教えられたことは忘れる

職人の世界の修行と言うものは、昔も今も大変なものだと思う。
そんな職人の修行の一端を、「すきばやし次郎」の主人小野二郎さんが教えてくれた。
そこでは、まともに残れるのは１０年に一人か二人という厳しい世界のようです。

◆修業とは教えられるものではない
　親方とか先輩に教えてもらおうと思って入ってくるのは大きな間違いで、自分が上の人のやり方を盗んで勉強し、
　進歩していかなければいけない。
　というのは、教えられたことというものは忘れるんです。
　自分が盗んだものは忘れない。
　会社なんかでも同じだろうと思うんですが、ほいっと教えたことはすぐに忘れちゃいます。
　自分が苦労して苦労して、これを必ず自分のものにしようと思って、やっと盗んだものならば忘れようがありません。

　何事も一番底辺から憶えていかなければ、一人前にはなれません。
　まず十年は辛抱しないとその仕事を本当に芯から憶えていくことは難しい。
　朝が早いから、夜が遅いから嫌だと言っているのは、人間の基礎ができていないという事です。
　一所懸命やって、苦労して少しずつ覚えて行けば、自分が将来店を持つときにきっと楽を出来るんです。

　→なるほど「教えられたことは忘れる」ということなのか。
　　やはり苦労して自分でつかんだり盗んだりするしかないんですね。
　　修行はややもすると、ある種いじめのようにも感じていましたが、そうではなく深く覚えさせるためだったんですね。