イメージから言って貴族的な人かと思ったら、労働者階級出身で、コックニー訛りにコンプレックスを抱いていた人なのだった。意外だ。
90年代に引退まで覚悟したのに、良質なオファーがとぎれず、特にクリストファー・ノーランとの出会いは大きかったと語っている。
しかも人生指南書というサブタイトルを裏切らず、まことにありがたいお言葉の数々。しかも、ウィットに富んでいるのだ。どうかもっともっと働いてくださいマイケル。
イメージから言って貴族的な人かと思ったら、労働者階級出身で、コックニー訛りにコンプレックスを抱いていた人なのだった。意外だ。
90年代に引退まで覚悟したのに、良質なオファーがとぎれず、特にクリストファー・ノーランとの出会いは大きかったと語っている。
しかも人生指南書というサブタイトルを裏切らず、まことにありがたいお言葉の数々。しかも、ウィットに富んでいるのだ。どうかもっともっと働いてくださいマイケル。
山本陽子篇はこちら。
寺田農が出てくると、場がこの人でいっぱいになる。すごい存在感。その存在感があるからこそ、宮崎駿は「天空の城ラピュタ」でムスカに起用したのだろう。
「どこへ行こうというのかね?」
「見ろ、人がゴミのようだ」
「目がぁぁぁぁあっ」
ラピュタの素晴らしさに、彼の貢献がどれだけ大きかったことか。
わたしは去年、いろんな事情があってサングラスを新調した。サリバン先生のようなグラサンにしようと企図したのだ。イメチェン。実際にかけてみたら大満足。
でも職場にかけていったら同僚に即座に言われた。
「あ、ムスカ」
寺田農は、わたしの世代にとっては相米慎二作品のイメージが強い。日活ロマンポルノの傑作「ラブホテル」はすばらしかった。地元の港座という映画館で見たんだけど、後ろで見ていたじいさんが
「うまい。」
とラストの桜吹雪のシーンに感じ入っていたことを思い出します。
舞ちゃん篇につづく。
「羅生門」「偽れる盛装」「雨月物語」「地獄門」……京マチ子主演作品の数々。世界的にも評価が高く、彼女が大女優であることは疑いない。でもこの評伝を読んで、自分が彼女のことをあまりにも知らなかったことに驚く。
彼女は結婚したことがあるんだろうか。
彼女はどんな男性と(あるいは女性と)つきあっていたのか。
ほら、あなたも知らないでしょう?原節子であれば、謎に包まれていることで神格化されたが、京マチ子の場合はそんなふうでもない。
若いころは、当時としては大柄で、肉感的な肢体と美貌でヴァンプ(毒婦)女優と呼ばれていたのが、前述の名作群によって評価は一変。演技派としても知られるようになった。
わたしがリアルタイムで彼女の作品を観たのは「金環蝕」以降でしかない。「華麗なる一族」も後追い。あの、万俵家の執事、というか家庭教師、はっきり言えば愛人役はすごかった。
市川崑が角川春樹と組んだ「犬神家の一族」において、松子役のファーストチョイスは京マチ子だったことを初めて知った(実際には高峰三枝子が演じた。のちに古谷一行が金田一を演じたテレビドラマでは松子を京マチ子が演じています)。
この書で特に強調されているのは、眉によって印象を操作するテクニックに彼女が長けていたこと。なるほど、大女優というのはすごいものだな。若尾文子が復権したように、彼女も絶対に再評価されるはずだ。
矢作俊彦原作による大友克洋の傑作マンガ「気分はもう戦争」にこんなくだりがある。ジョン・レノンの死を知った右翼の主人公はこう叫ぶ。
「騒ぐな!たかが毛唐の楽団屋じゃねーか。俺たちにはまだ沢田研二がいる!!」
そう、われわれ日本人にはまだ沢田研二がいるのだ。
この書は、彼の存在が(特に団塊の世代にとって)どのようなものだったかを検証したもの。週刊文春連載の単行本化。
甘い歌声が印象的な彼は、しかしケンカが強く、それでトラブルになったこともある。「魔界転生」でガッツを見せたり、現在も反原発運動に関わるなど、意外な硬骨漢なのである。
離婚したときにほとんどの財産を失い、しかしこの年齢になってから「土を喰らう十二ヶ月」でキネマ旬報主演男優賞を獲得するなど、日本の芸能界で引き続き大きな存在でいる。
そう、引き続きわれわれには沢田研二がいるのである。
あの娘の何なのさ篇はこちら。
S・O・S ピンク・レディー 昭和51(1976)年 (アナログレコード音源)
「1カ月に換算すると10万5000円になるんでしょうかね」
「このぐらいなのね…って、ちょっと寂しい感じはしましたね」
未唯mieが、年金をもらいはじめて。驚愕。あのピンクレディーのミーですよ。朝から晩までテレビに出まくっていた彼女の年金額がこれっぽっち?プロダクションから給料はどれだけ出ていたんだろう。
「最初の1年は(月給)5万円ずつ。それから30万、150万、最後の数カ月が350万円」
あ然とする額。日本の芸能界がいかにタレントをだいじにしなかったかがわかる。そりゃ、辞めたくもなる。
PART2「DOWNTOWN BOY」につづく。
篠山紀信篇はこちら。
89才で亡くなって、芸歴が86年なのである。しかも間断なく現役の喜劇女優だったのだ。どれだけすごいことか。わたしにとって彼女は、まさにブラウン管のなかに住んでいる人だった。
だから次女の神津はづきが、杉本哲太と結婚してさっさと芸能界を引退したことについて、メイコがどのように感じていたのか知りたいところだった。わたし、はづきのファンだったんです。
あ、これだけは言っておかなくては。わたしにとって「猿の惑星」のジーラの吹替は、フジテレビ版の楠トシエだけれど、1973年のオンエア当時、歴代最高の視聴率をとったTBS版のジーラは中村メイコでした。情けないことにそのころ山形県にはTBS系列の放送局がなく、月曜ロードショーで「猿の惑星」を観ることはできなかったの。
十朱幸代という人が、どうにもよくわからない。いや大女優であることはもちろん承知している。「魚影の群れ」(監督相米慎二)の緒形拳とのファックシーンは壮絶だったし、「ウホッホ探検隊」(原作干刈あがた、脚本森田芳光、監督根岸吉太郎という豪華版)もすばらしかった。でも、全体的な印象としては無邪気な娘じゃないですか。
親しみやすいルックスがそうさせるのかなあ。小坂一也と事実婚なのも知らなかったですけど、熱愛した歌手というのはやっぱり西城秀樹なのかしら……という具合に、自分の恋愛を隠すつもりがほとんどないあたりの無邪気さがそうさせるのかも。
ルポライターの松田美智子による聞き書き。つまり松田優作の元の奥さんが、優作と親交のあった水谷の来し方について語りあったわけだ。「探偵物語」での、ライターの火を最大にしている工藤(優作)に「東京の人はみんなこうなんですか」とからんだシーンには笑ったなあ。
劇団ひまわり出身で、「傷だらけの天使」で人気が出て、「青春の殺人者」(長谷川和彦監督)でキネ旬主演男優賞を史上最年少で獲得。熱中時代で驚異の高視聴率、そして「相棒」の杉下右京という当たり役を……こんな順調な芸能生活もないはずなのに、彼はいつも芸能界から身を引くことを考えているようだ。
1968年、手塚治虫原作の「バンパイヤ」(見てましたよ!)で主役の狼男を演じて以降、常に「ここは自分のいる場所じゃない」と感じていたとか。しかし彼の徹底した愛されキャラによって、多くの理解者が彼を支えてきたことに感謝もしているのだった。
それから、余計なことですけれど「熱中時代・刑事編」で共演し、のちに結婚した(そして離婚した)ミッキー・マッケンジーのことがわたしは大好きでした。
「だいじょうぶかミッキー!」
「はぁいい、だいじょうび」
映画監督、深作欣二をめぐるムック本。
「仁義なき戦い」「仁義の墓場」などの代表作はもちろん、失敗作という評価が定着している「復活の日」(原作小松左京でオリビア・ハッセーが出ています)「宇宙からのメッセージ」(スターウォーズの日本公開がだいぶ遅れたので、そのあいだにひと稼ぎしようと東映は考えたのだった)のような作品もきちんと紹介されている。
深作といえば有名なのは、撮影が深夜に及び、役者もスタッフもへとへとになることだ。それだけ、彼は粘りまくる。おそらく働き方改革がすすんでいる(らしい)現代の映画界ではありえない撮影法だろう。
それに、作品のためなら多少の犠牲は仕方がないと考えていたらしい。たとえば、「魔界転生」のラストの炎上シーンなど、その熱さはたいへんなものだったとか。
検証のために見てみました。うわー、これ特殊撮影じゃなかったのか。あまりの熱さに逃げ出した役者もいたらしいが
「歌手(天草四郎役の沢田研二)ががんばってるのに役者が逃げてどうする!」
無茶しますフカサク。
彼が亡くなってからだいぶ経つ。関係者は露骨にフカサクと松坂慶子、荻野目慶子の……えーと、そういうことを証言している。もう、そのあたりはあけすけに語ってもいい頃合いだということなんですかね。