17日のNHKラジオで藤田先生を初めて知った。本日の話は、この種の話だと思われるが、途中から聞いたので、要領を得ない。
仕方がないので、下の話で代替した。
未来授業~明日の日本人たちへ
藤田紘一郎氏 ~脳と腸~
【藤田紘一郎】 プロフィール
東京医科歯科大学名誉教授。人間総合科学大学教授。
寄生虫学、感染免疫学などが専門で、免疫と伝染病研究の第一人者です。
『脳はバカ、腸はかしこい』『笑うカイチュウ』『清潔はビョーキだ』など著書多数。
『脳はバカ、腸はかしこい』(三五館)という著書を利用して、その要旨を纏めてみた。
1. 人間の腸の持つ優れた機能と、心と体の健康に与える影響をわかりやすく解説。「腸は第二の脳である」といわれますが、「腸は、脳よりも優れた“考える臓器”である」と唱えている。理由は、腸が複雑な生体機能をつかさどる臓器だから。
そして、人間の脳はもともと腸から派生したものだと考えられるから、というのがその根拠です。
2. 脳と腸の関係性
生物には最初、脳がありませんでした。地球上に生物が誕生した約40億年前。最初に備わった器官は腸で、脳ができたのは5億年ぐらい前なのです。つまり、脳はまだこの生体にフィットしていないというわけです。
脳に幸福を感じさせる物質はドーパミンやセロトニンだといわれていますが、それらはもともと腸内細菌の伝達物質でした。脳ができたから、一部を脳に渡しただけなのです。ですからいまでも、脳内伝達物質といわれるセロトニンやドーパミンはみんな腸で作られています。セロトニンはいまでも腸のなかに90%ぐらいありますが、脳にはたった2%しかありません。その2%のセロトニンが少なくなると、鬱病になるわけです。
3. 腸を大事にしないと、セロトニンやドーパミンは脳に行きません。腸に存在するセロトニンは、悪い菌が来たらワァッと反応を起こし、下痢やおならを通じて体外に出そうとするのです。しかし脳は、自分の報酬系(自身に快楽を感じさせる神経系)さえ満足すれば、体に悪いものでもなんでも入れてしまおうとしてしまいます。
4. ですから、脳をだますのは簡単です。たとえばストレスを受けたとき、甘いものが食べたくなりますよね。本来は、ストレスを受けたらそれに対抗しなくてはいけません。つまりストレスホルモンや腸の免疫を出す必要があるのですが、その役割を腸が担っているのです。
けれども脳は、一次的にストレスを取るために快楽を求めてしまいます。脳はいったん報酬系を刺激されると、もう止まらなくなります。たとえばポテトチップスなどを食べると快楽系、報酬系が刺激され、快感を感じます。脳から快楽物質が出て、ストレスが取れたように感じるわけです。
けれども、それだと腸はうまく機能しません。腸はそういうものの摂取をやめて免疫を高め、ストレスを取るようなたんぱく質とか、野菜などを食べてほしがっているのです。けれども脳は、上辺のことに反応してしまいます。ですから脳と腸が同じストレスを受けても、脳は一次的な快楽で逃げてしまう。しかし腸は、それを処理しようと一生懸命働く。そこで反応が違ってくるわけですね。
5.赤ちゃんが、なんでも口に入れたがる理由
腸内細菌を調べるとき、これまでは培養できる腸内細菌ばかりを調べていました。そして乳酸菌はいい菌、ビフィズス菌もいい菌、大腸菌は悪い菌、ウェルシュ菌も悪い菌などと分け、それぞれを善玉菌、悪玉菌と呼んでいたのです。
ところが現在では培養できない菌にも、どういう腸内細菌がいるのかがわかるようになりました。そして従来、腸内細菌は100種類、100兆個だといわれていたのですが、培養できない腸内細菌がその10倍以上いることがわかりました。さらには、その大部分が土壌菌、土の菌でした。つまり数からいうと土壌菌がいちばん多く、その後に善玉菌と悪玉菌がいることになるわけです。それがどういう役割をしているかはわかりませんが、たとえば納豆を食べると免疫が上がって元気になります。納豆はほとんどが、納豆菌と土壌菌です。
ところで赤ちゃんはなんでもなめたがりますが、この行動に重要な意味があることがわかりました。赤ちゃんの腸内細菌を調べると、生まれたばかりのころは無菌なのですが、その後は大腸菌が急速に増え、つまり悪玉菌が急激に増えるのです。しかし、おっぱいを飲んでいると、ビフィズス菌や善玉菌が増えていきます。
赤ちゃんは、お母さんの胎内では無菌状態、免疫ゼロで過ごします。しかし外界に出ると、インフルエンザ菌やさまざまな悪い菌がたくさんいるため、対抗できる体を作らなければなりません。そこで、「ちょいワル菌」を体内に取り込むのです。いい菌を入れても免疫は発達しませんから、それがいろいろなものをなめることに関わっているというわけです。
ですから生まれてすぐ、おっぱいも哺乳瓶も消毒して無菌室のような部屋に入れてしまうと、赤ちゃんの腸はきちんと発達しません。事実、生まれたばかりでアトピーになっている赤ちゃんの便を調べたら、半分近くは大腸菌が一匹もいませんでした。ということは、アトピーになっても治らない。成人になったら、卵も牛乳も受けつけない体になってしまうのです。ですから赤ちゃんには自然にそのまま、好きになめさせたらいいのです。不潔なように見えますが、本当は必要なことなのです。菌の力を借りて、人間の力を強めようとしているわけです。つまり体を強めるためには、「ちょいワル菌」と付き合わなければいけない。いいやつと付き合うだけではだめなのです。それは、動物もやっていることです。
動物はまず腸を大事にし、腸を発達させます。具体的にいえば、腸内細菌を増やすために、生まれたらすぐに土をなめるのです。たとえばパンダ、笹を消化する酵素を自分では持っていません。笹を消化する酵素は、腸内細菌が持っているのです。コアラもまた、ユーカリを無毒化する酵素は腸内細菌が持っています。つまり腸内細菌がいないと、我々は生きられないのです。
6.腸のなかの必要悪
大人も菌と付き合わないようにしていると、次第に免疫が落ちてきます。ですから日本人の免疫力が落ちているというのは、きれい過ぎる社会のせいなのです。
腸内細菌も、悪玉菌がいないとちゃんと反応しません。ちなみに善玉菌、悪玉菌と分けることには、私は反対です。悪玉菌を全部なくしてしまうと、善玉菌は全然働かないからです。善玉菌をきちんと働かせるためには、悪玉菌が必要なのです。腸はそれを知っているからこそ、悪玉菌を平気で体内に入れているのです。でも、本当に悪い菌に対しては、激しい反応を示します。たとえばコレラ菌が入ってきたら、わっと粘液を出して追い出そうとしますが、悪玉菌が来ても黙って入れているのです。悪玉菌が多過ぎると少し体調が崩れてきますが、それでも悪玉菌は必要なのです。
ならば、その善玉菌と悪玉菌のバランスを確認するにはどうすればいいのでしょうか? 答は簡単です。ウンチを見ればいいのです。たとえばバナナ状のウンチがポーンと出たら、腸内細菌はちょうどいいバランスが取れているということです。小さくて臭いウンチだったら、腸内細菌のバランスが崩れているということです。便は健康の便りで、便を見ればいろんなことがわかるのです。
7.ファストフードは控えめに
腸がいちばん困っているのは、私たちがつくった文明社会です。文明社会が活性酸素をたくさん出しているのですが、それは腸をいじめます。ですから、活性酸素を抑えるものを食べることが必要なのです。それが野菜、豆類、穀類など、「フィトケミカル」と呼ばれるものです。それらを食べていると、現代社会が生み出す活性酸素を消すことができます。添加物や防腐剤が入ったものを食べても活性酸素が出ますから、それらを抑えるには野菜や豆類を摂取するのがいいのです。
私たちは「解糖エンジン」と「ミトコンドリアエンジン」という、2つのエネルギー製造装置によって動いています。解糖エンジンは、糖をエンジンに伝えてエネルギーにしています。ミトコンドリアエンジンは酸素を入れてエネルギーをつくっているのですが、対する解糖エンジンは糖だけです。皮膚や筋肉は、解糖エンジンでエネルギーを得ています。そして若い人たちはもっぱら、この解糖系エネルギーを使っています。解糖エンジンは瞬発力なのです。それに対して、ミトコンドリアエンジンは持続力。肝臓や心臓、脳や腸もミトコンドリアエンジンのエネルギーを必要としています。
人間は、50歳くらいまでは解糖エンジンとミトコンドリアエンジンが動くのですけれども、中高年になるとエネルギー系は解糖系からミトコンドリア系へと移行します。ですから50歳以上生きるためには、食べ方を変えなくてはいきません。それは、炭水化物をやめなくてはいけないということです。
なぜなら、50歳を過ぎても解糖エンジンを回していると、ミトコンドリアエンジンがうまく機能しないのです。ミトコンドリアエンジンの困ったところは、吸った酸素がリークして活性酸素になること。ミトコンドリアエンジンは酸素を吸ってエネルギーを作っているのですが、その酸素が活性酸素になるのです。先にも述べたとおり、活性酸素は非常に腸をいじめますから、自分自身の内部で活性酸素を作り、いろいろなところをやっつけてしまうわけです。そして腸も、自分が作った活性酸素でやられます。炭水化物を食べすぎると、ミトコンドリアが活性酸素をいっぱい出してしまうのです。
それからもうひとつ注意すべきは、添加物が入った食品です。悪い油を使った食品を摂っていると、それがまた活性酸素を生むことになります。ですから、なるべくお母さんが作った手作りの野菜、豆類、穀類を主体とした食品を摂るように心がけ、ファストフードやコンビニ食は控えめにする方がいいわけです。
腸を整えると免疫が上がります。免疫が上がると幸せ物質が脳に伝わりますから、体も脳もハッピーになるというわけです。
ここまでの出典
出典;https://www.blwisdom.com/linkbusiness/linktime/future/item/8636.html