いま中高生は定期テスト対策で
毎日しっかり勉強していると思います。
YANO塾の塾生もいま定期テスト対策に
力を注いでいます。
この定期テストはいったい
何のためにやっているのでしょう。
学生を苦しめるため?
いや、そんなことはないでしょう。
古今東西、勉強はある程度強制力が
必要だというのは常識です。
勉強すること以外にいくらでも楽しみは
転がっていますのから、子供は放っておいても
なかなか勉強しません。
だからこその定期テストです。
短期間で大量の勉強をこなしていかなくては
ならないのですから、大多数の学生は
こんな難行苦行はよほどのことがないと
やりません。
中学生にとって定期テストの点は内申点に
直結します。
ほんとに直結するのでしょうか。
今日のお話は定期テストの点数が
高校入試においてどれほどの
ウェートを締めているのかについて
お話します。
これをお読みいただいている保護者の
みなさまが中高生のときにもらった
通知表を思い出してください。
(当時は通知表の評価の仕方は相対評価でした。)
定期テストの点数にたいして、
かなりきびしめの評価だったのを
覚えていますか。
ちょっと点が足らないと、通知表の
5が4に落ちたりは当たり前だったのです。
その理由としては、当時の通知表の
評価の仕方が、相対評価だったからです。
相対評価というのはクラスの上位3名までが
5、そこから下がって10名までが4。
つまり通知表の点数をもらえる人数が
決められていました。これはとても厳格で、
最終的には校長の認印が必要というレベルの
成績の付け方でした。
しかし、今から20年前の
ゆとり教育が始まった年、
2002年度から文科省の通達で、
通知表の点数の付け方が、絶対評価に
かわりました。
5,4,3,2,1の通知表の
人数制限が撤廃されて、
極端な話、クラス全員に5を上げても
問題ないという方式に変わったのです。
もちろんクラス全員に5はありえませんが、
2002年度を境に
全国的に4,5の評価をもらった生徒が
4割も増えたという報告があります。
ということは、実際のところ
相対度数で通知表の点をつけていた
2002年以前と比べると、
5,4の価値が雪崩落としのように
急降下してしまったのです。
あえて申しますと、現在の絶対評価の
通知表の点数は
本当の学力を示しているかどうか
疑問だということです。
学力とはなんでしょうか。
「まなぶ力」ということですが、
単にペーパーテストの点がいいことが
学力を表しているとはおもいません。
いちばん大切なことは「まなぶ意欲」
だと思います。
もちろん、一人ひとり「まなぶ意欲」が違います。
相対評価というのは一つの集団の中での
どの5,4,3,2,1のどのグループに
入っているかという情報です。
ある科目の通知表が5を取ったということは、
上位5%、つまり40人クラスだったら
上位1,2番の成績をとっている人であることが
わかります。
5をとれるグループにいるからといって
教科にたいする学習する意欲や興味が
反映されているわけではありません。
本来教育の目指すものは、5を取れるようになることでは
ないはずです。定期試験が高得点を取れるというのは
短期的な学習において記憶力がすばらしいという評価はできますが、
それ以上、それ以下でもありません。
定期テストの得点が高いからといって
ほんとうの意味での学力をつけているとは
いえないのです。
一方、絶対評価は点数だけで通知表の点を
決めるのではなく、強化に対する関心や興味
そして日頃の努力を加味した上での教師からの
評価になります。
絶対評価は完全ではないですが、
とても教育的な評価方法だと思います。
そういう意味では絶対評価は悪くないと思います。
ただ、意欲や関心を数値化できるかといえば
熟練した教育者であっても、なかなか難しいです。
そのあいまいな点数を数値化したものが
現在の通知表の点数であり、
それをまとめたものが内申点です。
塾に入ってきた生徒が数学が苦手で
なかなか進まない。
数学の問題を解くのに時間がかかる、
とても興味を持って意欲的に取り組むようには
見えない。
その時点で、その生徒の評価を
しなさいと言われれば、最低の評価を
つけるしかありません。
(もちろん塾の中で評価は必要ないです)
ところが、その生徒と一緒に
我慢強く取り組んでいくことで、
その生徒が徐々に数学が好きになって
1年後ずいぶんと数学ができるようになって、
むしろ得意科目になったという例があります。
塾というのは生徒に通知表は渡しません。
通知表なんてものを作って生徒に
上げたとしても、役に立たないので
価値がないのです。
むしろ学校で良い評価がもらえるように
導いていく、それが塾の仕事です。
本来教育とは評価をつけることが
目的ではないはずです。
生徒一人ひとりのまなぶ力を育てること、
そのことが教育そのものではないでしょうか。
それは塾であっても、学校であっても
等しく期待されている役割です。
だから、絶対評価の今の通知表は
あくまで参考程度にみておけばいいと思います。
通知表の点数と高校受験の合否との
兼ね合いについては
その2でお話します。