「あ~あ~あ~!」
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肩を回すと、ポキポキと骨が鳴る。週初めだというのに、雪は既に疲れていた。
うう‥週末頑張って食堂の手伝い&課題やったから‥もう死にそう‥身体がバキバキ‥。
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雪は溜息を吐きながら、重い体を引き摺って廊下を歩いていた。
引き続きストレッチをするが身体は固く、まるでギシギシと関節の軋む音が聞こえてくるようだ。
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すると不意に後ろから声を掛けられた。
「雪ちゃん!」
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ダラダラした姿を見られてしまった雪は幾分たじろいだが、
誤魔化すようにピシッと気をつけをして彼に挨拶を返した。
「あはは~!先輩おはようでーす!」
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淳はニコニコと微笑んで雪に近づくと、優しい表情で口を開いた。
「グルワは上手くいきそう?」
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雪は「まぁまぁ‥」と答え、少しはにかみながら彼を見上げた。
ヘヘ、と小さく照れ笑いしながら。
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心の中がこそばゆくなり、思わず頬を染めて少し俯く。
甘く温かな気持ちが、胸の中を微かにくすぐる‥。
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そのまま二人は教室までの道のりを肩を並べて歩いた。
話題はもっぱら学科を騒がせている、太一と横山の一悶着だった。
「それで横山が太一に‥明らかに故意に仕組んだんですよ!もう本当に腹が立つったら!」
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声を荒げる雪に対し、淳は「皆ひとしきり騒いだらすぐにおさまるよ」と冷静だ。
それでも雪は、自分も学科を騒がせている人間の内の一人なので、他人事とはとても思えない。
「太一と私‥あの日はもう完全にババ引いた、みたいな‥」
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同じ日の同じ時刻に、横山翔と清水香織によって太一と雪が騒動に巻き込まれたのだ。
そしてそれらの出来事は、今や経営学科の二大事件として、不本意ながら皆を騒がしている‥。
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げんなりとそう口にする雪の顔を見て、隣の淳は何かを物思い天を仰いだ。
ふぅむ、と一人呟きながら。
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「もういい加減平穏に学生生活を送りたい‥」
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そう呟きながら、雪と淳が教室に入って来た時だった。二人を見るやいなや、清水香織が声を上げた。
「ちょっと!」
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そこには例の如く、先週雪が着ていたカーディガンと似たような物を着た香織の姿があった。
しかしその顔は怒りで歪み、肩をいからせて雪の方に向かって来る。
「ちょっといい?!私も話があるんだけど!」
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香織は大声でそう言うと、握り拳を固めて雪に詰め寄った。
「あんたのせいで私ー‥!」
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顔や指に絆創膏をした香織は、よく見ると至る所にすり傷があった。
先週、雪と人違いされ河村静香にやられた時の傷だ。
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しかしやにわにその怒りを向けられたところで、雪にその理由が分かるわけがない。
目を剥いた雪が、「なに‥?」とたじろいだ時だった。
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突然、目の前に大きな手のひらが翳された。
それはまるで、防御壁のように香織と雪の間を遮る。
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「何の話?」
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俺も一緒に聞きたいんだけど、と言って淳は微笑んだ。
突然の先輩の申し出と有無を言わせぬその笑みに、香織は思わず口を噤む。
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そして一度怯んだが、意を決して香織は顔を上げ口を開いた。
「そ‥その‥せ、先週ですね‥!」
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しかし再び香織は口を噤んだ。
見上げた青田淳の表情から、無言の圧力を感じ取ったからだった。
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ヒッと声なき声を上げ、香織はモゴモゴと口ごもった。
そして最終的に、「な‥何でもないです‥」と黙ったのだった。
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淳は笑顔を浮かべながらそのまま香織の背を押すと、教室の奥へと彼女を促した。
「さ~授業授業」
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そしてそんな二人の後ろ姿をポカンと見つめながら、雪はだんだん心の中が憤って行くのを感じた。
はぁ?!一体何なの?!色々問い詰めたいのはこっちだっつーの!
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雪はギリギリと歯噛みしながら、突然の香織の無礼に憤った。
振り返った淳は雪の表情を認めると、ニッコリと笑って小さく手を振る。
またね~
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結局ワケの分からぬまま、彼が間に入ることで物事はなぁなぁになった。
雪は深く溜息を吐きつつ、もう少しで始まる授業の為に席に着いたのだった‥。
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・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
<防御壁>でした。
香織さん‥遂にこのちゃんちゃんこ(青さん曰くどてら)も真似しましたか‥。
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一体どこで買ってるんだろう‥。すぐゲット出来る能力はすごいですね。。
次回は<同じ轍を踏まず>です。
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肩を回すと、ポキポキと骨が鳴る。週初めだというのに、雪は既に疲れていた。
うう‥週末頑張って食堂の手伝い&課題やったから‥もう死にそう‥身体がバキバキ‥。
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雪は溜息を吐きながら、重い体を引き摺って廊下を歩いていた。
引き続きストレッチをするが身体は固く、まるでギシギシと関節の軋む音が聞こえてくるようだ。
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すると不意に後ろから声を掛けられた。
「雪ちゃん!」
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ダラダラした姿を見られてしまった雪は幾分たじろいだが、
誤魔化すようにピシッと気をつけをして彼に挨拶を返した。
「あはは~!先輩おはようでーす!」
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淳はニコニコと微笑んで雪に近づくと、優しい表情で口を開いた。
「グルワは上手くいきそう?」
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雪は「まぁまぁ‥」と答え、少しはにかみながら彼を見上げた。
ヘヘ、と小さく照れ笑いしながら。
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心の中がこそばゆくなり、思わず頬を染めて少し俯く。
甘く温かな気持ちが、胸の中を微かにくすぐる‥。
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そのまま二人は教室までの道のりを肩を並べて歩いた。
話題はもっぱら学科を騒がせている、太一と横山の一悶着だった。
「それで横山が太一に‥明らかに故意に仕組んだんですよ!もう本当に腹が立つったら!」
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声を荒げる雪に対し、淳は「皆ひとしきり騒いだらすぐにおさまるよ」と冷静だ。
それでも雪は、自分も学科を騒がせている人間の内の一人なので、他人事とはとても思えない。
「太一と私‥あの日はもう完全にババ引いた、みたいな‥」
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同じ日の同じ時刻に、横山翔と清水香織によって太一と雪が騒動に巻き込まれたのだ。
そしてそれらの出来事は、今や経営学科の二大事件として、不本意ながら皆を騒がしている‥。
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げんなりとそう口にする雪の顔を見て、隣の淳は何かを物思い天を仰いだ。
ふぅむ、と一人呟きながら。
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「もういい加減平穏に学生生活を送りたい‥」
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そう呟きながら、雪と淳が教室に入って来た時だった。二人を見るやいなや、清水香織が声を上げた。
「ちょっと!」
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そこには例の如く、先週雪が着ていたカーディガンと似たような物を着た香織の姿があった。
しかしその顔は怒りで歪み、肩をいからせて雪の方に向かって来る。
「ちょっといい?!私も話があるんだけど!」
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香織は大声でそう言うと、握り拳を固めて雪に詰め寄った。
「あんたのせいで私ー‥!」
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顔や指に絆創膏をした香織は、よく見ると至る所にすり傷があった。
先週、雪と人違いされ河村静香にやられた時の傷だ。
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しかしやにわにその怒りを向けられたところで、雪にその理由が分かるわけがない。
目を剥いた雪が、「なに‥?」とたじろいだ時だった。
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突然、目の前に大きな手のひらが翳された。
それはまるで、防御壁のように香織と雪の間を遮る。
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「何の話?」
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俺も一緒に聞きたいんだけど、と言って淳は微笑んだ。
突然の先輩の申し出と有無を言わせぬその笑みに、香織は思わず口を噤む。
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そして一度怯んだが、意を決して香織は顔を上げ口を開いた。
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しかし再び香織は口を噤んだ。
見上げた青田淳の表情から、無言の圧力を感じ取ったからだった。
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そして最終的に、「な‥何でもないです‥」と黙ったのだった。
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淳は笑顔を浮かべながらそのまま香織の背を押すと、教室の奥へと彼女を促した。
「さ~授業授業」
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そしてそんな二人の後ろ姿をポカンと見つめながら、雪はだんだん心の中が憤って行くのを感じた。
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雪はギリギリと歯噛みしながら、突然の香織の無礼に憤った。
振り返った淳は雪の表情を認めると、ニッコリと笑って小さく手を振る。
またね~
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<防御壁>でした。
香織さん‥遂にこのちゃんちゃんこ(青さん曰くどてら)も真似しましたか‥。
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一体どこで買ってるんだろう‥。すぐゲット出来る能力はすごいですね。。
次回は<同じ轍を踏まず>です。
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雪ちゃんずるい!かっこいい~(>_<)U+2661U+2661
でも、あんな目で見下されたいU+2661U+2661笑
先輩素敵ですねU+2661
もちろん、雪ちゃんを守る先輩も素敵ですが、
少年マンが派の私はこんな修羅場展開が大好きです!
いいぞ、いいぞ~もっと戦え~!
香織、あのこったら... まだ飽きてないのかな。
真似した結果殴られても似てる服を着てるし。
しかも殴られたのは雪のせいだと思ってる。
ピンクのドリンク飲みながら亮の近状聞いて、
彼女の生温い答えから「ふむ...」と何か考える先輩。
インターンの仕事で疲れてるのに
雪の愚痴をちゃんと聞いてまた「ふむ...」。
この人、雪の言った通りです。
本当に色々考えが多いですね。
それにしても、
鈍い香織さえも感じるほどの無言のプレッシャーを
しかも笑顔で発する青田先輩。
香織のような子は笑顔なら何もかも好意と取りそうですが。
もしや最後に呪いの顔文字を使ってしまわれましたかね‥?!
あの顔文字を入れるとそれ以降の文章が全部消えてしまうという呪いの顔文字‥お気をつけ下さい!!
CitTさん
淳のあのジェスチャーから「おいで」だと思ってました‥!(というかイケメンに「おいで」と言ってほしい希望込み)
修正しておきます^^ありがとうです!
個人的には曲聴きながらのヘッドバイキングが一番好きです!笑
ヘッドバンギングですね
チーチラに続く失態………すみません…TT
ヒヤカシにだけ登場すんません。
先輩のボサボサヘアーもナチュラルで素敵です。
それで、香織っ!
いくら雪ちゃんが来るのを待ち構えていたとはいえ、あそこに割って入るとは、なんと図々しい。自分のことしか見えていないのですねっ!
先輩!けちょんけちょんにお願いします!
でも、問題はうやむやになり、先輩は香織について行ってしまって、何だかもやもやする展開です・・・。
雪ちゃんの真似してイタイ目にあったのなら、真似するのを止めればいいのに、まるで懲りずに同じようなちゃんちゃんこ(またの名をどてら、人呼んで半纏)をすかさず見つけて着る、その執念にはほとほと感心いたしますですよ・・・。(-_-;)
お前が言うなよです。ぷはは。
防御壁はて?と思ったら、スマートな先輩の手でしたか~。
私はこの防御壁から、またね~までの先輩が地味に萌えどころでした。
またね~のジェスチャー、私もおいでだと思って見てました。どこかの外国だとおいでのときは、手がぎゃくでしたっけね。
この二人なんだかんだ似た所も多いですね…
そして仲良くラブラブな雰囲気でカップルらしくなりましたね
にしても香織も凄く反抗的で気弱キャラがほんと図々しくなりましたな
雪ちゃん口に出さないからって横山とか清水香織とかにナゼか強気に出られてしまうんですよね
そこは雪にとっていつか超えなきゃいけないとこだったんだなーと感じますね
清水香織あんな目に合ったのも淳の彼女って括りなのにナゼ敵意が雪に向かうのか
これは物語進行上の御都合主義何でしょうかね
理由もわかりそうだしそんな目にあいたくなきゃ真似しなきゃいいのに
ここら辺から理解が不能になるんですよね
前も気味悪いけどそれなりにまあわからなくもないって感じでしたが
淳の手が素敵な防御壁ですけどもっとズバリ刺してほしーですわ