鳥まり、参る!

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彼は永遠のスーパースターで、哀れな被害者で、狡猾な加害者。

2020年02月14日 | シリアス
【世の中はそんな人だらけだ】

ブレイディみかこさんの『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』

タイトルをはじめて知った時に

「これだけで内容が想像できるし、読みたいって思わせる。

 素晴らしいな」

と思いました。

というわけでタイトルはそれを意識してつけました。

さてさて。

いい人、悪い人ってどういうことか。

加害者って、被害者って。

そんなことを考えずにはいられないことが世界ではしょっちゅう起きるものです。

そんな時わかりやすいな…と思うのがイギリスドラマ『名探偵ポワロ』でスーシェさん演じるポワロが言ったこんな言葉。

「よい人だが、罪を犯す。

 世の中はそんな人だらけだ」


(このまんまの訳文ではないかもしれないけど、意味は同じです。

 どのお話だったか…『杉の棺』あたりかな?)

本当にそうなんだよね…。

悪だけ、善だけ、そんな単純な人はめったにいません。

「ほぼ善」

で“あることができる”恵まれた環境の人でさえ、少し風向きが変わっていたら、そうはいられない。

これはゲームのセリフですけど『ロマンシング サ・ガ3』で領土をおさめる若き君主(爵位は侯爵)ミカエルが

「私が死ねば、あれ(妹のモニカ姫)も生きてはおれぬ身よ」

と語ります。

生きるって、誰でもこういう側面があると思う。

人間は一人では生きられない生き物で、社会に…つまり環境に生かされているところが大きいから。

だから、気質すらも実は本人の生まれ持った資質だけで成り立ってはいないのです。

同じ人間でも、日本のように豊かで衛生観念がしっかりしてる国で生まれるか、そうじゃない場所で生まれるかで何もかもが左右されるのだ。

さてさて、タイトルのお話。

このブログで何回か書いてますが、若くして亡くなったとあるスーパースター。

彼の人生を思うと、人の複雑さやるせなさを見せ付けられるようで悲しい気持ちになります。

全てのエピソードに録音・録画といった証拠がないのであくまで私は

「いくつかある証言から、信じるに足るであろう情報を信用する」

という立場でしか書けませんが。

彼は素晴らしい才能をもった少年だったけれど、実の父親から拷問のような虐待を受けながらスターへと育てられたらしい。

彼は優しく、平和的で、慈善事業も山ほど行った篤志家だった。

けれど一方で、彼は少年というには幼すぎる男の子たちに耐え難い拷問のような仕打ちを、実に狡猾にやったらしい。

優しい善人である彼。

あまりにもかわいそうな被害者だった彼。

そして狡猾な加害者だった彼。

全て彼の一部なのです。

たま~に

「悪人は悪人なの!!」

と単純に言い切る人もいますが、まあそういう人がいる可能性も否定はできないけど…多くは加害者は被害者であり善人であり悪人なのだと私は思うな。

そして、被害者だったときに見殺しにされていたこと(肉体は生きていてもね)が加害行為の大きな理由になってる気がしてならないんだ、私は。

ファンの人たちは

「信じたくない!」

というのかもしれない。

「彼の遺産を狙う奴らの嘘だ!」

って。

でもそれって彼を愛しているからなのだろうか。

自分の求める完璧なアイドル(偶像)であることに“したい”だけなんじゃないかな…。

私は犠牲者である彼も、罪人である彼も、彼の残した素晴らしいアートたちを汚すことはできないと思うんですけどね。

ただ、若き日の彼を見ると胸は痛む。

「こんなに美しいのに、こんなに素晴らしいのに、自分ではそう思えなかったのか」

と思うから。

誰のこと書いてるかバレバレですな。

バレンタインなのに暗~いシリアス記事を書いてしまいましたが、愛や真心について真剣に考えるとき人間のもつダークな側面は無視できないものだよね。

仏教の教えでは

「お釈迦さまの中にもひとしくマーラは住まう。

 けれどお釈迦さまはそれを使わないだけだ」

というらしい。

心の中のマーラにのっとられないためには、環境が大切で、社会の協力が必要なんじゃないかな。

自己責任で終わらせてしまううちは、隠蔽されて、密やかに加害が続くだけだと、私は思う。

自己責任論で一番得するのは誰かな?

ミステリーの犯人探しの基礎は

「メリットを得る人をリストアップすること」

社会にも通用することです。


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