読書感想132 すべては遠い幻
著者 ジョディ・ピコー
略歴 1966年ニューヨーク州生まれ。1992年に作家デビューして、2004年の「わたしのなかのあなた」で大ブレークする。
出版年 2005年
邦訳出版年 2007年
邦訳出版社 (株)早川書房
感想
ニューハンプシャー州に住むディーリアは、父親のアンド
リューと4歳になる娘のソフィーと、その父親のエリック
と暮らしている。ディーリアは4歳のときに父親から母親
は交通事故で亡くなったと言われ、父親の手一つで育てられ
たのだ。母親の思い出は林檎とバニラの匂い。ディーリアは
犬を使った行方不明者の捜索救助の仕事に就いている。不思
議な夢を見る。裏庭にレモンの木を植え、幼いディーリアは
木の周りで踊っている。木を植えた人が来てディーリアのこ
とをグリシャと呼ぶ。リアルすぎる夢に戸惑うディーリア。
そんなある日、父親のアンドリューがディーリア誘拐の罪
で逮捕される。アリゾナ州で離婚した妻の下からディーリアを誘拐したという。アリゾナに移送された父を追ってディーリアもソフィーをつれてアリゾナに向かう。アンドリューの弁護に立つのは婚約者のエリック。既にアンドリューは罪を認めている。
相当長い小説だ。589ページある。ミステリーとしては半
分ぐらいに短縮できる。4人の人物によって物語が語られ
て行く。ディーリア、アンドリュー、エリック、フリッ
ツ(ディーリアの幼馴染の新聞記者)。4人の立場と関係が
わかる構成になっている。アリゾナの風土や拘置所の囚人
たちの縄張り争いなど面白いエピソード満載だ。しかしミ
ステリとしては、横道にそれ過ぎている気がしないでもな
い。