水墨山水画の楽しみ方をTVで見た。
その要点を、幾つか書きおく。
山水とは、
深い山・流れる川などの自然の景色をいう。
中国の唐の時代(11世紀頃)水墨山水画が生まれた。
15世紀に、禅の教えと共に、日本に伝わり、有名な雪舟が、礎を築いた。
山; 世間のしがらみから離れた、心静かな世界
雲と霧; 「気」すなわちエネルギー
庵; 作者の思い描く終(つい)の棲家
老人; 作者自身
橋・道・酒; 庵を訪れる人のいることを示す
「気」に満ちた理想郷で、ひっそりと暮らし、遠方からの友人をもてなす、
こんな場面は、なんとも風情がある。
水墨画を、楽しむ[三つのコツ]を教えられた。
その一;下から上に見るべし!
下から、近景・中景・遠景と描かれている。
それ故、下から上に見ていくと、物語を時間に沿って観ていける。
その二;にじみやぼかしに、潤いを感じよう!
中国では、線を用いて、形を表すが、
日本では、輪郭を描かずに、墨の濃淡で形を表現することが多い。
たっぷり水分の残っている薄い墨の上に、濃い墨をたらす=
これが、日本独特の「たらしこみ」の技法である。
偶然の「にじみ」が、表情を生み出す。
「朝霧を集めて、墨磨る」という言葉がある。
日本の水は、軟水で、繊細な墨色の表現に最適である。
鮮やかな色彩画家と思われている横山大観画伯は、
晩年、墨一色の世界を極めようとした。
墨に、無限の色彩を感じられたようである。
その三;光の表・裏を見よ! (飾り方についての、指南)
光こそが、大切なのである。「表」とは、光がさしてくる方向を意味する、
「裏」はその逆である。
絵の中の光の方向を知って、光をその方向から当たるように飾ると、
絵が自然に見える。
表・裏は、落款の位置でも分かる。
落款は、「裏」に押される。
床の間の自然光が射してくる方向に、
絵の「表」を配置すると、「余白」が「光」として、楽しめるのである。