紫四季歩 美VersionⅤ

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港区 天現寺スクエア 推定恋愛+を観に行った

2019年06月27日 | 東京都 演劇


































昨年、あと数か月でブログが終了するころ、初めて朗読劇なるものを観た。

私としては、それは実に新鮮なものであった。

シンプル過ぎる演出でありながら、その空間から伝わるものは、むき出しの感情であり、愛情であり、

そして、感動であった。

私自身、イベントがあればイベントに行き、観光で日本だけではあるが各地を巡り、

桜前線なるもので、桜の開花を追いかけたりとして来たが、

演劇鑑賞は全くの初めて。

しかも朗読劇。

観る迄は、動きなど殆ど無いのだろうと思っていたが、それは見事に裏切られた。

推定恋愛というテーマでありながら、最後に感じたのは家族愛。

次回も必ず観よう!と心に誓いながらも、昨年12月同じ朗読劇の家族草子を観た。

これも面白かった。

小さな会場であったが、それ故に伝わる演者の息吹や感情。

そして、2回目の推定恋愛+を観るために、私は天現寺へ向かった。










時間に余裕を持って出発したつもりであったが、首都高速で事故があり、まさかの渋滞。

用賀料金所迄のろのろ運転なら、下を降りた方が早いと思い、降りるが・・・こっちもノロノロ。w

到着したのは12時近く。

前回止めた駐車場は満車。

少し離れた駐車場を見つけ、そこに止める。

約1km離れているのか?

この日は暑く、汗を拭きながら天現寺スクエアに到着。

手続きをし、会場に入る。

演劇鑑賞に来たのに、一眼レフカメラをぶら下げて、違和感アリアリの私だが、

昨年コンデジで撮影を失敗したので、それを防止する意味でも、一眼を持参した。

一通り撮影をし開演を待つ。

そして劇は始まった。







第一幕  かき氷



姉妹の会話から始まる。

主人公は「ちなつ」という。

海水浴に彼氏と一緒に行き、そこで様々な感情が沸き起こる。

かき氷を食べる彼氏の姿を見て、そんなちなつの感情をかき氷で表している。

男目線であれば、彼女の水着姿や他の女性の水着姿に目が行くが、

この場合は、女性目線。

男女の気持ちは、混ざりあうのか?

苺ミルクのかき氷を混ぜれば、ピンク色になる。

そんな心象風景を表している。

「キスしよう」

時期は夏なのに、清涼感を感じる女性の気持ち。

青春が2度あれば・・・

観ている方はそんな事を思う。

自分が齢を重ねたためでもあるが、女性はそんな事を考えるのか?

そんな気持ちにしてくれたものであった。




第二幕  ペット



男女が一緒に住んでいて、夫婦でなければ同棲。

そして、女性は働いていて、男が無職となればヒモですね。

会社の女子寮に、男が転げ込んで来た。というところでしょうか?

なんで、こんな男に惚れたのか?

古今東西どれだけの女性が、そんな事を思ったのか。

そんなダメな男は、ペットと思えばいい。

思われる方は屈辱であろうが、屈辱も感じない程グータラであろう。

私はダメな男ではない!と思いつつも、助けてくれる彼女はいるか?

自分の回りに、そんな甲斐性な女性はいるか?

そうなると、今観ている劇は男として一つの理想。

女はため息をつくけど、一度はしてみたいかな?

ペット生活。







第三幕   虫メガネ



どうにも疑心暗鬼にとらわれる彼女。

彼氏が留守の間に、彼の部屋を物色し、他の女の痕跡を探し出そうとする。

おいおい、いいのかよ?

とんでもない女だな!

警察の家宅捜査のごとく、部屋を調べ尽す。

無い、何も出てこない。

徒労というか、無駄足であった。

自分が彼氏であれば、俺を信じろと言いたくなる。

勿論、その場にいればケンカどころでは済まないであろう。

他の女の髪の毛も歯ブラシも出てこない。

それ見た事か!彼氏を信じろよ!

心のレンズで、男の気持ちを見てみろよ!

あ~、これが自分の彼女であったら・・・最低だな。

でも、部屋にあった知らないデジカメ。

やはり、男の負けであったか?







第四幕   ホタルの熱



電車の中に親子が一組。

母親と6才の息子。

はたから見ると普通の親子であるが、母親の心の中には心中という選択肢があった。

破滅に向かう母親であったが、6才の息子「シュン」が、発熱して途中下車をする。

心中するつもりであったが、病院に行き治療をする。

病院を後にし、行きついたのは民宿「ななみそう」。

そこを切り盛りする女将と、アンドウ親子の物語が始まる。

アンドウは、以前は夫もいた。


昔、会社勤めから独立をし、電気関連の仕事をしていた。

やがて、大手の得意先を失い、経営が悪化。

家計が苦しくなると、夫が蒸発。

自分は、バイトやパートで生活費を稼ぐが、病弱な息子のため途中退勤を何度も強いられる。

やがて、解雇をされる。

全てに絶望した彼女は、息子と死出の旅に出た。



民宿の女将には孫がいなかった。

娘がいたが、夫を刺してしまい服役中。

出所しても、孫は無理だろう。

そんな女将にとって、6才のシュンは未だ見ぬ孫の郷愁を呼び起こす。




民宿で食事をし、風呂に入る。

女将のおかげで、何かこのままでいいのか?そんな気持ちが起こる。

息子と2人切りになると、息子が抱き着いてきた!

ママ!ママ!ママ!

息子の心臓の鼓動と温もりが母に伝わる。

そして一気にこみ上げる感情、大声で泣く!

抑えられない感情!にひたすら嗚咽する。

すると、民宿の女将がその場に現れる!





死を選ぶ選択肢。

私自身、仕事上2人の先輩の自殺を経験した。

2人とも、金銭に関わることであった。

「何故に死を選んだのか?」

払い切れない借金、隠し切れない着服金。



演じられた内容も、夫が失踪してからの生活資金などで苦しんだ。

最初は心が風邪をひいた程度のものだったのだろうが、

心の風邪はやがて重症化する。

他人や身内の冷たい視線も要因かもしれない。

カネは絶望を与えるのか?

だが、偶然出会った癒し。

民宿の女将の存在は、死を選んだものに躊躇いを与えた。

女将自身も、順調な道を歩んできたわけではない。

お互い、何かを失い絶望を感じた物同士の、服のボタンと穴が合致した。

「また明日」

死を覚悟した者に投げかけられた女将の一言。

病弱な息子が、母に対する精一杯の気遣い。

ごめんという言葉。

死にたくない!そんな気持ちが溢れた時、泣くしかなかった。

ここがどこであろうが、弱い自分を全て曝け出すには、泣くしかなかった。

それを止める理由もない。

女将も「泣くがいい」を言って舞台は終了する。

この先が本当にハッピーエンドなのか?それとも破滅なのか?

だがその答えは「ホタル」であろう。

ホタルの光は熱くはない。

眩しくもない。

だが、ぼんやりと温もりを感じる明かりなのは間違いない。

目を瞑れば、朧気乍ら見えるはずだ。

温もりという希望が。

この先の道も厳しいが、親子も、女将もきっと微笑んでいる。

それを答えとして、私は推定恋愛+という心の本を閉じた。







全てを観て。


BGMはピアノソロの生演奏。

演じる役者さんは、基本的に白の衣装。

派手な照明も、効果音も無い。

大袈裟な舞台装置も無い。

ただ、演じられる熱意から受け手が、効果音でも舞台装置でも思い浮かべればいい。

己の想像力を掻き立てるには、最高の舞台だと思う。

100分という演目時間であるが、あっという間であった。

前編が3話構成による男女の恋愛観。


後編が1話の家族観。

申し訳ないが、「ホタルの熱」の圧倒的インパクトに男女の恋愛観が霞んでしまった。

演じる方も、感情が入り緊迫感が伝わってくる。

昨年もそうであったが、推定恋愛という主題であるが、

観終えると、恋愛観ではなく家族愛を強く感じる。

推定恋愛ではなく、絶対家族。

それを感じる。



今回私は観劇中、メモをした。

それぞれの劇の中で、ポイントという言葉をその場でメモをし、後の感想文に利用しよう。

だが、「ホタルの熱」はその必要も無かったか?

今も脳裏にはあの情景が思い浮かぶ。

良かった!



朗読劇3回目であるが、3回とも出演された役者さんがいました。

その中でも子役というか、少年少女を演じたらピカイチ!と言える、

横山葵子さんに写真をお願いする。

どうですか?少年役でしたが、そう思うでしょ?

来年も行きたいですね。

それと、機会があれば観劇の機会を増やしたいですね。

映画を観るのもいいけど、舞台もいい!




本当に、良い舞台だった。


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武蔵野市 Cafe Gallery Musashino 家族草子cafeVol4 朗読劇 「サンタ失格」 「閉園近し」

2018年12月22日 | 東京都 演劇




































おでんのジャガイモは、煮過ぎると崩れてしまう。





今年の6月、人生初めて朗読劇なるものを観劇した。

面白かった。

常に煌びやかな物を求め、華やかなイベント、桜の開花、イルミネーションなどを追い求めた。

そんな私にとって、朗読劇は実に新鮮であった。

派手な衣装や舞台装置などいらない。

演者の言葉や息遣いで、感動は伝わるものだ!

今月16日、その感動を求め武蔵野に向かった。




朝8時に出発し、途中大磯パーキングエリアと海老名サービスエリアで休憩。

毎度の事ながら、大磯で食べなければ良かったな。w

東名を走ると、カーナビは環八方面を指す。

全国津々浦々出掛けている私であるが、環八方面は非常に珍しい。

吉祥寺とか、桜前線で出かけた事があるが、あの時、このルートだったか?

そんな事を考えながら、目的地のcafeギャラリー武蔵野近辺に到着する。

「駐車場が無いね」

う~む、またもや駐車場難民か?

周辺を探すと満車だらけ。

少し、周辺を走ると郵便局近くに上限1400円の駐車場がある。

そこに止めると、雨が降り出す。

お~マイガ!!!

まだ開演時間前なので、ランチと場所の確認と思い、少し歩く。

ランチを済ますと、車に戻る。

雨が上がらないので、傘をさしたままカメラと陣中見舞いを手に持つ。

開演15分ほど前に、会場であるcafeギャラリー武蔵野に到着する。

中に入ると、すでに観客で一杯である。

「3番の方~!コーヒーのかた~!」

そうそう、今回の朗読劇はソフトドリンク付きで2500円である。

そんなに安くてインカ帝国?と思うが、インカ帝国なのであろう。

休憩時間を含めて約90分である。

この日は、13時と16時半の2回公演で、私は13時の部を選んだ。

私の生活を考えると、13時以外は考えられない。

私は料金を支払い、コーヒーをお願いする。

席に座ろうとすると、狭いわね。w

前回の推定恋愛も狭いと思ったが、今回もタイトね。w

しかし、ヴィルヘルム・フルトヴェングラーは感動は人間の中にでは無く、人と人の間にあるものだ。と言った。

このタイトな空間が大きな感動を生み出す気がする。

陣中見舞いを料金支払い時に渡し、私は着席する。

場所は前から3列目である。

前もそうだったな?

全体を見渡すにはいいだろう。

それと、一眼レフのレンズを考えると、最後の撮影時に表情を捉えるには、ギリギリの距離だな。

やがて朗読劇が始まった。







第一部

「サンタ失格」

携帯の販売会社に勤めるサラリーマンが、主人公の様だ。

男には妻がいて、小さな息子がいる。

息子はサンタの存在を信じている。

息子のそんな無垢の思いが、家庭や学校でひずみを生み出す。

やがて、夫婦は別居生活をする。

男は母親と同居生活をする。

だが、クリスマスの夜、男は息子にプレゼント渡すために、我が家に向かう。

だが、妻は家に入る事を拒否する。

玄関のノブにでも、プレゼントを下げて置けという。

だが、実の母親から孫へと小遣いを預かり、そして心の葛藤もあり、

家の中へ入ろうとする。

だが、妻に見つかる。

あわや門前払いか?というところで息子が起きて来た。

父親に抱き着く息子、その姿に妻の心の氷も解ける。

クリスマスの夜、家族3人一つ屋根の下で寝ることになった。





※サンタなんか、いる訳が無い!

そう、サンタなんかいないのだ!

だが、子供はサンタがいる事を信じている。

信じているからこそ、その心を大切にしたい。

そんな父親の心を、妻は冷たく否定する。

やがて、夫婦間の溝となる。

夫婦に限らず、人間関係など些細なことで溝は出来る。

問題なのは、その溝を埋める事が出来るかどうか?

「おでんのじゃがいもは熱を入れ過ぎると、煮崩れてしまう」

男の母親は、人間関係、夫婦関係をおでんのじゃがいもに例えた。

一番いい食べごろ、一番いい関係。

それを探すのは、自分であろう。

更におでんのタネのゲソでも、するりと落ちたと表現している。

成程なと思った。

煮崩れたじゃがいもは元には戻らない。

覆水盆に返らずであるが、人間関係はそうではない。

それを伝えたかったと思う。

演じた野崎さんは、気は優しくて大男的な意味合いがあり、観ている方も歯がゆいな!と思いつつも、

子供の頃、父親から受けた仕打ちなどを、切々と語ると、う~んそうだよな~・・・と思う。

子役の横山さんは女性でありながら、少年を見事演じきった。

うん、サンタはいるよ!  うんうん、君は正しい!

パパが大好きなんだね。

だったら、別居なんかしたらダメでしょ?藤井さん演じた奥様!

黒縁メガネをかけた奥様役は、ざ~ます!というかドS感ありましたよ。

でも、最後はちゃんと理解をして、めでたしめでたし。

独身の私には、溝が埋められた夫婦って、いいな~と思ったことと、

おでんのじゃがいもは、加熱し過ぎない様にすることを誓った。w







第二部

「閉園近し」


男は銀行員であった。

しかし、些細なことで銀行員をやめ、フリーのデザイナーになった。

だがある日、身体のだるさが気になり、病院へ。

男は急性骨髄性白血病であった。

男には妻がいて、娘がいた。

幼き娘を残し、自分は死んでしまうかもしれない。

男は思い出作りのために、ディズニーランドに家族で行った。

今まで、自分は撮影をする側であったが、妻にカメラを渡し、自分を撮って欲しいと願う。

過去の家族のビデオには、自分が映っていない。

娘のためにも、父親の存在を残しておきたい。

切なる願いであった。

だが、妻はそんな亭主にカツを入れる。

閉園は明日の為の準備であって、終わりではない。

つらく、苦しい治療が続くであろうが、奇跡や希望を信じる!

夫婦は前を向いた。







※あなたは急性骨髄性白血病。

人間、目の前は真っ暗闇になりますね。

そんな死の病にかかったのに、何で銀行員を辞めたんだ!

勿論、銀行員を辞める時は、そんな病気になる事など誰が想像するだろうか?

別に、病気でなくても、後悔先に立たずというのは、誰しも経験する事。

あ!あの時あ~しておけば! こ~しておけば!

それが死の病を背負うことにより、その後悔は一層強くなる。

自分がそんな病に罹ったらどうする?

自分の場合は、独身である。

誰に相談する?

主人公の場合は、妻がいた。

瀬上さん演じる妻は、己の感情をむき出しにして、千代さん演じる夫に訴えかける。

思わずこの瞬間、私も演技に夢中になる。

そんな強烈な夫婦間の中に、横山さん演じる娘が無邪気な演技を挟み込み、

緊張感の中に安ど感が生まれる。

まだ死ぬと決まったわけではない。

治療を続けて、前を向く。

やはり、人間は一人では生きて行けないものなんだ。

家族は時に面倒なことが多いが、その存在が大きな支えになる。

家族って、いいな。

確かに!!!









演じる方々は、前回と同じく白い上着に黒のパンツかスカート。

特に照明などの演出も無く、椅子以外何も無い。

BGMは松尾さん演じるオルガンというシンセサイザーだけ。

実にシンプルである。

思うに、私は旧ブログのモチーフを思いついた。

旧ブログは、CR平家物語というパチンコがベースである。

派手で煌びやかなイメージのパチンコであるが、出来るだけシンプルに!と出来たのがそれ。

私はそれに魅了された。

ギャンブルという、カテゴリーであるが挑戦的なそれに感銘した。

普段、派手なイベントに出向く私であるが、心のどこかでシンプルな物を求めているのか?

ああ・・・ラジオの中継の様に、己の頭の中でいくらでもフィールドを描く事が出来る。

朗読劇も、目の前の演じている中に、人それぞれのフィールドを描く事が出来る。

想像力が高められる。

それに魅了されたのであろうか?

勿論、演じる方々の技量もあるだろうし、脚本の素晴らしさもある。

行きも帰りも大変であるが、この先、機会があればまた観たい。

何しろ、久しぶりに長文のブログを書いた。

書きたいと思った。


伝えたいと思った。

まだまだ書ける!

ありがとうございました。


ここで一句

     朗読は

        脳内活性

           いいかもね?



最後に、前回初めて撮影をしたのに、ピンボケ写真になってしまった藤井沙央理さん。

リベンジ、させていただきました!

次回はスピードライトも付けて、撮影します!w

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