言わなければならない事は言わないと前には進まない

生活する中において言わなければならない事や、他の記事で共感したことなどを中心に。今その時の思いを表す。

電力会社と政府の意を忖度し安全を蔑ろにする裁判官たち

2017-04-04 23:30:00 | 言いたいことは何だ

電力会社と政府の意を忖度し安全を蔑ろにする裁判官たち




 大阪高裁が3月28日、高浜原発の稼働を差し止めた大津地裁の仮処分決定を取り消したことに関連して、現代ビジネスが1日、元裁判官の瀬木比呂志氏にインタビューした記事を載せています
      ※  4月2日 大阪高裁 高浜原発稼働の反動的決定(瀬木比呂志氏)
http://yuzawagenpatu.blogspot.jp/2017/04/blog-post_2.html
 
 瀬木・明大学大学院教授は「黒い巨塔 最高裁判所」「ニッポンの裁判」を著わし、そのなかで司法が政治に従属していること、日本の裁判所は最高裁事務総局が牛耳っていること、事務総局は原発訴訟に対して却下・棄却するようにきわめて露骨に誘導していることなどを明らかにしています。
 
 LITERAは3日、大阪高裁の今回の決定が再稼働容認という命題に 予定調和 すべく「原子力規制委の審査に合格した以上安全」、「基準自体が合法性を欠くことを住民側が立証する必要がある」とする決定を行ったことに対して、規制委が原発事故後に制定した審査基準は、海外の基準と比較しても様々に劣るものであって、規制委自身が「合格は安全を保障するものでない」と述べていることを無視しているなどとする記事を載せました。
 そこでは、最高裁事務総局が具体的にどのようにして原発推進の判断が下ろされる体制を整えているかを示すとともに、その結果として原発推進の判断を下した判事たちが、続々と原子力関連企業に天下っている実態を明らかにしました。
 
 それとは別に、しんぶん赤旗が「原発メーカーから原発再稼働審査の規制庁 東芝「天上がり」3人 16年10月」とする記事で、原子炉メーカーである東芝から原子力規制庁へ3人の職員が「天上がり」(=民間から省庁などへ職員が就職・出向していることを報じました。
 
 LITERAの記事に併せて紹介します。
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高浜原発、再稼働判決の裏に裁判所と原発ムラの癒着が! 
電力会社と政府の意を忖度し国民の命と安全を蔑ろにする裁判官たち
LITERA 2017年4月3日
 関西電力高浜原発3、4号機について、3月28日、大阪高裁(山下郁夫裁判長)は大津地裁の命じた運転差し止め仮処分決定を取り消し、関西電力が訴える運転再開を認めた。今年3月の毎日新聞の調査でも、半数以上が原発再稼働に反対する結果が出たが、しかし、これで高浜原発2基の再稼働が可能となってしまったわけだ。
 高浜原発については、これまでいくつかの裁判所によって再稼働差し止めと容認が繰り返されてきた。まず、2015年4月に福井地裁において「新規制基準に適合したとしても安全性は認められない」と再稼働差し止めの仮処分が決定されたが、同年12月には同地裁において、出された仮処分決定を取り消し、再稼働を容認。さらに16年3月、大津地裁が再び運転差し止めの命令を下していた。
 この際、大津地裁の山本善彦裁判長は「関西電力側の主張では安全性確保の説明が尽くされていない」と厳しい言葉で関西電力を批判。運転中の原発が裁判所命令で停止されたのは史上初で、原子力ムラに大きなインパクトを与える決定だった。
 
 だが高裁で一転、再稼働の容認。今回の判断は、大津地裁が危惧した過酷事故対策や、耐震設計の目安となる基準地震動(想定される最大の揺れ)についてなんら考慮されることなく、また「新規性基準は福島原発事故の教訓を踏まえた最新のもので、合理性がある」と福島原発事故後、原子力規制委員会が策定した新規制基準を単に追認したものだ。さらに、山下裁判長は「(電力会社が)新基準に適合することを立証した場合、基準自体が合法性を欠くことを住民側が立証する必要がある」と、新基準を盲信する形で原発の安全性の立証を住民側に押し付け。「周辺環境への放射性物質の異常な放出に至ることはまず想定しがたい」など、福島原発の甚大な事故の教訓を省みるどころか、事故など “なかった” かのような物言いまでしているのだ。
 
 今回の再稼働の許可は、まさに政府、行政、そして電力会社に司法が追随したものであり、“忖度”の末の暴挙といえる。そもそも今回の判断が大きく依拠する新基準にしても、これまで裁判所だけでなく専門家の間でも疑問が呈されてきたものだ。ヨーロッパの基準に比べても、日本の新基準の安全対策は緩く、実際、当の原子力規制委員会でも新基準は「安全審査」ではなく「適合性審査」と位置付けられている。その証拠に2014年7月の新基準発表の会見の際、原子力規制委の田中俊一委員長自身、「基準の適合性は見ていますけれども、安全だということは申し上げません」となんども強調していたほどだ。さらに15年12月の福井地裁判決で再稼働した直後の16年2月には高浜原発4号機の原子炉が緊急停止するトラブルも起こっているのだ。
 
 しかし、山下裁判長の判断は予想の範疇だろう。なぜなら、これまで電力会社や政府が“国策”として目指す再稼働に都合の悪い裁判所や裁判官に対し、最高裁とそれを牛耳る安倍政権は、人事権を発動し、その決定をことごとく覆してきたからだ。
 すでに本サイトでも指摘しているが、15年4月、高浜原発再稼働差し止めの仮処分を決定した福井地裁の樋口英明裁判長(当時)は、その判決を下したのち、名古屋家裁に “左遷” されてしまう。これは懲罰人事であり、今後原発訴訟に関わらせないための追放人事だった。そして、樋口裁判長の後任として福井地裁に赴任してきたのが林潤裁判長だった。林裁判長(当時)は同年12月に高浜原発3、4号機の再稼働差し止めを覆し、事実上、再稼働を決定。さらに、林裁判長は大飯原発についても周辺住民らが求めていた再稼働差し止めの仮処分の申し立てを却下する決定をした。
 
 林裁判長は1997年の最初の赴任地が東京地裁で、2年後に最高裁判所事務総局民事局に異動。その後も宮崎地裁勤務以外、東京・大阪・福岡と都市圏の高裁と地裁の裁判官を歴任している。この最高裁事務総局というのは、裁判所の管理、運営、人事を仕切る部署でエリート中のエリートが集まるところ。林裁判長は人事権を握る事務総局から目をかけられ、将来を約束された最高裁長官さえ狙えるようなエリートだったのだ。さらに、林裁判長と一緒に高浜原発再稼働を認めた左右陪席の2人の裁判官、中村修輔裁判官と山口敦士裁判官もまた最高裁判所事務局での勤務経験があるエリート裁判官だった。そんなエリート裁判官たちが高浜原発のある福井という地方地裁に赴任したことは、異例のこと。つまり、政府や電力会社に都合が悪い決定を下した樋口裁判官を左遷し、代わりに最高裁がお墨付き与えたエリート裁判官たちを原発再稼働容認のために送り込んだのだ。
 
 それだけでなく、裁判所は電力会社や原子力産業とも直接癒着もしている。これまで数多くの電力会社と住民との訴訟において、電力会社に有利な決定を下した裁判官や司法関係者が原発企業に天下りするなど、原発利権にどっぷりと浸かっているからだ。
 その典型的な例を「週刊金曜日」2011年6月3日号でジャーナリストの三宅勝久氏がレポートしている。記事によれば1992年、伊方原発と福島原発設置許可取り消しを求めた裁判で「国の設置許可に違法性はない」と電力会社側に沿った判決を下した味村治氏(故人)が、退官後の98年、原発メーカーでもある東芝の社外監査役に天下りしていたという。
 
 味村氏は東京高検検事長や内閣法制局長官を歴任し、最高裁判事となった人物で、いわば司法のエリート中のエリート。しかも味村氏の「原発は安全」との味村判決が、その後の原発建設ラッシュを後押しする結果となった。原発企業に天下ったのは味村氏だけではない。同じく三宅氏のレポート(「週刊金曜日」2011年10月7日号)でも司法関係者の原発企業天下りが紹介されている。
・野崎幸雄(元名古屋高裁長官) 北海道電力社外監査役
・清水湛(元東京地検検事、広島高裁長官) 東芝社外取締役 
・小杉丈夫(元大阪地裁判事補) 東芝社外取締役 
・筧栄一(元東京高検検事長) 東芝社外監査役・取締役 
・上田操(元大審院判事) 三菱電機監査役 
・村山弘義(元東京高検検事長) 三菱電機社外監査役・取締役 
・田代有嗣(元東京高検検事) 三菱電機社外監査役 
・土肥孝治(元検事総長) 関西電力社外監査役
 
 つまり、政府や電力会社の意向を “忖度” した裁判官たちには天下りというご褒美が与えられる一方、逆に、政府や電力会社にとって不都合な判決を出せば、左遷されてしまうということだ。そのため多くのエリート裁判官たちは、自分が得られる地位や経済的な恩恵のため、そして最高裁人事という “圧力” のもと、曖昧な根拠しか示すことなく再稼働を安易に容認し、国民の命や安全を蔑ろにする。これでは、司法の独立どころか、裁判官や検事までが原発企業の利益共同体、原発ムラの一員と批判されて然るべきだ。
 
 そう考えると今回の高浜原発再稼働を認めた大阪高裁の山下裁判長の決定は、
ある意味当然の結果と言えるのだろう。こうして大阪高裁のお墨付きを得た高浜原発3、4号機は、再稼働に向け現在も着々とその準備を進めている。
 未だ大量の放射性物質を放出し続ける福島第一原発、にもかかわらず進められる避難指示解除と、住民の強制的ともいえる帰還、そして無視され続ける子どもたちの甲状腺がんの実態──。このままでは、第二の福島原発事故が近い将来起こっても決して不思議ではない。(伊勢崎馨)
 
 
原発再稼働審査の規制庁 東芝「天上がり」3人 16年10月
しんぶん赤旗  2017年4月3日
 原子炉メーカーである東芝から、原発再稼働の規制基準の適合審査をする原子力規制庁へ、2016年10月1日時点で3人の職員が「天上(あまあ)がり」していることが分かりました。「天上がり」とは「民間」から省庁など国の機関へ職員が就職・出向することです。
 東芝は巨額損失を抱える一方で、原発再稼働により2016年度からの3年間で33%増、2000億円の売上高を目指しています。原子力規制庁によると、東芝から「天上がり」している3人はいずれも非常勤職員となっています。規制庁人事課の担当者は、「それぞれ専門的な知見を生かして、原子力関係の人材育成や調査研究、技術検査のサポートを担当している」と話します。
 規制庁によると、非常勤職員の契約期間は1年間。任期終了後の再就職先について制限はなく、出身企業に戻ることも可能です。
 
「官民人事交流」 安倍政権が拡大
 「民間」から国へ人材を受け入れるには、非常勤職員による採用のほか、(1)官民交流法にもとづく人事交流(2)任期付き職員(3)任期付き研究員(4)国家公務員への中途採用―などの制度があります。官民交流法は、一定の制限のもとで出身企業の身分を保ったまま5年を上限に公務員として働くことができる制度で、交流期間の終了後は出身企業へ戻ることが前提です。
 第1次安倍内閣は07年5月に「官民人事交流推進会議」を立ち上げ、官民交流の「抜本的拡大」を推進。第2次安倍内閣は14年5月に官民交流法を改定し、官民交流の対象となる民間企業の範囲を拡大しました。
 民間企業からの「天上がり」は、比較可能な統計のある01年には155社422人でした。16年には962社1996人と5倍近くへ急増しています。民間企業と政府の一体化が人事面でも進んでいます。(清水渡)

【違法!】昭恵夫人が自民選挙にも夫人付職員を@リテラ

2017-04-04 20:49:16 | 言いたいことは何だ


違法! 昭恵夫人が自民党の選挙応援に夫人付き職員を随行させていた! 森友口利きサポートに続き、官僚を私物化 2017.4.3



 安倍昭恵夫人に財務省へ掛け合ってもらうべく電話をした籠池泰典・森友学園理事長(当時)の留守電メッセージに対し、総理大臣夫人付の官僚である谷査恵子氏が折り返しの電話を入れ、書面の送付を依頼していた──。先週、新たに判明したこの事実によって、昭恵夫人の「口利き」がさらに明確になったが、ネット上ではまたしても昭恵夫人の問題が浮上した。

 それは、選挙において自民党の応援に昭恵夫人が参加した際、夫人付の職員が随行していたのではないか、という疑惑だ。
 そもそもの発端は、音楽評論家・高橋健太郎氏のツイートだった。高橋氏は昨年7月に行われた参議院選挙で東京都選挙区から出馬した元ビーチバレー日本代表選手・朝日健太郎氏による自由が丘駅前での街頭演説に昭恵夫人が応援で駆け付けたときの写真を精査。高橋氏は〈よく見ると、聴衆の右端に演説は見ないで、何か紙を見ている女性がいるのが分かります。黒い服を着て、大きなバッグを持っています〉とし、さらに同日、新宿三丁目と思われる場所で朝日議員と昭恵夫人が握手している写真で、自由が丘駅前の写真に写っていた黒い服の女性が、昭恵夫人の背後で二人の様子を見守っていることを指摘した。
 黒い服の女性は一体誰なのか──。そう、この女性は、いま現在「内閣総理大臣夫人付」として昭恵夫人をサポートし、谷氏とともに経産省から出向した青田優子氏なのだ。
 実際、昭恵夫人のFacebookの投稿に青田氏はたびたび登場しており、そこには谷氏や青田氏のほかにも、夫人付と思われる女性たちが昭恵夫人を取り囲んで写真を撮っている。
 これは重大な問題だ。なぜなら国家公務員は、国家公務員法において選挙権の行使以外の「政治的行為の制限」が定められており、さらに人事院規則でも〈職員が自ら選んだ又は自己の管理に属する代理人、使用人その他の者を通じて間接に行う場合においても、禁止又は制限される〉とある。つまり、官僚が特定政党の選挙応援を行う昭恵夫人に職務として随行することは、国家公務員法違反にあたるといえるのだ。
 しかも、昭恵夫人付の官僚が選挙応援に随行していた事実は、青田氏のケースだけではない。たとえば夫人付である堀口恵美氏もまた、昨年の参議院選挙で岡山県選挙区から出馬した小野田紀美議員の応援に昭恵夫人が駆け付けた際、昭恵夫人に同行していたことがYouTubeにアップされている動画によって確認されている。さらに、やはり夫人付と思われる女性が、沖縄県選挙区から出馬した島尻安伊子議員の応援のために練り歩く昭恵夫人の後方に写り込んでいる写真が残っているのだ。
 こうした動画や写真によってわかることは、総理大臣夫人として昭恵氏が行ってきた選挙活動の応援に、省庁から出向してきた官僚が職務として付き添うことが常態化していた事実だ。前述したようにこれは国家公務員法違反が疑われると同時に、いかに昭恵氏が自身の「総理大臣夫人」という立場を利用し、血税によって給料が支払われている官僚を“私物化”し、政治的中立を逸脱した職務を遂行させてきたのかという問題でもある。
 だが、次々とあきらかになる昭恵夫人に絡んだ問題に対して、あいかわらず安倍政権は逃げてばかりだ。この選挙応援で職員を随行させていた問題は、本日行われた参院決算行政委員会で福島瑞穂議員が取り上げたが、土生栄二内閣審議官は「政府としては確認できないし、お答えできる立場でもない」「総理夫人の私的な活動や政治的活動をサポートしているわけではなく、公務遂行補助のための活動にかんする連絡調整の必要性から職員は同行している」などと答弁。これに対し、福島議員は「安倍昭恵さんは私的な行為と公的な行為をぐちゃぐちゃにしている」「そこのけそこのけ安倍夫妻が通ると、なんでも許容されると思ったら大間違いだ」と批判したが、その通りだろう。
 これは森友学園問題でも同様だ。夫人付だった谷氏は籠池泰典理事長とやりとりをしていた際、「内閣総理大臣官邸」という封筒を使い、「夫人付 谷査恵子」と記載していたことが発覚している。昭恵夫人の指示によって「公務」として秘書官が森友学園のために財務省に掛け合っていた事実は、もはや“谷氏の個人的な活動”などと言えるはずがない。
 先月末に官邸前で行われた安倍政権に反対する抗議行動では、昭恵夫人に対して「祈るな、出てこい」という怒りのコールが巻き起こった。安倍首相は妻を隠し続ける腹づもりなのだろうが、昭恵夫人の証人喚問が行われなければ、独裁夫婦がこの国を私物化していることの何よりの証拠となるだろう。

編集部

この記者会見はすごいよ。今村復興大臣のキレっぷりもすごいしひどいものだが、突っ込む記者が素晴らしい。久々に「記者魂」を見た。→ 自主避難は「自己責任」~復興大臣明言

2017-04-04 20:43:35 | 言いたいことは何だ


この記者会見はすごいよ。今村復興大臣のキレっぷりもすごいしひどいものだが、突っ込む記者が素晴らしい。久々に「記者魂」を見た。→ 自主避難は「自己責任」~復興大臣明言







   自主避難は「自己責任」~復興大臣明言
    
    不穏当な発言は06:00からだね






  1時間1時間前
その他


でも、まあ、こうなってくると、そろそろではありますね。森友事件は、思いの外、効いてたんだなあ。




  1時間1時間前
その他
いや、もうこうなりますとね、〈適切に対応〉なんて段階は、既にして大きく越えている。退陣以外にどんな方法がありますか。もうここまでワケが分かんなくなった内閣は総辞職しかない。⇒復興相が記者に「うるさい」 官房長官 適切に対応を


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                      https://t.co/w5K3sXgxkE






さんがリツイート
  2時間2時間前
その他
冨永 格さんが鈴木 耕をリツイートしました


いろんな所で政権のボロが出始めたか。
冨永 格さんが追加

鈴木 耕 @kou_1970
この記者会見はすごいよ。今村復興大臣のキレっぷりもすごいしひどいものだが、突っ込む記者が素晴らしい。久々に「記者魂」を見た。→ 自主避難は「自己責任」~復興大臣明言 さんから

1000兆円の国債って実はウソ!? スティグリッツ教授の重大提言 マスコミはなぜ無視をしたのだろう…

2017-04-04 18:08:14 | 言いたいことは何だ
1000兆円の国債って実はウソ!? スティグリッツ教授の重大提言 マスコミはなぜ無視をしたのだろう


2017.04.02 ドクターZ 週刊現代  


政府と中央銀行を統合

ノーベル経済学賞受賞者でコロンビア大学教授のスティグリッツ氏が来日し、経済財政諮問会議で、財政政策による構造改革を進めるべきだと提言した。

そのなかでスティグリッツ氏は、政府や日銀が保有する国債を「無効化」することで、政府の債務は「瞬時に減少」し、「不安はいくらか和らぐ」と発言した。

実は彼のこの主張は、日本の財政の真実を明らかにするものだが、具体的になにを意味するのか。

スティグリッツ氏のこの提言には様々な前提がある。まず、「統合政府」とよばれる考え方を押さえておきたい。これは財政や金融問題について、政府と中央銀行を一体のものとして考えることを指す。

たとえば日本の場合、中央銀行である日本銀行は実質的に政府の「子会社」といえる。だから、民間企業でグループ会社の資産も連結決算で考えるのと同じように、政府と日銀の資産は連結してみることができるということだ。

ちなみにこれは「中央銀行の独立性」とは矛盾しない。中央銀行の独立性とは、政府の経済政策目標の範囲内でオペレーションを任されているという意味で、民間でいえばグループ企業が独立して営業する権利を持っているのと同じである。

この統合政府の財政状況を示すバランスシートでは、右側の「負債」はすなわち国債残高を示す。重要なのは左側の「資産」であるが、統合政府の場合この資産に日銀が保有する国債が含まれるのだ。

国の借金1000兆円のウソ

右側の国債残高はおよそ1000兆円、左側の日銀保有国債は約400兆円である。これらを「無効化」すると、国債残高は「瞬時に減少」するとスティグリッツ氏は主張しているのだ。

ちなみに「無効化」とは内閣府が用意した資料の和訳によるもので、筆者は「相殺」と訳すべきだと考えている。というのも、スティグリッツ氏が書いた英文原資料には「Cancelling」とあり、これは会計用語で「相殺」を意味するからだ。国全体の国債と、日銀保有の国債は「相殺」できると考えるとわかりやすい。

たしかに、日銀の保有国債残高に対して、政府は利払いをするが、それは「国庫納付金」として政府に戻ってくるので、利払いのぶん国債が増えることにはならない。

要するに、スティグリッツ氏は「国の借金が1000兆円ある」という主張を鵜呑みにしてはいけないと警告している。

この考え方をさらに進めると、政府の連結資産に含められるのは、日銀だけではない。いわゆる「天下り法人」なども含めると、実に600兆円ほどの資産がある。これらも連結してバランスシート上で「相殺」すると、実質的な国債残高はほぼゼロになる。日本の財務状況は、財務省が言うほど悪くないことがわかる。

スティグリッツ氏は、ほかにも財政再建のために消費税増税を急ぐなとも言っている。彼の主張は、財務省が描く増税へのシナリオにとって非常に都合の悪いものなのだ。

彼の発言は重要な指摘であったが、残念ながら、ほとんどメディアで報道されなかった。経済財政諮問会議の事務局である内閣府が彼の主張をよく理解できず、役所の振り付けで動きがちなメディアが報道できなかったのが実際のところだろう。





菅野完「アッキード事件の核心に迫る“籠池ノート”の中身」@週刊朝日

2017-04-04 17:34:56 | 言いたいことは何だ

菅野完「アッキード事件の核心に迫る“籠池ノート”の中身」





森友学園問題でスクープを連発した菅野完氏(撮影/写真部・長谷川唯)
森友学園問題でスクープを連発した菅野完氏(撮影/写真部・長谷川唯)


週刊朝日 2017.4.4 https://dot.asahi.com/wa/2017040300076.html?page=1


 籠池泰典氏が安倍昭恵夫人付職員に送った手紙はノートのコピーだった。そのノートには政治家や役所に送った記述が大量に残る。その全容を知る著述家の菅野完(すがの・たもつ)氏が「アッキード事件」の核心に迫った。*  *  *
「安倍晋三首相から100万円の寄付を頂戴している」。衝撃的な告白から、森友学園の籠池泰典氏の「運命」は急展開を遂げた。「首相に対する侮辱だ」との理由で開かれた証人喚問。政府・与党からの偽証罪をちらつかせた連日の恫喝。大阪地検特捜部による告発状の受理。そして、大阪府・市による幼稚園と保育園への立ち入り調査……。こうした出来事の全てが、たった10日のうちに、一個人に対して発動されたのだ。もはやこれは「国家権力の総力を挙げた弾圧」としか言いようがないだろう。 国会を大きく揺さぶった谷査恵子首相夫人付きから籠池氏に宛てたfax──。今、私の手元にはこのfaxと「籠池氏からの手紙」の両方がある。 双方とも、証人喚問前後に断続的に実施した、籠池氏へのインタビューの過程で「発掘」したものだ。 正直に告白するが、谷氏からのfaxを書類の山から見つけた瞬間、私はこの文書を「ただの連絡文」と認識し、処理してしまっていた。この文書の1枚目の文面は、社交辞令に終始しているからだ。「あまり意味のない文書だろう」と書類の山に戻そうとした瞬間、2枚目末尾にある「平成28年度での予算措置を行う方向で調整中」との文言が目に飛び込んだ。その時初めて、「これは、行政の業務文書ではないか」と気づいたのだ。 一方の「籠池からの手紙」は、籠池氏が提供してくれたノートの束の中から発見した。籠池氏は古い人間だ。手書きで文書を起案し、そのコピーに押印して手紙を送達するという昭和の時代の文書送達管理手法を、未だに実践している。 従ってノートの束の中には、役所や政治家に送った手紙の「原本」が大量に残されている。その大量の手紙の「原本」の山に、谷氏からのfaxと平仄のあうものは一つしかない。そしてその手紙は自民党の葉梨康弘衆議院議員が公開した手紙と同じものだ。


 だがこの「籠池からの手紙」はいささか読解し難い。なぜなら手紙の内容が、「50年定借として早い時期に買い取るという形に契約変更したい」「学校の用地が半値で借りられたらありがたい」「本来なら平成27年度予算で返ってくるはずの立て替え払いが、予算化されていなかったので早急に予算化してもらいたい」と、手前勝手な要求事項だけを無味乾燥に箇条書きしたものにすぎないからだ。 冒頭の挨拶や自己紹介、依頼内容の概要など、手紙らしい内容は一切ない。ただただ要求内容が羅列されるだけ。「籠池氏が何をしている人か」「なんでこんな手紙を送りつけてきたのか」という予備知識がなければ、到底、理解できるような代物ではない。しかしながら、これに対する返答である谷氏からのfaxは、予備知識のない人間であれば読解不可能なはずの「籠池からの手紙」を見事に読み込み、その要求事項の全てに遺漏なく的確に返答しており、先述のように「工事立替費の次年度での予算化」という「籠池の要求」を完全に満たす回答まである。ここまで円滑なコミュニケーションが成立するためには、「籠池が手紙を送る意図」を、谷氏に「解説」する人物がどうしても必要だ。 籠池氏は証人喚問で「一昨年10月、お願いがあって昭恵夫人に電話し、留守電に残した」と証言している。そしてこのエピソード自体は昭恵夫人本人も、フェイスブックで発表したコメントの中で認めている。ならば、「籠池の意図」を谷氏に「解説」する役割は、昭恵夫人が担当したと解釈するのが自然だろう。つまり昭恵夫人は「籠池の意図」を正確に理解し、その内容を財務省に伝えるよう、自分の秘書である谷査恵子に命じたとしか言いようがないのだ。これでは政治家が行う「陳情処理」や「口利き」と全く同じではないか。 このように「籠池からの手紙」と谷氏からのfaxの両方を並べ読み比べてみれば、「昭恵夫人による土地取引への関与」の実態が、誰の目にも明らかになる。


 参院予算委員会で民進党・福山哲郎議員から「あのfaxを政府はどのようにして入手したのか?」と糾された菅義偉官房長官は、「谷さん本人から入手した。個人で保有していたもので、個人で保管していた以上、行政文書に当たらない」との見解を示した。つまり政府は「公的な資料は全て廃棄したので存在しないが、見つかった資料があるなら、それは私的なものであり、政府は責任を負わない」と答弁しているのだ。あまりにも無茶苦茶ではないか。 このように、政府・与党は相変わらず、苦しい答弁を繰り返しており、空虚な言葉だけが、積み上がっていく。そしてなぜかテレビでは、政府・与党を擁護し続ける「識者」の類いが幅を利かせている。 しかし一度冷静になってもらいたい。 2月中旬に森友問題が明るみに出て以降、政府・与党側から進んでなんらかの資料が公開されたためしは一度もない。国会で答弁に立つ政府委員や閣僚たちは口を揃えて「資料は廃棄した」「そのような資料は存在しない」と言い張る。一方、「百万円の振替票」にせよ、谷氏からのfaxにせよ、「業者と役所の打ち合わせ記録」にせよ、議論の検討材料となる資料はことごとく籠池氏側から提示されたものばかりだ。つまり我々は今、「紙を捨てたと言い張る側が、紙を提出してくる側を『嘘つき』呼ばわりする」という、極めて珍妙な光景を目撃しているのだ。こう考えると、政府の答弁は「苦しい言い訳」としか表現のしようがあるまい。 瑞穂の國記念小學院の設置認可や敷地の国有地払い下げに「私や妻、事務所は一切関わっていない。もし関わっていれば首相も国会議員も辞める」と答弁したのは、安倍首相本人だ。 政府はこの答弁を守るため、嘘に嘘を重ねてきた。そして今や、「個人で保管していた文書である以上、公文書ではない」との苦しい言い訳を繰り出すところまで追い込まれている。あまりにも無理のある答弁を繰り返すことは、国家の危機管理機能や統治機能を根底から毀損する行為だ。たかだか首相一人のプライドを守るために、政府高官たちが嘘に嘘を重ね、国家を溶解させていく姿は見るに忍びない。もうゲームオーバーだろう。首相、いい加減、諦めなさいな。※週刊朝日2017年4月14日号より抜粋