チュエボーなチューボーのクラシック中ブログ

人生の半分を過去に生きることがクラシック音楽好きのサダメなんでしょうか?

ブルックナー vs ブラームス & 7番の自筆譜

2013-09-27 20:08:08 | 何様クラシック

第九合唱団のクラシック好きのおじさんたちに「ブルックナーは好きですか?」って質問してみたら


「若い頃はよく聴いた」って答えがなぜか多かったですね。


ボクなんかはジジィになっても聞き続けると思うんですが。。ガキなんでしょうか?


悩みがゼロになる瞬間をくれる、数少ない音楽だと思うんです。


 


ブルックナーってどんな人だったのか知りたくて何冊か本を読みましたが


田代櫂 著『アントン・ブルックナー 魂の山嶺』(春秋社)が特に作曲者に対する愛情に溢れていて好きです。いくつかの疑問も解けました。


 


疑問1 死体マニアでロリコン(?)の変なおじさんがなんでこんな神懸った曲を書けたのか?


→性格は『底深い謙虚さと、誇り高い自尊心の共存』(33ページ)。いろんなベクトルのキャラが同居してんすかね。田舎っぽい方言ときれいな標準語を使い分けていたらしいし。


それと、ブルックナーはオルガンのアドリブの天才でもあったんですね。。イメージとちゃう。


 


疑問2 ブラームスと仲が悪かったのは何故か?ワーグナー派か否かは別として2人の曲どちらも誠実さでは共通しとるやん!


→ブルックナーは南ドイツ人でカトリック、ブラームスは北ドイツ人でプロテスタントで性格が真逆(248ページ)。


 


『ブルックナーはブラームスの冷血さを嫌い、ブラームスはブルックナーの抹香臭さを嫌った。


周囲の者たちが二人を仲良くさせようとレストラン「赤いはりねずみ」のテーブルに同席させたが


気まずい雰囲気が流れる中、ブラームスがメニューを手に取って眺め始めた。


「薫製ポークの団子とキャベツ添え、これが私の好物だ」


ブルックナーがすかさず彼を振り返った。


「ほーらね先生、キャベツを添えた薫製ポーク、これがわしらの合意点ですて」


一座は和やかな大笑いとなったが、その後も二人の関係が好転することはなかった。』(255ページ)


 


→ 2人の天才の顔合わせ、臨場感があっていいですね!


そんなブラームスがブルックナーの葬儀では教会に足を踏み入れず、関係者が中に入るようにうながしたが「もうじき私の柩を担ぐがいい」とつぶやいて立ち去った。それにもかかわらず柱の影で涙を流しているブラームスが目撃されている(318ページ)。


。。。なんつーツンデレ!ブラームスの音楽そのまんまやね。


ブラームスの書庫には膨大なコレクションがあり、楽譜もたくさんあったらしいのですが、その中にブルックナーの7番、8番、テ・デウムもあったそうですね。ちゃんと研究してたんだ!


 


ところで最近はネットでブルックナーの自筆譜も簡単に見れるようになったんですね。


中でも第7交響曲第1楽章エンディングのスケッチにはいたく感激しますた。


(ちなみに第1楽章冒頭主題の由来はブルックナーが見た、故人が口笛を吹く夢だったらしいです。(同著206ページ)。すげー)


....スケッチだけに、期待通りの素朴な見た目で、この楽譜からあんな音が鳴り響くとは....(いや、一致してんのかもしれんです。)


とにかく音を聞きながら見ると、「変なおじさん」からチョー偉大な音楽が生まれる歴史的瞬間を追体験できます!


 


(追記:2018年7月2日)


高原英理 『不機嫌な姫とブルックナー団』(講談社) 面白くて一気に読破。後半ウルウル。。ブルックナー、音楽も人間像も大好き!