『そぞろ歩き韓国』から『四季折々』に 

東京近郊を散歩した折々の写真とたまに俳句。

読書感想42  鍵のない夢を見る

2012-12-21 18:06:03 | 小説(日本)

 

著者          辻村深月<o:p></o:p>

生年          1980<o:p></o:p>

 

出身地         山梨県笛吹市<o:p></o:p>

 

受賞歴        

2004年 第31回メフィスト賞     「冷たい校舎の時は止まる」<o:p></o:p>

 

 2011年 第32回吉川英治文学新人賞     「ツナグ」<o:p></o:p>

 

 2012年 第147回直木三十五賞       「鍵のない夢を見る」<o:p></o:p>

 

初版出版年       2012122<o:p></o:p>

 

出版社         (株)文芸春秋<o:p></o:p>

 

価格          1,400<o:p></o:p>

 

<o:p></o:p>

 

 

感想<o:p></o:p>

 

 今年直木賞を受賞した小説である。短編小説5編から構成されている。5編の題名は次のとおり。<o:p></o:p>

 

1.仁志野町の泥棒<o:p></o:p>

 

2.石蕗南地区の放火<o:p></o:p>

 

3.美弥谷団地の逃亡者<o:p></o:p>

 

4.芹葉大学の夢と殺人<o:p></o:p>

 

5.君本家の誘拐<o:p></o:p>

 

 この中で一番おもしろかったのは、「仁志野町の泥棒」だった。<o:p></o:p>

 

小学3年生の転校生律子の母親が近所の家に泥棒に入っているという噂が立つ。被害に遭った家ではご近所だから警察沙汰にしていないが、その家族は引っ越しと転校を繰り返しているという。その話を聞いた律子の友達のミチルは同じ仲良しの優美子の対応に驚愕する。優美子の家でも転校生の律子と仲良くなったばかりの時に被害に遭い、優美子の母親は律子の母親を諭しながらも、優美子に律子との付き合いを許したと言う。クラスの中で優美子によって律子は守られ、ミチルとの付き合いも小学6年まで続いた。戸締りを忘れた自宅で律子の母の窃盗現場を見てしまったミチルは、律子との付き合いを許すという母の言葉があって律子との付き合いを続けるが、万引きする律子を見て関係を断ってしまった。その後・・・・。<o:p></o:p>

 

 見て見ぬふりをする。あったことをなかったことにする。弱者として扱うからこそ、そうした対応が出てくる。でも対等な関係として考えた時自分の行動に責任を取れ、周囲に甘えるなと言いたくなるし、その方が結果的にはいいのかもしれない。田舎のほうではまだ地域共同体の助け合い精神が生きている所があるのだろう。子供の頃を思い出すと困った家族、噂になる家族というのは地域にあったし、解決されないまま時間に任せられたという記憶がある。懐かしい雰囲気を思い出す小説だった。(2012.12.2読了)<o:p></o:p>

 


最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。