夫の教訓あれば、その仰せに背くべからず。疑はしきことは夫に問ふてその下知を受くべし。夫問ふことあらば、正しく答ふべし。その返答おろそかなるは無礼なり。もし夫腹立ち怒る時は恐れて従ふべし。怒り争ひてその心に逆らふべからず。女は夫を以て天とす。かへすがへすも夫に逆らいて夫の罪を受くべからず。・・・。嫉妬の心中あるべからず。男淫乱すれば諫むべし。怒りうらむへからず。妬甚だしければその気色言葉恐ろしく、かえって夫にうとまれ、見限られるものなり。若し、夫不義過ちあらばわが色を和らげ声を柔らかにして諫むべし。諌をきかずして怒らば、先ずしばらく止めて後に夫の心和らぎたる時にまた諌むべし。必ず気色を悪くしあらあらげ、夫にさからひそむくことなかれ(女大学) 」
貝原益軒は、まず女子教育の理念、ついで結婚後の実際生活の心得を説く。一度嫁しては二夫にまみえぬこと、夫を天(絶対者)として服従すること等々、封建的隷従的道徳が強調される。子ができない場合、夫が妾を持つのを妬んではいけない。妬めば子孫繁盛の妨げになる」などと記載されている。
これは、農耕社会では、家族が生産単位であるからして、子供を産んでこそ女の値打ちがあるという、昨今でも保守系政治家が失言をする流れの源流を作っている。男女同権などという観念がなかった往時を非難すべきではないが、平成の今日これと同じ思想を、言葉こそ違え持っている男は結構多い。たとえば、サッカーチームのなでしこジャパンの命名にも違和感を感じない男が多い。裏返して、野球チームの侍ジャパンもしかり。「大和撫子」っていう何だか不思議なイメージは、いったいどうしてできたんでしょう? 「俺は日本人の女と結婚したい。だって日本の女は夫に尽くすと言うからなぁ」なんて言う奴もいるんだよね。
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