おいらは、かってある小売業に奉職していた。
ご存じの方も多いと思うが、小売業は時間の経過とともに店舗が陳腐化し、売上が逓減してしまう。
それを阻止するためにリニューアル投資をするのだが、それは新店投資におけるROI(投資効率)3~4倍に対し、
1~2倍程度しかない、だがそれでも実施しなければじり貧となってしまう。
そして、さらに難しいのが店舗の建て替えだ。
こちらはROIこそ3~4倍が見込めるのだが、既存店の売上や利益を喪失し、
それに解体費用や休業期間を考慮すると、企業全体の損益やキヤッシュフローに対するダメージは極めて大きい。
なので、休業期間を最短にすることが求められ、
そのためには多少のコストアップにも目をつむるのが正しい企業行動なのだ。
そんな当然とも思える行動からかけ離れた計画が漏れてきた。
◆200店舗を越える中での2番店の建て替え計画
かって、4番店の建て替えは、閉店~解体~建築~開店まで9か月間で終えた。
今回の2番店の建て替えは、13か月半だという。
その理由は、建築業の残業規制(週休二日を含む)だという。
待ってくれ、国の法規制を持ち出せば正当化できると思っていないか。
年商40億円、店舗利益4億円の店舗は、1か月工期が伸びるたびに3億円以上の売り上げを失い、
30百万円以上の利益を失うということを理解しているのか。
なぜこういった計画になってしまったのか。
たぶん主管部署が、将来の計画遅延の責任回避のために余裕のあるスケジュールを組んだのだろう。
次いで指摘できるのは、計画の1年前・半年前にやるべきことをやっていないのだろう。
建築基準法・都市計画法・土壌汚染対策法・リサイクル法・大店立地法・確認申請・近隣対策・
業者選定等のいずれかに手落ちがあり、手待ち期間があるのだろう。
そして、決定的なのは担当部署の無知だろうな。
建設業の残業規制は「人」に対してだ。
「現場」に対してではないことに思いが至っていないのだろう。
現場監督は週休二日で残業をしなくとも、代理がいれば現場はフルに回っていくのだから。
土工や鉄筋工は週休二日でも、それらとずらして設備工や電気工や内装工を週休二日で入れればいい。
元々連中(各種の工事)は、出会い工事を嫌う(天井と床の同時工事とか、設備と電気の同時工事とか)、
これらは工事がやりにくいし、事故の原因にもなるからだ。
そういう気の利いた監督や代理を元請けに要請できる力が担当部署にはないのだろうな。
ボードメンバーもそんなことは他人事のように思っているのだろう。
そしてその結果を受け入れるのは、株主なのかもしれない。
無責任に勝手なことを並べたてましたが、株主さん、もっと怒ってもいいのでは?