、悪態をついて維新の党から出て行ってしまった。大阪系は『間抜けで姑息な人たち』と言いようがない。
たとえ党員集めでも後れを取ったとしても、代表選で大阪系候補者を擁立し、『松野代表ら現執行部は偽物。本物の維新を取り戻す』といった政策論争を仕掛け、政治家として堂々と勝負することをしなかったのです。大阪系は『非大阪系の党員票を切り崩すことを諦めた』ともいえますが、それほど橋下氏の人気(影響力)は低下してしまったことを物語るものでもあります」。
大阪以外での橋下氏の人気、人望の暴落は、たび重なる虚偽・有言不実行の果てに多くの有権者が愛想を尽かしたのであり、本人のせいであって、誰のせいでもない。
自民党に接近した橋下氏の変節
「維新の党が政権を取るのではないか」と予測されるほど橋下人気が急上昇したのは、「大飯原発再稼働をゴリ押ししようとする野田政権を倒す」と倒閣宣言をしたのが発端だった。この時、戦う相手は原発再稼働を推進する勢力であって、橋下氏は脱原発派の一部からは、「頼もしい助っ人」のように映っていた。
同時に、民主党の野代政権に立ち向かうことで、自民でもない、民主でもない、「第三極」の代表であるかのようにふるまうことができた。
元改革派経産官僚の古賀茂明氏や環境エネルギー政策研究所の飯田哲也所長や河合弘之弁護士らがメンバーの「大阪府市エネルギー戦略会議」を立ち上げ、原発再稼働なしでの節電計画を作るなどして“原子力ムラ”の総本山の経産省と渡り合い、政権批判も繰り返した。
この頃は「大阪から日本を変える」というキャッチフレーズが説得力を有し、当時、旗揚げをした維新の党は、政権与党の民主党や野党の自民党をも上回る支持を集めた。
しかし橋下氏はその後、一転して再稼働容認に転じ、原発問題を口にしないようになった。その一方で、安倍晋三首相や菅官房長官との接触を繰り返しながら、自民党との距離感を縮めていった。「大阪系は第二自民党(官邸別動隊)」と囁かれるようになったのはこのためだ。
去年7月の滋賀県知事選で橋下氏は、元経産官僚で自公推薦の小鑓隆史候補を応援した。大飯原発再稼働に共に反対した嘉田由紀子・前滋賀県知事から「小鑓候補は原発推進」と忠告されたが、橋下氏は「都構想でお世話になっている菅さんに頼まれた」と言って応援演説を止めることはしなかった。「橋下氏は大阪市民の命と安全を守ることよりも、安倍政権との関係を優先した」と批判されたのはこのためである。
「国民の奴隷(公僕)」にはならないが、「安倍政権の下僕(補完勢力)」は買って出る橋下氏
大阪系が“離党騒動”を起こした8月下旬は、安保法制の参院審議が山場を迎えようとしていた時期だった。安倍政権は、衆院の強行採決で支持率低下を招いた事態を回避しようと、維新との与党協議をまとめようとしていた。「合意にまで至らなくても委員会採決には出席してもらい、強行採決の印象を和らげる」という狙いは明らかだった。
しかし自民党の“維新工作”も同時期にピタリと止まった。衆院段階では合意に至らなかったものの、参院審議に入ったばかりの頃は、維新独自案(対案)の早期提出を呼びかけ、与党協議再開にも意欲的だった。
これを受けて維新は8月20日に8本の対案うち5本を提出、与党協議も28日に再開したが、その直前の27日になると、高村正彦副総裁は「(維新との)話し合いには真摯に対応するが、維新が一本にまとまってくれるか慎重に見ないといけない」と述べ、一転して消極的な姿勢となった。
「この時まで安倍政権は、修正協議で参院での強行採決は回避したいと考えていた。しかし維新分裂が決定的となり、執行部が政権対決姿勢を強めることが確実になったため、自民党の思惑が外れて方針変更を余儀なくされた」(永田町ウォッチャー)。
安倍政権の“維新工作頓挫”は、党内闘争で大阪系が執行部に敗北したことを意味する。山形市長選の野党系候補を支援した柿沢未途幹事長(当時)辞任を強く求めた松井一郎・大阪府知事(維新顧問)は、25日に菅義偉官房長官と面談。この頃、後任幹事長として大阪系の馬場伸幸国対委員長の名前も挙がっており、安保法制の修正協議を左右する幹事長ポスト争奪戦の様相を呈していた。与党補完勢力志向の大阪系が、野党共闘・政権対決姿勢の松野執行部の要職を奪還しようと仕掛けたというわけだ。
ちなみに柿沢幹事長(当時)は、小林節・慶應義塾大学名誉教授から「合憲」の評価を得た独自案作成に尽力した中心人物。今井雅人政調会長(当時。現在は幹事長)や小野次郎安保調査会会長らと共に小林氏に面談、助言を受けつつ独自案を仕上げた。柿沢氏は与党協議でも「独自案のつまみ食いは許さない」と自民党に強い姿勢を示していた。
同じく独自案作成の中心人物である今井氏も、幹事長辞任問題について「安保法制の審議が山場の時にいかがなものか」と疑問視。結局、「党のルール違反をしたわけではない。辞任する必要はない」(松野代表)とする党執行部の意向は固く、「幹事長ポストを奪取して修正協議で安倍政権と妥協する」というシナリオが実現することはなかった。
一連の経過を辿ると、8月29日の橋下氏の新党結成宣言は、「官邸別動隊」「第二自民党(与党補完勢力)」と呼ぶのがぴったりの大阪系がその本性を露呈したものといえる。
本来なら橋下最高顧問は安保法制の参院審議が山場を迎える中で、「与党は維新独自案を丸呑みすべき。違憲法案を強行採決なら安倍政権を打倒する」と執行部を後押しするのが本来の役割であるはずなのに、実際には天下分け目の決戦を前に“御家騒動”を引き起こし、安倍政権から法案根幹部分の修正(違憲法案を合憲法案に変更)を勝ち取ろうとする執行部の足を引っ張った。
「国民の奴隷ではない」(大阪都構想投開票日の会見)と断言した橋下氏だが、「安倍政権の“下僕”(補完勢力)にはなる」と勘繰られても仕方がないだろう。
既に維新の非大阪組の間では分裂を見越した動きも始まっていた。8月24日の区市町村議員団研修会では、すでに橋下氏と袂を分かち、「フォーラム4」を設立した元経産官僚の古賀茂明氏が講演。「『改革はしないが戦争はする自民党』と対決するには、『改革はするが戦争はしない』という第四象限(フォーラム4)の政党が不可欠。維新も民主もこの立場の政党になるといい」「リベラルな政策をはっきりと訴えるといい」と助言した。「安倍政権と対決するのか接近するのか分からない曖昧政党から脱却すれば、非自民党の受け皿になる」という考え方である。
質疑応答では、「橋下氏は安倍政権に接近、『公武合体(幕藩体制の再編強化)』をしようとしている。『維新』を名乗っているのに進む方向が(倒幕の方向性とは)正反対」との批判も飛び出し、古賀氏に賛同する声が相次いだ。
同研修会には現職の落合貴之衆院議員も参加。小野次郎参院議員や川田龍平参院議員や初鹿明鹿衆院議員と共に「フォーラム4」に名を連ねる落合議員は、「こんな法案は憲政史上出てきていない。廃案にすべき」と安保法制を批判。橋下氏の新党結成宣言で、非大阪組の維新が民主党に接近、安保法制反対の野党共闘が進むのは確実。非自民の受け皿作りが一気に加速する可能性が出てきたといえるのだ。(横田一)