先日ブラシさんから"焼入れの方法を・・・"というリクエストを頂きましたので、ちょっとした工夫などを・・・。
"焼入れ"はご存知の通り"高温に加熱した金属を一気に冷やして硬化させる"技法です。"高温に加熱した金属をゆっくりと冷まして軟化させる"技法の"焼なまし"の対極にある技法ですがAFVモデルの製作では"焼なまし"に比べると頻度が少なく、あまり一般的なものではありません。しかし曲げ加工の精度を維持しておきたい場合などには知っておいて損のない技法ではありますね。
さてこの技法はただ熱したパーツを水に浸けるだけの事なのですが、小さいパーツや金属線、大きなパーツに施す場合はそれぞれコツと言うほどでもありませんがちょっとした工夫が必要になる場合もでてきます。 エッチングパーツや金属線などのような体積に対して表面積が大きなパーツは、十分に全体を加熱したあと間髪いれずに水に浸けないと表面からの放熱が激しく"焼きいれ"するつもりが"焼なまし"してしまう結果になるからですね。 まず基本は全体を同時に加熱する事と冷却用の水を加熱する場所になるべく近づけておくことです。 で、小さなパーツの場合は写真のように冷却水の上で加熱して、真っ赤に焼けたらそのままピンセットを緩めてポチャンとパーツを落としてやれば、まず間違いなく焼入れが完了します。比較的大きなパーツや長い金属線などならばライターなどで部分的に加熱せず餅焼き網などを使ってコンロで全体を同時に加熱(薄いものや細いものは溶けてしまうので0.2mm~0.3mmの真ちゅう板を網の上に乗せその上で加熱した方が良いでしょう)して、間近に用意した冷却水に浸けてやると上手く出来ます。
右の写真は先日素材を焼いている写真をお見せしたSdkfz251のアクスルですが、このように焼なまして微妙なアールを再現したパーツなど、焼入れして形状を固定してしまえば後々の工程でパーツを痛める事無く作業が進められますから安心ですね!