鳥まり、参る!

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奪われ奪われ、傷つけられた果てに。

2023年02月02日 | シリアス
【性犯罪、それはなぶり殺しに似ている】

【嬲り殺し】なぶり-ごろし

なぶって殺すこと。すぐに殺さずに苦しめ、もてあそんで殺すこと。


大先輩レディーから、悲しい悲しい話を聞いた。

(以下、特定を防ぐためにフェイクを入れながら書いています)

「私の家から少し歩いた近所にね、住む人住む人精神を病んだり色情狂いだったりする呪われた土地があったの。

 今では人気の住宅街って言われるけど戦後すぐまでは畑ばかりの田舎だったところで。

 …その呪われた土地は。

 100年前…いいえ、もしかしたらもっと近くて80年くらいかしら。

 村の悪い乱暴者に狙われ追いかけられた女性が、必死に走って走って逃げたのにそこで捕まってしまって襲われた場所だったらしいの。

 無理やり襲われる、それだってもう耐えられない辛いことなのに、当時は男尊女卑で偏見がひどくてね。

 被害者の彼女を皆が汚いもの扱いしたり二重三重に言葉や態度で辱めたりしたらしいの。

 それで絶望して命を絶ってしまったそうよ。

 そんなことをね、お嫁に来たばかりのころ聞いたわ。

 どんなに辛く悲しかったことか。

 何も悪くない彼女がどうして責められ追い込まれて命さえ奪われたのか。

 自死っていうけど、殺されたのよ。

 犯人と世間に。

 土地が呪われるのなんか当たり前よね。

 どこにでもある話だったのかもしれないけど、最近思い出してとっても悲しいの」

…。

ああ…。

私も話だけで胸が裂けそう。

それくらい辛い。

「想像もできない」

って男性はこういう風にたとえたらわかるかな。

腕力でぜったいに勝てない屈強な男に狙われて追い回されて捕まって、暴力振るわれて犯されて、こんなに辛くてひどいことないのに世間に

「あの人、○○されちゃったらしいよ」

「うわ汚い」

「××野郎」←差別用語。

等々影で日向で噂され二重三重に尊厳を踏みにじられる。

悪いのは襲った犯人なのに、お前が悪いお前のせいと責められる。

…こんなに辛いことないでしょう。

「わかってさえくれない」

「わかろうとさえしない」

「自分の苦しみで遊ばれる」

呪いたいと思ったって仕方ない。

呪っていなくたって、その行き場のない絶望が強烈に土地に記憶されてしまうでしょう。

…なんて悲しいことか。

今でも性犯罪絡みのことは軽く扱われがちで、ニヤニヤ辱めにこられるのはよくある話。

…狂ってる。

とても悲しくなります。

性犯罪を軽くとらえる風潮に思うのは、誰だってワンちゃん(犬さん)猫ちゃんのような小動物が人間に傷めつけられたり暴力ふるわれたり、ましてや苦しめ遊んで命取ることは

「ゆるされない!!」

「絶対悪!!!」

って怒ってくれるでしょう。

性犯罪だって同じだよ。

力が弱い相手を苦しめ遊ぶのだから。

日本は性欲神話…具体的に書けば男性→女性への性欲をやたら神格化し

「性欲なら仕方ない」

と刷り込まれていると思う。

でも性犯罪って性欲よりは

「弱い者をなぶりたい、なぶり殺したい」

衝動からなるもの。

己の万能感を確かめるような…。

だから、ゆるされないんだよ。

「女は大変」

たしかに性犯罪の被害者は圧倒的に女性が多いといわれますが男性もいて、女性の加害者も存在はするけどほとんどが男性であるとはっきり統計が出ています。

だから他人事じゃないのです。

優しい男性・人を傷つけない男性はたくさんいるし、そういう人はぜったいしない。

だから男性カテゴリー全体を悪扱いしてはいませんよ。

誤解しないでいただけると嬉しい。

性犯罪は軽い犯罪・いたずらなんかじゃなく、なぶり殺すような卑劣な行為でぜったいぜったいゆるされないと…そう考えられる時代であってほしいと思います。

それが、大先輩レディーの話して伝え聞いた被害者…“彼女”たちへの供養になる気がするのです。

大勢の“彼女”たちの中にたしかに存在するであろう男性被害者“彼”たちにとっても。

ああ…悲しいな。

呪われた土地の怪異は時と共に薄れて今は落ち着いているのかもしれない、と大先輩レディーはおっしゃいました。

そうだったらいいな。

彼女の苦しみと辛さを

「あなたは悪くないんだよ」

「辛かったね、苦しかったね」

「やっと終わったと帰ったらそんな仕打ちをされてどんなに絶望したか」

「もうこの苦しみから抜けていいんだよ」

「上へいこう、光の中に」

…こんな風に、土地の神さまたちが包んで迎えに来てくれたらいいのにな。

そんなふうに思いました。

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