事務職員へのこの1冊

市町村立小中学校事務職員のたえまない日常~ちょっとは仕事しろ。

今月の名言2017年5月号PART3 失言王

2017-05-31 | ニュース

臼澤みさき / 鳥になりたい feat.江崎とし子

PART2「仏式大統領恋愛事情」はこちら

反省しています。このシリーズ、ほとんど「名言」をとり上げていない。迷言、失言の嵐。しかもその比率がどんどん上昇中。

それはもちろん、現政権のタガが外れていることもあるだろうが、それ以上に“なにを言ってもかまわない”状態にあるからだ。マスコミも守ってくれるしね。

先日の「リーク」がらみでいえば、読売新聞は“偶然にも”こんなタイミングで各都道府県に公務員獣医師の採用状況のアンケートをとっている。まさか獣医師が足りていないという事実をわざわざ大きく報じたかったのかな?もちろんこの記事(「公務員獣医 定員割れ7割」)には加計学園のかの字も登場しない。出会い系バー報道につづき、すばらしい与党応援団ではないか。さすが読売。

それでも、どうにもフォローできない失言は出てくる。

「働かなければいいんだよ」

自民党厚生労働部会において、三原じゅん子参院議員が受動喫煙がらみでがん患者への対策を求め「患者側は店や仕事場を選べない」と、この人にしてはまっとうな主張をしたら、おなじみの“ザ・失言王”大西英男衆院議員(「巫女のくせになんだ」「まず自分が子どもを産めよ」)がこんな野次を飛ばしたのだとか。

どういう意図でこんな野次が出てくるのか、ちょっと理解できない。めちゃめちゃ好意的に考えて、自民党は厚労省の案の「飲食店屋内全面禁煙」に反対し、小規模な飲食店は喫煙可にもっていこうとしているので、厚労省寄りの提案に茶々を入れたかったのかと……だとしたら喫煙者として言わせてもらう。

迷惑だ。

これでますます喫煙者の肩身は狭くなる。おそらくは非公開の席だったので油断したのだろうが、まさかその内容を同じ政党の議員がブログで明かしてしまうとは思ってもみなかったのだろう。その意味でも、この議員のレベルがわかろうというものではないか。

そしてわたしは期待する。この人が議員としての最低ラインであってほしいと。まさかこれ以下の……ああ来月が怖い。

本日の一曲は、大好きな江崎とし子さんがらみで検索していたら出て来た臼澤みさきの「鳥になりたい」。民謡系からは、たまにとんでもないのが出てくる。

2017年6月号「文民」につづく

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「追想の探偵」 月村了衛著 双葉社

2017-05-30 | ミステリ

機龍警察」で、ロボットアニメの設定に徹底したリアリズムをぶちこんで警察小説のエリアを広げた月村了衛(つきむらりょうえ)は、アニメの脚本でそのキャリアをスタートしている。その月村が今回つむいだのは、特撮オタクの世界に地道な人捜しのストーリーをしのばせた作品だった。

零細な出版社(なにしろ社名が黎砦社~れいさいしゃ~ですから)で、その名も「特撮旬報」というマニア向け雑誌を、事実上ひとりでやらざるをえない女性編集者、神部実花は、人捜しの神部という異名を持つ。

28才の彼女は、あらゆる手段を使って芸能界、映画界から消えた特撮もののキャストやスタッフを探し出す名人で……という設定はなかなか容れ物として魅力的。確かに“追想”“探偵”だ。

収録された6篇において、表舞台から消えた人々にはそれぞれ哀しい事情があり、神部は自らの探偵的行為に悩むことになる。このあたりの渋みはいい。

それだけではあまりに地味なミステリということになるだろうけれど、あつかっているのが特撮ものなので、特に東宝怪獣映画や円谷プロ全盛期を知るわたしの世代などは、それだけでうれしくなる。

人気シリーズのなかで再放送もソフト化もされないエピソードがあるのはなぜか、という謎など、ウルトラセブンの第12話を想起させるし(被爆星人というフレーズはさすがにまずかったか)、そういえば特撮ものにはたまに壮絶にきれいな女性がゲスト出演していて、子ども心に胸ときめいたなあ、とか。特撮旬報が本当にあったら、わたしみたいなのが読者になるんだろうな。

彼女が人を捜す動機として、写真を掲載する許可をとらなければ、というあたりには編集の苦労がしのばれる。先日、「映画秘宝 激動の20年史」(洋泉社)を読んで、あの雑誌は初期にとんでもない無茶をしていたんだなとさんざん笑わせてもらったばかりなので。秘宝編集部が各方面とけんかしていたように、神部も出入り禁止をくらって落ち込むディテールがいい。予想外に面白い連作でした。オタクじゃない人にもおすすめ。

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極私的大河ドラマ史PART11 春の坂道

2017-05-29 | 大河ドラマ

PART10「樅ノ木は残った」はこちら

1971年の大河は「春の坂道」。柳生のお話。原作は山岡荘八、演出にはNHKのエースとなる深町幸男が参加している。

柳生、とくればどうしたって柳生十兵衛がメジャー。しかしこの大河は、十兵衛の父親、柳生但馬守宗矩(むねのり)を主人公にもってきた。

剣豪のお話だから、誰が強いのかという興味はある。その点、柳生家には柳生石舟斎、その子の宗矩、その子の十兵衛、いとこの柳生兵庫介と剣豪でいっぱいだ。演じたのはそれぞれ芥川比呂志、中村錦之助、原田芳雄、村野武範(彼はこの大河が終了した二ヶ月後に、真裏の日テレで「飛び出せ!青春」に主演した。主題歌はなつかしの青い三角定規)。

登場人物が宮本武蔵関係とかぶっている。わざわざ吉川英治を読み返さなくても、井上雄彦の「バガボンド」でおなじみの面々でいっぱい。

なにしろ沢庵和尚は宗矩のマブダチだから、宗矩と武蔵に接点がなかったようなのが不思議。まあ、彼ら剣豪をやみくもに勝負させたいと考える人は多いようで、だから「魔界転生」では武蔵(緒形拳)と十兵衛(千葉真一)、「柳生一族の陰謀」では宗矩(やはり中村錦之助)と十兵衛(やはり千葉真一)が激突する。

それはともかく「春の坂道」。

宗矩が他の剣豪と歴然と違っていたのは、政治的才能にめぐまれていたこと。そのことの是非はともかく、一介の剣士が(徳川家に気に入られて)大名にまでなってしまったのだ。しかもただ強いだけでなく、禅の考えを剣に持ちこんだことでも知られている。

中村錦之助はそのあたりで宗矩という存在に惚れ込み、柳生新陰流を会得までしている。だからこそ、十兵衛に新陰流の奥義を伝える場面には迫力があった。

「村雲。」

とつぶやいて剣を……すばらしかったなあ。彼はのちに、水鴎流(すいおうりゅう)の使い手として、柳生と死闘をくりかえすことになるのだが(子連れ狼)。

男くさい大河のなかで、田村高広が演じた沢庵は味があった。他に、徳川家康に山村聡、春日局に司葉子、石田三成に中村敦夫、徳川家光に市川海老蔵という布陣。宗矩の奥さんを演じた松本留美がキュートでした。

PART12「新・平家物語」につづく

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おんな城主直虎 第21回 ぬしの名は

2017-05-28 | 大河ドラマ

第20回「第三の女」はこちら

前回の視聴率は14.5%と予想に反して上昇。うーんびっくり。この作品はいわゆる大河ドラマであることを作り手の側も見る側もやめて、朝ドラ的展開の方を選択しているということだろうか。

今回も、これまでの大河っぽさからは激しく逸脱している。商談にみずからおもむく領主が、南蛮の事物に夢中になっているうちに悪ガキに財布をすられ、単身(!)ガキを追いつめるものの逆に拉致されて……

井伊谷大騒ぎ。というほどでもないことに苦笑。領主が行方不明になっているんだよ?四面楚歌の現状から考えれば、あらゆる可能性を忖度しなければならないのに家中はそこまでの覚悟はないみたい。逆に、井伊直政がいるんだから直虎はすでに使い捨てでもかまわないとでも思われているのかとまで。

もちろんそれは邪推にすぎなくて、この回は直虎に、武家とはいかに収奪するだけの存在なのかを“かしら”(柳楽優弥)に語らせ、同時にそうではない可能性を求める直虎の特異さを際立たせるための事件。無理ある(笑)

その後、井伊家は小林正樹の「切腹」で描かれたように武家の残酷さを体現するし、「花の生涯」などで井伊直弼が“体制”の象徴になることを考えれば、とても皮肉な展開。なにしろ直虎は、同じ泥棒として自らを

「卑しい」

と断ずるくらいなのだから。

今回のタイトルは、某超大ヒットアニメというよりも、数寄屋橋ですれ違う男女のドラマからいただいたと考えればよろしいのかな。なぜって最後に「。」がつかないから。そこまで朝ドラか(笑)

おてんばなお姫様大活躍の回。もう視聴率はどうなるかわかんない。いっそ15%超とギャンブル。

第22回「虎と龍」につづく

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極私的大河ドラマ史PART10 樅ノ木は残った

2017-05-27 | 大河ドラマ

柳家喬太郎 「錦木検校 」

PART9「天と地と」はこちら

1970年は「樅(もみ)ノ木は残った」。これまた国民作家、山本周五郎の原作。この小説を読んだときに特集したように、数多くの企みがしこんであることに呆然とした。

・一般的には悪役でとおっている人物を主人公にしたこと

・その主人公の心の奥底がなかなか見えてこないのを、悪玉のいらだちという形で明確化したこと

・樅ノ木に性的な意味も付与していたこと

ね?一筋縄ではいかない作品でした。

悪役を主役にすえるギャンブルは、しかし「花の生涯」以来、大河の伝統芸のようになっている。伊達騒動の首謀者として悪名高い原田甲斐には、市川雷蔵が予定されていたけれど、彼の死去によって平幹二朗に変更されたというのが通説になっている。はたして病魔に冒されていることが歴然としていた雷蔵を本気で起用するつもりだったかはわからない。でも、表情からまったく考えが読めない人物を演ずるとすれば、雷蔵は適役だったろうと思う。

平幹二朗の抜擢はしかし奏功した。「三匹の侍」(フジ)の虚無的な侍役ですでに人気が爆発していた彼は、この大河で実力を発揮。のちの活躍を考えれば、原田甲斐という深謀遠慮キャラはぴったりだったかも。

視聴率的にはさほどの数字は残さなかったようだけど、傑作大河という評価はかたまっているみたい。

悪役、伊達兵部に佐藤慶、そのバックにいる酒井雅楽頭に北大路欣也。ちなみにこの酒井雅楽頭、落語の世界では「三味線栗毛」、そこの一部をピックアップした「錦木検校」(柳家喬太郎のが絶品!)の登場人物なので、この描かれ方はうれしいんだか哀しいんだか。

他には吉永小百合が声を失った少女役で(彼女が、原作のラストで“濡れる”のだ)、作品を貫くテーマの象徴である鹿に殺される女性に栗原小巻という豪華版。のちに平幹二朗と壮絶な舞台をつくりあげる蜷川幸雄も出演しています。

PART11「春の坂道」につづく

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日本の警察 その89 「慈雨」 柚木裕子著

2017-05-26 | 日本の警察

その88「教場2」はこちら

群馬県警を定年退職した元刑事、神場(じんば)は、妻とともに四国八十八カ所を巡るお遍路の旅に出る。彼は在職中にひとつの屈託をかかえていて、その後悔が巡礼につながる。妻も、うっすらとその事情は察している。

寺をめぐるうちに、群馬で幼女の死体が発見される。そのニュースは神場に16年前の同じような事件を否応なしに思い出させた。当時、彼らが逮捕した人物は、無実だったのではないか……

日本の警察において、退職した人間が現在進行形の捜査にどれだけコミットできるかはよくわからない。しかし16年間かかえた後悔が(かなりひねった形ではあるけれど)現実の捜査の方向性を決めていく。神場夫妻はお遍路の過程でこれまでの生活をふりかえり、そしてお遍路に“出なければならなかった”人たちとの出会いから、事件の真相に(はるかに遠い四国から)気づいていく。

要所要所で読者を泣かせる仕掛けが施してあり、これがかなり有効。実はわたしも泣きました。夫妻の娘の出自のくだりなど、わかっていてもなお、涙がこらえきれない。

しかし、「孤狼の血」でも感じたのだけれど、どうもその仕掛けがわかりやすすぎないだろうか。お遍路探偵という魅力的な設定が、あふれるほどの人情噺のためにくどくなっている気がする。

たとえば神場は、もしも16年前の事件が冤罪だとすれば、自分の財産をすべて投げだそうとまで考える。それは立派だけれども、日本の警察らしく、ここはもっとダークな解決法を模索すべきだと思ったし、それでこそ警察小説としてもう一段味わい深くなるところだとつくづく。

2016年の「本の雑誌」ベストワン。確かに、はまる人ははまると思う。まあ、わたしとて地元在住の美人作家だからめちゃめちゃ応援はしているんですが。

その90「パイルドライバー」につづく

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リーク

2017-05-25 | ニュース

5月22日付けの読売新聞に、とても奇妙な記事が載った。社会面にでかでかと

「前川前次官 出会い系バー通い  文科省在職中、平日夜」

見出しも扇情的。名物次官だった前川氏が天下り斡旋がらみで引責辞任したのは、学校事務職員関係で尽力してくれた彼のことだからみんなご存じのことと思う。なぜ、こんな記事がこの時期に載ったのだろう。

読んでみると、歌舞伎町の出会い系バーに頻繁に出入りしていたとあるが、

「教育行政のトップとして不適切な行動に対し、批判が上がりそうだ」

と記述してあって、つまりはまだ批判は出ていない。というか、記事のほとんどは出会い系バーの説明に終始し(「女性らは、『割り切り』と称して、売春や援助交際を男性客に持ちかけることが多い」)、いかにも前川氏が「売春」や「援助交際」の常習であるかのような記事になっている。

疑問はいくつも。

・すでに退職した元公務員について、ここまで大きく報ずる意図はなにか

・前川氏の行動を、誰が“見張って”いたのか

今朝、すべて了解できました。週刊文春の広告は

「『総理のご意向』文書は本物です」文科省前事務次官独占告白150分

というスクープがトップ。加えて朝日新聞が一面トップで

「総理の意向」担当課が文書提示  獣医学部計画 行政ゆがめられた

と加計学園問題がらみの見出し。

わたしは最初こう思った。前川氏は読売の意味不明な記事の意趣返しのために朝日の取材に応じたのかと。よく考えたら逆ですよね。文春と朝日に加計がらみで前川氏が取材されたことにあせった誰かが、前川氏つぶしに動いたのだろう。

一連の流れが納得できたとして、なによりもわたしは読売がすっかり政権の道具に堕していることが哀しい。記者のモチベーションも下がっているだろうなあ。栄光の読売新聞社会部はいまや……ところで、前川氏を尾行していたのはどの役所?

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勝手に人生相談Vol.03 5月になれば彼女は

2017-05-24 | 日記・エッセイ・コラム

Simon & Garfunkel - April Come She Will

Vol.02「天国の涙」はこちら

公務員の20代女性。配属された部署の仕事に能力が追い付きません。人間関係もつらく、毎日、憂鬱です。

私はあまり仕事ができる方ではなく、失敗ばかりです。気を付けようと思っても、結局どこかで失敗し、自分に嫌気が差します。

部署のトップは、人が傷付くような言葉で指導します。私がミスした時は、「あなたみたいに若くて幸せそうな女の子にはわからないと思うけど」と言われました。他部署の人も、仕事のミスに対して嫌みをネチネチと言います。ドキッとする言葉がいつ、また自分に向けられるかおびえながら、仕事をしています。

前向きに考えようとしてもできません。仕事と人間関係から逃げ出したくて仕方ありません。いっそ辞めてしまおうかと思いましたが、同じ公務員の夫に、つらいのは今だけだからと、反対されました。

人事異動はつきもので、夫の言葉にも一理ありますが、ストレスで体重も減りました。心の持ちようを教えてください。
(兵庫・J子)

読売の回答者である土肥弁護士は、仕事ができないというのは、あなたの思い過ごしのような気がする、と判断。わたしもそう思います。失敗と成功の境界線は人それぞれでしょうが、J子さんはどうも成功のハードルが高すぎるのでしょう。

むしろ気になるのは上司や“他部署”の人との関係のほうで、どうやらストレスの多くはそちらに起因している。明らかにその特定の人物たちへの恨みつらみで凝り固まっているような気さえします。

気持ちはわかりますが、傷付くような言葉でしか指導できないとすればその上司たちが無能なのであって、「若くて幸せそうな女の子」のふりだけでも続けていければいいのに、と利害関係のないわたしなどは思います。むずかしいでしょうけどね。

それから、これだけは言えます。まわりを見渡して、ああ能力のある他の人がうらやましいとお考えでしょうが、誰でもミスはします。確実です。わたしなんかしょっちゅうです。

それでも公務員を長くつづけてこられたのは、他の人たちもミスをするんだということを、少なくとも知っていたからだと思います。適確なアドバイスをくれる、同じ商売の配偶者がいることはやはり幸福であることをお忘れなく。

本日の一曲はサイモン&ガーファンクルの「4月になれば彼女は」。「冬の散歩道」や「ミセス・ロビンソン」でも痛感するけれど、このデュオのサウンドってすげーおしゃれじゃないですか。特にポールのギター。こりゃ、ソロになってからスタッフ組の連中と組むのは必然だったか。

この曲でも歌われています。5月は休む月なんですよ。

Vol.04「披露宴でご披露」につづく

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阪神 0-1 巨人(5月23日 甲子園)

2017-05-23 | スポーツ


いやはや、日本のプロ野球はやっぱり面白い。
正直に言って、去年までの菅野は、確かにいい投手ではあるけれども、見ていてそれほど楽しいピッチャーではなかった。どこかに余裕のなさが見え隠れしていて。

それがどうしたんでしょう。今年は相手によって、えーと、誤解をおそれずに言えば態度を変えるのだ。本気モードに入るとマジで人が変わる。

“ギアを上げる”

と本人も含めてみんな表現している。怒る人もいるんじゃないすか(笑)

でも糸井に対してのピッチングだけを見ても、そら恐ろしくなるほど。

7回裏の三者連続三振には、菅野のポテンシャルを見せつけられた。

他にも、9回裏の亀井のシフトとか、小林の守備力とか、見せ場の多い試合だった。阪神ファンだって今日の菅野の投球には満足したはずだ。

何が言いたいかというと、その昔に同じようなピッチャーがいたなあと。あれは中日戦だったか、客を満足させるために、というより自分が納得したいために9回裏に最速のストレートで勝負し、それ以前にはどこか省エネだった男。

そうです。江川卓です。菅野の伯父さんって原じゃなくて江川だったんじゃないの?

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「円山町瀬戸際日誌」 内藤篤著 羽鳥社

2017-05-23 | 映画

興行というのは、本当にわからないものだと思う。十年も港座上映会にからんでいても、どうしてこの作品にまったく客が入らなくて、こっちには押しかけるのかさっぱり。

むかしから作品の評価よりも興行価値のほうに興味があった人間にして、こうなのである。少しは鼻がきくつもりだったのに、今年に入ってからの北米興行収入の約半分がディズニーのものって数字を見せつけられると、もう何も言えなくなってしまう。映画興行とはいったい何だろう。

「円山町瀬戸際日誌」は、エンタテインメント系の弁護士が、映画好きが高じて名画座を経営することになった、まさしく瀬戸際の日々を描いている。

映画館の名はシネマヴェーラ渋谷。色っぽい街である円山町のシネコンの4階にある。座席数142。いい数字だなあ。ちなみに、いま上映されているのは石井輝男十三回忌記念として「女体桟橋」。うわあ。

“館主”である内藤さんによれば、東京の名画座事情はなかなか複雑で、いい番組をもとめて新文芸座やラピュタ阿佐ヶ谷、そして神保町シネマが常に競争しているのだとか。

そして、映画獣(笑)と呼ばれる名画座フリークが固定客としているらしい。しかしビーストだけでは先細りなので、なんとか一般のお客さんたちを呼びたいのだが……

内藤さんもまた、どんな映画に客が来るのかわからないでいる。フリッツ・ラングや黒沢清に客は来ても、もっとメジャーで新しい作品の集客は苦しいのだとか。そのあたりが映画興行の闇だし、面白いところなのだろう。

喫緊の課題は、映画のデジタル化。35ミリのフィルムで上映するスタイルはまもなく消滅する。新しいフォームに名画座は、そして日本映画界は対応しきれるのか。

シネコンだけでは映画はさみしい。そして映画館で見てこその映画であることを考えれば、名画座の存在価値に疑いはない。名画座の灯を消すな、などと大上段に構えて言いたいわけじゃない。こんな面白い商売を、内藤さんにはもっと続けてほしい。それだけだ。

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