おでんのジャガイモは、煮過ぎると崩れてしまう。
今年の6月、人生初めて朗読劇なるものを観劇した。
面白かった。
常に煌びやかな物を求め、華やかなイベント、桜の開花、イルミネーションなどを追い求めた。
そんな私にとって、朗読劇は実に新鮮であった。
派手な衣装や舞台装置などいらない。
演者の言葉や息遣いで、感動は伝わるものだ!
今月16日、その感動を求め武蔵野に向かった。
朝8時に出発し、途中大磯パーキングエリアと海老名サービスエリアで休憩。
毎度の事ながら、大磯で食べなければ良かったな。w
東名を走ると、カーナビは環八方面を指す。
全国津々浦々出掛けている私であるが、環八方面は非常に珍しい。
吉祥寺とか、桜前線で出かけた事があるが、あの時、このルートだったか?
そんな事を考えながら、目的地のcafeギャラリー武蔵野近辺に到着する。
「駐車場が無いね」
う~む、またもや駐車場難民か?
周辺を探すと満車だらけ。
少し、周辺を走ると郵便局近くに上限1400円の駐車場がある。
そこに止めると、雨が降り出す。
お~マイガ!!!
まだ開演時間前なので、ランチと場所の確認と思い、少し歩く。
ランチを済ますと、車に戻る。
雨が上がらないので、傘をさしたままカメラと陣中見舞いを手に持つ。
開演15分ほど前に、会場であるcafeギャラリー武蔵野に到着する。
中に入ると、すでに観客で一杯である。
「3番の方~!コーヒーのかた~!」
そうそう、今回の朗読劇はソフトドリンク付きで2500円である。
そんなに安くてインカ帝国?と思うが、インカ帝国なのであろう。
休憩時間を含めて約90分である。
この日は、13時と16時半の2回公演で、私は13時の部を選んだ。
私の生活を考えると、13時以外は考えられない。
私は料金を支払い、コーヒーをお願いする。
席に座ろうとすると、狭いわね。w
前回の推定恋愛も狭いと思ったが、今回もタイトね。w
しかし、ヴィルヘルム・フルトヴェングラーは感動は人間の中にでは無く、人と人の間にあるものだ。と言った。
このタイトな空間が大きな感動を生み出す気がする。
陣中見舞いを料金支払い時に渡し、私は着席する。
場所は前から3列目である。
前もそうだったな?
全体を見渡すにはいいだろう。
それと、一眼レフのレンズを考えると、最後の撮影時に表情を捉えるには、ギリギリの距離だな。
やがて朗読劇が始まった。
第一部
「サンタ失格」
携帯の販売会社に勤めるサラリーマンが、主人公の様だ。
男には妻がいて、小さな息子がいる。
息子はサンタの存在を信じている。
息子のそんな無垢の思いが、家庭や学校でひずみを生み出す。
やがて、夫婦は別居生活をする。
男は母親と同居生活をする。
だが、クリスマスの夜、男は息子にプレゼント渡すために、我が家に向かう。
だが、妻は家に入る事を拒否する。
玄関のノブにでも、プレゼントを下げて置けという。
だが、実の母親から孫へと小遣いを預かり、そして心の葛藤もあり、
家の中へ入ろうとする。
だが、妻に見つかる。
あわや門前払いか?というところで息子が起きて来た。
父親に抱き着く息子、その姿に妻の心の氷も解ける。
クリスマスの夜、家族3人一つ屋根の下で寝ることになった。
※サンタなんか、いる訳が無い!
そう、サンタなんかいないのだ!
だが、子供はサンタがいる事を信じている。
信じているからこそ、その心を大切にしたい。
そんな父親の心を、妻は冷たく否定する。
やがて、夫婦間の溝となる。
夫婦に限らず、人間関係など些細なことで溝は出来る。
問題なのは、その溝を埋める事が出来るかどうか?
「おでんのじゃがいもは熱を入れ過ぎると、煮崩れてしまう」
男の母親は、人間関係、夫婦関係をおでんのじゃがいもに例えた。
一番いい食べごろ、一番いい関係。
それを探すのは、自分であろう。
更におでんのタネのゲソでも、するりと落ちたと表現している。
成程なと思った。
煮崩れたじゃがいもは元には戻らない。
覆水盆に返らずであるが、人間関係はそうではない。
それを伝えたかったと思う。
演じた野崎さんは、気は優しくて大男的な意味合いがあり、観ている方も歯がゆいな!と思いつつも、
子供の頃、父親から受けた仕打ちなどを、切々と語ると、う~んそうだよな~・・・と思う。
子役の横山さんは女性でありながら、少年を見事演じきった。
うん、サンタはいるよ! うんうん、君は正しい!
パパが大好きなんだね。
だったら、別居なんかしたらダメでしょ?藤井さん演じた奥様!
黒縁メガネをかけた奥様役は、ざ~ます!というかドS感ありましたよ。
でも、最後はちゃんと理解をして、めでたしめでたし。
独身の私には、溝が埋められた夫婦って、いいな~と思ったことと、
おでんのじゃがいもは、加熱し過ぎない様にすることを誓った。w
第二部
「閉園近し」
男は銀行員であった。
しかし、些細なことで銀行員をやめ、フリーのデザイナーになった。
だがある日、身体のだるさが気になり、病院へ。
男は急性骨髄性白血病であった。
男には妻がいて、娘がいた。
幼き娘を残し、自分は死んでしまうかもしれない。
男は思い出作りのために、ディズニーランドに家族で行った。
今まで、自分は撮影をする側であったが、妻にカメラを渡し、自分を撮って欲しいと願う。
過去の家族のビデオには、自分が映っていない。
娘のためにも、父親の存在を残しておきたい。
切なる願いであった。
だが、妻はそんな亭主にカツを入れる。
閉園は明日の為の準備であって、終わりではない。
つらく、苦しい治療が続くであろうが、奇跡や希望を信じる!
夫婦は前を向いた。
※あなたは急性骨髄性白血病。
人間、目の前は真っ暗闇になりますね。
そんな死の病にかかったのに、何で銀行員を辞めたんだ!
勿論、銀行員を辞める時は、そんな病気になる事など誰が想像するだろうか?
別に、病気でなくても、後悔先に立たずというのは、誰しも経験する事。
あ!あの時あ~しておけば! こ~しておけば!
それが死の病を背負うことにより、その後悔は一層強くなる。
自分がそんな病に罹ったらどうする?
自分の場合は、独身である。
誰に相談する?
主人公の場合は、妻がいた。
瀬上さん演じる妻は、己の感情をむき出しにして、千代さん演じる夫に訴えかける。
思わずこの瞬間、私も演技に夢中になる。
そんな強烈な夫婦間の中に、横山さん演じる娘が無邪気な演技を挟み込み、
緊張感の中に安ど感が生まれる。
まだ死ぬと決まったわけではない。
治療を続けて、前を向く。
やはり、人間は一人では生きて行けないものなんだ。
家族は時に面倒なことが多いが、その存在が大きな支えになる。
家族って、いいな。
確かに!!!
演じる方々は、前回と同じく白い上着に黒のパンツかスカート。
特に照明などの演出も無く、椅子以外何も無い。
BGMは松尾さん演じるオルガンというシンセサイザーだけ。
実にシンプルである。
思うに、私は旧ブログのモチーフを思いついた。
旧ブログは、CR平家物語というパチンコがベースである。
派手で煌びやかなイメージのパチンコであるが、出来るだけシンプルに!と出来たのがそれ。
私はそれに魅了された。
ギャンブルという、カテゴリーであるが挑戦的なそれに感銘した。
普段、派手なイベントに出向く私であるが、心のどこかでシンプルな物を求めているのか?
ああ・・・ラジオの中継の様に、己の頭の中でいくらでもフィールドを描く事が出来る。
朗読劇も、目の前の演じている中に、人それぞれのフィールドを描く事が出来る。
想像力が高められる。
それに魅了されたのであろうか?
勿論、演じる方々の技量もあるだろうし、脚本の素晴らしさもある。
行きも帰りも大変であるが、この先、機会があればまた観たい。
何しろ、久しぶりに長文のブログを書いた。
書きたいと思った。
伝えたいと思った。
まだまだ書ける!
ありがとうございました。
ここで一句
朗読は
脳内活性
いいかもね?
最後に、前回初めて撮影をしたのに、ピンボケ写真になってしまった藤井沙央理さん。
リベンジ、させていただきました!
次回はスピードライトも付けて、撮影します!w