一文字 寅 の 「風菜園(かぜさいえん)」 

「天に星。地に花。人に愛。」 風に乗って、日々の所感を「風菜園」から発信してまいります。

金曜日の夜、幻の鯨を追ってたどり着いたのは マンションの一室だった。 【大阪・今里】

2012年12月16日 16時55分55秒 | みんな~愛『酒』てるかい

( 鯨波 )

 

■2012/12/14(金) 晴~曇~小雨

ふたご座流星群の星降る夜が明けるとスタートは快晴の金曜日。そして暖かさを取り戻した日中。

やがて陽の傾きとともに上空は鼠色に曇りはじめ、その夜は、わずかばかりの小雨模様。 

そんな夜に傘を広げることもなく 鯨を追って大阪市・東部の夜道を歩いたのだった。

 ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆彡

 

生産量が少ない日本酒というのは、存在しているだけで魅力があるものだ。

魅力とは、人を魅了し惹き付ける力 そんな魅力に誘われて

週末金曜の夜 私の耳に流れてきた噂をたよりに

私がたどり着いたのは大阪は、今里の地

今里に来たのは、10年以上ぶり

 

日本酒は生産量が少ないというだけでレア 

その上に美味しいときたら 言うことなし

日本酒ファン冥利に尽きるというものだ

 

その私が追って来た日本酒こそ 

「鯨波」(くじらなみ) 

岐阜県恵那の酒

生産石量120石

たとえば先日の「李白酒造」が生産量2000石

「梅乃宿酒造」が千数百石というから10分の1以下という

「三重錦」の80石などもあるがそれと並ぶ極小酒蔵ということになるだろう。

 

岐阜県は、奈良県と同じく海のない県なのに「鯨」とは・・・?

日本有数の高所(海抜600m)の酒蔵、そこから見える

アルプス山系の山々にかかる雲をくじらに

なぞらえたのだそうだ。

 

向かって着いたのは、ライオンズマンションの1F

酒屋へちかん(HECHIKAN)

 

まるでマンション管理人室の一室を店舗にしているような酒屋さんだ。

閉まっているのか? とガラス越しに覗くと

中から若い店主が出てきた。

「やってますよ いらっしゃいませ~」

 

お店の中に入ってみると 割とガラーンとした酒屋らしくない不思議な空間

早速冷蔵庫の中を見てみると おっ凄~い

 北上の「鬼剣舞(おにけんばい)」 富山の「富美菊(ふみぎく)」といった

面白い銘柄が並んでいた。 その他 「風の森」のラインナップとあまり好きでない「阿櫻」

それと初対面の「原田」

 

そして一番下にお目当ての「鯨波」

「鯨波の4合瓶を買って帰ろうと思って・・・」と言えば

「すいません 4合瓶は置いてないんです」

との答えに、折角来たのにガッカリした私だったが、

「どうです。金曜の夜だけは、ちょっとしたつまみで試飲できるんですよ

やっていきませんか」の言葉にとびつくようにすぐ乗った。

(要するに金曜夜だけは、地酒でカクウチをやるということだ) いいね~

 

「それにしても めちゃくちゃ面白い酒置いているよね~ これじゃ儲からんやろ?」と私

 

「 まぁ、趣味が高じてお店開いたみたいなもので・・・ 嫁も日本酒好きなもので」

「それにしても 探していた鯨波がここに置いてあるなんて。 大阪でここだけだろ?」

「そうなんです。うちだけですね  蔵にも行ってきましたが山に囲まれた高いところにあって

大阪の日本酒イベントでは手伝いをさせてもらった関係で取引をすることになりました。

もちろん家族だけで丁寧に酒作りしている蔵なんです」 と説明してくれた。

 

▲若いけどしっかりした店主 金原さん 

「鯨波と並んで原田も応援してるんです」

ブログによろしくPRお願いしますと言われた。

 

「こんな感じでレアで美味しい酒を置くんだったら 三重の八兵衛なんてどうなんだい?

八兵衛・伊勢錦なんか最高に美味しいよ」と私

「いいですね~ 伊勢錦。あれは確かに美味しいです。実は、私も元坂酒造の桐子さん

知ってますけど 八兵衛は坂下さん(酒店)が取り扱っていて 

この辺では決してレアな酒じゃないんですよ」

店主の金原さんのコメント。

そうか~まぁ、日本酒の場合、仕入れに結構しがらみがあるみたいなので

その辺詳しくない私は、敢えてそれ以上「是非とも八兵衛」とは言わなかった。

 

「わかった。じゃあ、この店にぴったりのとっておきの酒教えるよ 福岡 若竹屋の『渓』 はどうだい。

コクがあって切れがある。男性的な切れ味に評価・人気・リピート率が高い酒だ。

この酒だったら 実力酒なのに不思議なくらい関西で取り扱いされてなく

わずかに奈良の今西屋さんという酒店1店だけという。レアな酒で、

数も限定でこの店向き 九州の奇才・横尾杜氏渾身の酒

お酒にファンもすぐ付くはずだし、大阪で唯一の取引店になったらどうかな」とすすめた。 

( なんか聞いたことある名ですね・・・参考意見として承っておきますとのことだった。)

 

更に、九州初で唯一の女性杜氏 若波酒造「今村友香」さんをこの金原さんが知っているとのことで

驚いたが、「 じゃあ 若波の『蜻蛉(とんぼ)』を置くのもありだよね。九州でもなかなか

お目にかかれない 幻の蜻蛉(とんぼ)と言われてるんだ」と言ったところで・・・

 

「あの~ ところでいったいお仕事何されてるんですか?」

「まぁ プータローみたいなもんしてますわ ha ha」

 

BGMのレコードを入れ替え、それまでの軽音楽からガラリ一変「青江美奈」

「あれ、日本酒マニアが来たようですよ」

 

やがて 青江三奈のメロディーに導かれたのか常連客が入って来て日本酒談義

・あの独特の癖がある「三芳菊(徳島)」がいいよ あのくせ~酒置きなよ

今どき、貴重だぜ くせ~酒も

・「房島屋」がうまいし

・「仙禽」のふつーのじゃなくっても一段あめ~やつもいいぜ

・「いづみ橋」はあと味が良かった 品がある

 

いろんなことをぶづぶつぼそぼそと話していた。

「三芳菊」以外は、だいたい理解できた。

ha ha  聴いてるだけでおもろいな~

 

結局その夜の私は、「鯨波」純米ひやおろしを奥さん手作りの「おでん」

そして3種きのこのキッシュ で すいすいと四杯頂いた

 

おでんの味付けなかなか良かったし、キッシュも最高!!

( 「ありがとうございます。 早速 嫁に報告しときます」とのこと)

 

くじら並みには飲めなかったけど鯨波を四杯飲んだ大阪・今里のフライデーナイト。

「酒屋 へちかん(HECHIKAN)」

まだ開店して2月半とのことだが、

なんとなく この一室空間は、レアな日本酒が集まる マニア噂の店になりそうだ。

(寅)