事務職員へのこの1冊

市町村立小中学校事務職員のたえまない日常~ちょっとは仕事しろ。

八重の桜~第二十六話「八重、決戦のとき」

2013-06-30 | テレビ番組

Akagamiimg01 第二十五話「白虎隊出陣」はこちら

前回の視聴率は12.9%と急降下。大はずれでした。あまりにも悲惨な展開に視聴者がどんびきしてしまったのだろうか。

でも悲惨さはさらにスケールアップ。西郷家の女性は自刃し(「今日はなにをするの?」という幼子のセリフは痛い)、白虎隊も“勢いで”みな切腹。神保内蔵助(津嘉山正種)と田中土佐(佐藤B作)は差し違え……登場人物に×印つきまくり。

そんななか、八重は元気。およそ保守的な会津の、その文字どおり本丸である城中で女子の参戦が認められたのは、やはり人員の払底と混乱があったんでしょうね。

「リアル~完全なる首長竜の日」を監督した黒沢清によれば、綾瀬はるかは運動神経が良すぎて計算が狂ったぐらいだという。城の中を縦横に走る彼女の姿でそれは納得。

この悲惨なストーリーを締めたのが、綾瀬はるかと貫地谷しほりという、日本のコメディエンヌのツートップだったのはキャスティングの勝利。いまはテンパった表情しかできないけれど、明治の世ではこのふたりのハートウォーミングな芝居が展開してほしいかな。綾瀬&オダギリ、貫地谷&Kjなら……なんかテレ朝の金曜深夜みたいだろうか(笑)

暗いお話とはいえ、いかにも金をかけた造り。有名なエピソードの連続。今回こそ視聴率は上昇して15%超えと読みました。

ところで、オープニングの出演者表に宮下順子の名があるんだけど、いったいどこに出ていたんでしょう…………ええええっ、あのお裁縫の先生だったのっ?!うわーすっかり脂が抜けたんですねえ。お幸せそうでよかったよかった。画像は彼女の、いや日活ロマンポルノの最高傑作「赫い髪の女」

第二十七話「包囲網を突破せよ」につづく

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「オブリビオン」Oblivion (2013 ユニバーサル)

2013-06-29 | 洋画

Oblivionimaxposter これはもう、とにかくお話がよくできている。史上最大の不倫というか、史上最長の愛妻物語というか。

ネタバレ厳禁なので慎重に紹介すると、2017年に異星人との戦いに勝利したものの、核兵器を使用したために人類は地球に住めなくなってしまう。60年後の2077年、人類は土星の衛星タイタンに移住し、地球上にはジャック・ハーパー(トム・クルーズ)とヴィクトリア(アンドレア・ライズボロー)のふたりが残って監視作業をつづけていた……

まるでアダムとイブのような設定で、実際にこのふたりは“最高のチーム”として夫婦のように暮らしている。しかし、情報漏洩対策の一環で記憶を消されているジャックは、見知らぬはずの女性との『思い出』がフラッシュバックして混乱する。

そして60年前に飛び立った宇宙船でコールドスリープしていた乗組員が、まさしく思い出の女性(「慰めの報酬」のときよりはるかに魅力的なオルガ・キュリレンコ)であり、彼女は「ジャック?」とつぶやく。

オブリビオンとは『忘却』のこと。ジャックの記憶が人類の帰趨を決定するのでうまいタイトルだ。「アフター・アース」と同様に未来観は暗いのに、魅力的なガジェットのおかげでわくわくする。

敵だか味方だかわからなくなる監視ロボットのドローンは「攻殻機動隊」のタチコマみたいでかわいいし、操縦席が360°回転するバトルシップの乗員はリバースしまくりじゃろ。異星人に破壊された月が、無残な姿のままで空に浮かんでいる映像だけでもセンスのいい映画であることが確信できる。

で、展開としてアダムとイブはエデンを出ることになるんだけど、そのイブとは……ほいでアダムがなんと……言えねー言えねーこれ以上はなんも言えねー(よくわからなくなったときはトムの鼻に注目)。面白さは保証しますのでぜひ。

ところでトムよ、ジャック・リーチャー(「アウトロー」)の次がジャック・ハーパーってのは、なんかのゲンを担いでるのか?

Oblivion

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「アフター・アース」 After Earth (2013 SONY)

2013-06-28 | 洋画

Jadensmithafterearth1 怪作、と言っていいと思う。つまらないわけでは決してないのだけれど、どうも作り手の方が観客よりも楽しんでいる感じ。

ストーリーはこれ以上ないくらいにストレート。英雄の父。未熟な息子。傷ついた父親を救うために息子は過酷な旅に出て、その過程で成長していく。恐怖に感応する怪物を倒すために、恐怖心を押し隠し……わかりやすい。まるで神話みたい。

わたしはウィル・スミスは嫌いじゃない。でも、分別のありそうな役の彼はちょっと苦手なので、本来ならスルーするところ。しかし監督がM・ナイト・シャマランだと気づいてつきあうことにする(上から目線)。いったいあのウィル・スミスとあのシャマランを組ませようと考えたのは誰なんだろう。ちょっとびっくりな組み合わせ。

シャマランの映画の特徴は、よく言えばはったりが効いていることで、悪く言えば虚仮おどしだ。「シックス・センス」「アンブレイカブル」「ヴィレッジ」など、オチがわかってしまえばなーんだという映画。で、わたしはそんな作品が大好きなので(笑)、いつもつきあってはいるんです(「エアベンダー」はのぞく。あれはいくらなんでも……)。しかし今回はそんな一発オチはもちろんなく、親子の情愛に力点はある。

で、別にSF大作にしなくてもよさそうなものだけれど、客を呼ぶためには仕方ないか。それに、マーケットとしての日本をよほど意識しているのか、息子の名前はキタイ(ウィルの息子のジェイデン・スミス)、娘はセンシ。キタイの使う武器は変幻自在でまるで如意棒

未来の地球は日本の山林そのもので、杉が主体なのでマジで日本でロケしたのかと思ったぐらい(ひょっとしたら設定は本当に日本なのかも)。アメリカでは興行が不調なのに日本でヒットしているのも理解できます。

ただねえ、大きな鳥のくだりなど、もう少しドラマに有機的にからませられたと思うのに(いちおう鳥の恩返しなんだし)、単なるエピソードに終わっている。大スターであるウィル・スミスにとって、息子といっしょにすごす時間が確保できたのはめでたいが、観客のことももう少し考えてほしいのでありました。

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明細書を見ろ!2013年6月ボーナス号~未曾有の人

2013-06-27 | 明細書を見ろ!(事務だより)

364269oblivion 2013年6月号~「明細書はどこでつくられるか2」はこちら

ほんとうはこの時期は、県や市町村における給与削減の動きについてくわしく語るべき。でも6月28日現在ではどうにもよくわからなくて、うちの知事の退職金の方が大きく報じられていたりします。

基本的に押さえておかなければならないのは、わたしたちの給料は、県費で出ているといっても、県の収入ですべてがまかなわれているわけではないということです。社会科教師たちに確認していただければわかりますが、地方交付税という形で地方自治体には国費がつぎこまれており、その算定基準のなかで、人件費が(これまでほとんど削減されなかった国家公務員の削減幅と同様に)減額されたのがことの始まり。

昨秋、首相経験者である副総理兼財務大臣兼金融担当大臣が、

「で、国が削減したんだから地方も下げるんだよな?」

と、例によって放言したことに地方が猛反発して……くわしくは来月

画像は「オブリビオン」
それにしてもトム・クルーズとは勤勉な役者です。休むことを知らないかのように出演作が続々。で、それぞれが一定の水準を保っている。この作品も例外ではなくて、よく考えると史上最大規模の不倫物語。どこが史上最大かというと……

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「検事の本懐」 柚月裕子著 宝島社

2013-06-26 | ミステリ

51atjyaaol_ss400_ うわあ「臨床真理」に否定的だったわたしもノックアウトをくらった。すごくうまくなっている。地元作家云々を超えてどんどんこの人の作品を読んでいこう。決めつけるのはよくないが、震災によってご両親を亡くされた苦みが、この作家の作品を深いものにしているのは確かだろうし。

初期の横山秀夫そのまんまとすら言える「樹を見る」、みごとな人情噺「罪を押す」、幼馴染みのために一肌脱ぐ理由が泣かせる「恩を返す」、特捜の尊大さを描く「拳を握る」、そして汚名を着たままでいる主人公の父が守る秘密を描く「本懐を知る」……いずれもみごとな作品でした。

もうひとひねりすると臭みが残るところを踏みとどまっているというか。絶賛するのは、主人公の名がサカタ(佐方)だからだけではありませんよー。

検事の本懐 (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ) 検事の本懐 (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)
価格:¥ 690(税込)
発売日:2012-11-06
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うまい店ピンポイント~七兵衛

2013-06-25 | 食・レシピ

Ncm_0352 「牛タンの街」はこちら

仙台帰りにそば街道を通り「七兵衛」。去年は行く前に食べてしまい、あまりに満腹のため、Kスタ宮城でなにも食べられなくなってしまって大失敗。だから今回は帰りに。

48号線がラッシュだったため、次年子に着いたのは午後3時。お腹すいた-。でもまあ、この時間だからいくら日曜日とはいえ空いてるじゃろ。

ごらんのとおり県外車も含めて大行列。あちゃー。番号札は「16」まあそれくらいなら待とうか。

でもお店のお姉さんの最初の声でこの店の本当のおそろしさに気づくべきだった。

「88番のお客さんどうぞー」

でえええ、ひと回りしてたのか(へたすると二回りかも)。なんだかんだで二時間待ち。食べ物のために並んだ最長時間です。

でもおいしい。うううおいしい。1050円で食べ放題だからいくらでも……3杯半でギブアップ。くやしいっす。帰ってから体重計に乗ってなお悲しみは深まったのでした。

飛島「しまかへ」篇につづく

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プロ野球観戦記2013

2013-06-24 | スポーツ

Ncm_0343 楽天2 - 6ソフトバンク

8回戦 クリネックススタジアム宮城 観客数19717人

勝:大場(1勝2敗) 負:戸村(2勝1敗) 本 今宮④

新聞のスポーツ欄であっさりかたづけられている試合結果。でも、ライブで観ると少なからず味のある試合だった。

去年と同じ対戦になったのは偶然。田中VS山田の剛速球投手対決から一転、戸村と大場という、ドラフト1位ではあったけれども伸び悩んでいる若手の対決という構図。

球は戸村の方が速いけれど、大場の方が球威は上だった。どうしてこんなにいいピッチャーが今季勝てないでいるんだろうと思ったら、ランナーを三塁においてボークをかまし、無駄な失点を与えていたりしたので精神的な部分が課題なのかな。

去年の試合ではホームランが出なかったので、今回初めてプロの本塁打を拝見させていただきました。もっとも、それが今宮のものだったとはびっくり。長距離打者とはお世辞にもいえないので、彼がレフト方向にライナーを打ったときには、おそらく二塁打だろうと思ったぐらい。Kスタ宮城は三塁側がフランチャイズなので、左翼席が静まり返っていたので高揚感まるでなし

数字に出ない部分では、ソフトバンクの二塁手、本多がセンター前に抜けようかという打球を好捕した美技を見ただけでも行った価値はあったかも。内野席の前の方に陣取ったので、投手のけん制球が美しいことも初めて知った。

去年と違ってチューハイをがぶがぶ。でも楽天の攻撃中ならトイレががら空きであることも学習できているので余裕。テレビで見ると小さいソフトバンクの松田が意外にでかく、身体の動きもすばらしいのですっかりファンになった。

酒田南高校から専修大学にすすんだ長谷川のヒットも見ることができたし、ペーニャのエラーもご愛敬だ。また来るぞKスタ宮城!

2015年バージョンにつづく

Ncm_0344

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八重の桜~第二十五話「白虎隊出陣」

2013-06-23 | テレビ番組

Ncm_0347 第二十四話「二本松少年隊の悲劇」はこちら

前回の視聴率は14.8%。もうちょっと上がると踏んだのだが。

今回は、いくさで負けるときはこういうものなのか、という典型。官軍の侵攻がどの峠から来るのか判然としないため、すべての峠に軍を配備する会津。分散に分散を重ねるという愚。軍学の教科書に載ってなかったのかなあ、それだけはやっちゃいけないって。

それはおそらく、城を、大殿をお守りしなければならないという会津らしい直情がそうさせたのだろう。このドラマを見るかぎりでは、自軍に有利な地点に敵を誘い込むとか、橋が重要なポイントならそこに過剰なほどの戦力を投入するとか(「遠すぎた橋」「レマゲン鉄橋」ですな)の策を講じた気配すらない。ストレート。

今回泣かせたのは、「わだすは、三郎だ」とランボーばりに武装する八重以上に、主家への忠義を涙ながらに訴える使用人の徳造とお吉。官軍側が百姓町人を組織化したのとは違う時間が会津には流れていたわけだ。

その旧さと軍の分散が、白虎隊の出陣という最悪の事態を呼んでしまう。あまり大きな声ではいえませんが、やはり松平容保というお殿様は……

新選組の土方歳三と斎藤一にも別れがやってくる。土方は仙台で起死回生を図り、斎藤は会津に殉じようとする。浅田次郎の「一刀斎夢録」によれば、人斬り斎藤は、常に死地を求めていたわけであり、しかし歴史は皮肉にも真逆の結末を用意していたのでした。

本日の画像は、けさ行って来た(笑)青葉城趾の伊達政宗騎馬像。小学校の修学旅行以来だったけど、でかいっす。

今回の視聴率は、根拠なく15%超えと予想します。風吹ジュンと綾瀬はるかという、新旧のグラビアアイドルの共演はまだつづくらしいのでホッ。ほぼ折り返し地点までこの大河ドラマも来たな。

第二十六話「八重、決戦のとき」につづく

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「煽動者」 石持浅海著 実業之日本社

2013-06-22 | ミステリ

Boox_bk4408536113 「攪乱者」はシリーズ化するのかな。日常の、ほんの小さな国民の不満を極大化することで政府転覆をねらうテロリストたち。まずこの設定にのれるかどうかで評価は大違いだろうと思う。

小児科の不足を政府の無策のためだと印象づけるために彼らがとった行動とは……延々とじゃがいもの芽をとりつづけるテロリストの姿をばかばかしいととるか皮肉だととるかでもやっぱり大違い。

今回は、そんなテロリストのアジト内部でおこった殺人事件。とにかく警察を呼ぶことができない密室を、ここまで大がかりに設定した石持の仕掛けはやっぱり笑える。そしてそして、人間は絶対にそんな理由で人を殺したりしないあたりもあいかわらず。テロリストたちの名前が日本の○○の名前になっているこだわりも石持らしい。

ただねえ、組織の後ろ盾があそこだとすると、離反するテロリストは続出するんじゃないかなあ。

煽動者 煽動者
価格:¥ 1,470(税込)
発売日:2012-09-20
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「秋刀魚の味」(1962 松竹)

2013-06-21 | 港座

486917b211a8d4430c5108daac992f6c 冷徹きわまりない作品。笠智衆、中村伸郎、北竜二の同級生三人(彼らは人生の勝ち組だ)の会話はユーモアに満ちているが、小津安二郎の編集が、ユーモアの裏にある現実の冷たさつらさを露わにする。穏やかな会話が途切れ、男たちが自らの老いと向き合う瞬間まで、小津は画面を切り替えてはくれないのである。

監督の遺作であるこの作品で、主人公はラストに驚くほど悲しい表情を見せる。笠智衆は小津映画では完全に監督のいうとおりの演技しかしないので、これは小津の明確な指示があったと考えるしかない。いったい、どんな意図だったのだろう。

奇妙なシーンもある。

笠智衆は戦時に駆逐艦の艦長であり、当時の部下で、いまは町工場を経営している加東大介とトリスバー(!)で痛飲する。ママはなんと岸田今日子。加東の達者さと笠の朴訥さがかみあい、岸田のまなざしもやさしい。ここまではいつもの小津映画だ。ところが、ここからこのシーンは異様さに満ちていく。

「ねえ艦長、これでもし日本が(戦争に)勝ってたら、どうなってたんですかね」

「負けて……よかったんじゃないか」

「そうですかねえ。まあそうかもしれないなー。バカな野郎がいばらなくなっただけでもね。いや艦長、あんたのことじゃありやせんよ。あんたは別だ」

……むき出しの反戦ととると足元をすくわれる。だってこのあと、バーでは軍艦マーチが流れ、三人は敬礼ごっこを始め、加東は海軍式の行軍をやってみせるのだから。ここは長いですよ。この長さも意図的だったはずだ。

徹底して脚本を練り、俳優の一挙手一投足にまでこだわる小津にとって、「秋刀魚の味」は遺作にはなったけれども、自分の寿命を知っていたはずはない(彼は60才の誕生日に死んだ)のに、なぜこんなに性急だったのだろう。

いつものルールを変えて、娘が嫁に行くのは悲しくて仕方がないと露骨に描き、戦争ではなくて、えらぶった軍人たちの品性に失望していた小津の本音がここで爆発。もしも小津にあと十年の命があったら、違ったスタイルの小津映画を観ることができたかもしれない。なんか、そんな気がする。

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