事務職員へのこの1冊

市町村立小中学校事務職員のたえまない日常~ちょっとは仕事しろ。

今月の名言2023年11月号PART2「NO MORE映画泥棒」

2023-11-30 | 映画

「NO MORE映画泥棒」劇場用CMがリニューアルしました!

熊殺しウィリー篇はこちら

「どうにかならないのかアレは」

映画監督の金子修介がX(旧Twitter……この注意書きもどうにかならないのか)でつぶやいた言葉。何に慨嘆しているかというと、映画が始まる前にスクリーンに展開される「NO MORE映画泥棒」のCMについて。映画への期待感を一気にそいでしまうではないかと。

実はわたしもそう思っていて、だからどうしているかというと、あれが流れている間、わたしは本当に目をつぶっています

同じようなことを感じる人も多いようで

「何年も同じバージョンなので飽きが来ている。もうそろそろ新しいバージョンやってくれてもいいと思う」

「警告なのにコミカルってふざけてるとしか思えない」

という反響が。しかし、わたしが意外に思ったのは、むしろ擁護する人が予想以上に多かったことだ。

「映画泥棒のCMより絶対見ることもない、学生の青春恋愛ドラマ映画の予告とか、地元のローカル企業のCMのほうが、見る時間が無駄」

「映画泥棒がいなくなれば無くなるんですけどね。そいつらのせいであって映画館のせいではないです」

ずいぶんと物分かりのいいことではある。しかし警告の意味でやっているのだとすれば、字幕だけで十分なはずではないか。わたしには映倫の自己満足にしか見えないのだが。

2023年12月号PART1「ネクタイ」につづく

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今月の訃報2023年11月号その2 鈴木瑞穂(96才没)

2023-11-30 | ニュース

伊集院静篇はこちら

もちろん俳優として一流の人だけれど、この人はなんといっても声がすばらしかった。彼のナレーションがあると、そのドラマの格が上がったものだった。「柳生一族の陰謀」は、彼の声(と萬屋錦之介の大仰な演技)によって時代劇として成立していたし。「金環蝕」の、体制そのものって感じの大手新聞社記者もよかったなあ。

朝潮篇につづく

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今月の名言2023年11月号PART1 熊殺しウィリー

2023-11-29 | ニュース

伊東四朗さん 浅草軽演劇ほか

2023年10月号PART5「NGリスト」はこちら

「殺処分するな」

「武器を使うのは卑怯だ」

「素手で対応しろ」

今年、特に出没数が多い熊。餌不足や、住宅地が山に進出しているとか様々な理由が背景にはあるとか。悪意がない存在である熊を、人間の都合で殺していいのか、という理屈には一定の真理はあるんでしょう。

しかし、殺処分せざるをえなかった自治体に抗議の電話をかけるというメンタリティがわたしにはどうもわからない。この人たちから感じるのは、自分を上位に置いた正義感の薄っぺらさだ。殺す側の痛みも、少しは理解してほしいというのはないものねだりなのだろうか。それにしたって「素手で対応しろ」には笑ってしまいましたが。ウィリーしかできないってそんなこと。

PART2「NO MORE映画泥棒」につづく。

本日は伊東四朗を紹介。で、わたしは伊東さんの面白さは承知していても、この番組の山田邦子の仕切りにびっくり。うまい人だったんだね。彼女の面白さに背を向けていたので(だから今月の訃報でKANをやる予定はない)ちょっと反省。

PART2「NO MORE 映画泥棒」につづく

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今月の訃報2023年11月号その1 伊集院静(73才没)

2023-11-29 | ニュース

まことに不穏当で縁起でもない特集を開始。訃報を取り扱おうというのだ。偉大なる先達、山田風太郎さんの「人間臨終図巻」に及ぶべくもないけれど、訃報によって人物が定まるものがあるような気がするの。最初は伊集院静

最初に読んだのは直木賞を受賞した「受け月」だったろうか。あの中にあった、母と息子がキャッチボールする短篇には泣かされたなあ。自伝的小説「海峡」、色川武大、というより阿佐田哲也との交流を描いた「いねむり先生」などが印象深い。大作家だけれども、西原理恵子と組んでエッセイの連載をかますというリスキーなことも嬉々としてやっている感じが大人だった。

ではあるけれども、なんといってもこの人は夏目雅子篠ひろ子と結婚したわけで、どんだけもてるんだってことですかね。さすが、大人です。

鈴木瑞穂篇につづく

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「沈黙の艦隊」THE SILENT SERVICE(2023 東宝=Amazon)

2023-11-28 | 邦画

原作が掲載されていた講談社のモーニングは、酒田に「隆月(りゅうげつ)」というラーメン屋があったころに置いてあったので、食べながら読んでいた。「OL進化論」(秋月りす先生!お身体はだいじょうぶなんですか)や「大東京ビンボー生活マニュアル」(前川つかさ)など、講談社らしい連載が多くて好きだった。

その雑誌に長期連載されていたのが「沈黙の艦隊」。原子力潜水艦が独立を宣言し……ってたまに読んでいるだけでは何が起こっているのかさっぱり(笑)。まあ、かわぐちかいじがくり広げるお話が、右翼だの左翼だのという範疇とは違うところで繰り広げられていることだけはわかった。

さて、あの長大なお話を二時間強の映画で語りきることができるはずはない。見る側もそのことは承知している。ということで主人公の海江田艦長が何をめざしているのかは、ほとんどラストにならないと明かされないのは仕方がないんでしょう(笑)。

ただ、それにしたってこの映画からは“熱”が感じられないのだ。製作も兼ねた大沢たかおはがんばったようだけれども、たとえば同じ潜水艦ものでも「ローレライ」にようなアクロバティックな動きも少ないし、政治映画としても閣僚たちに味がないものだから(外務大臣の酒向芳を除く)、そっち方面でも興奮させてくれない。

たとえば「シン・ゴジラ」のときは、無能だと思われていた農林水産大臣(平泉成)が、総理になった途端にその真価を見せるあたりの芸があったんだけどなあ。

東宝は経営に余裕があるからか、大作に若手をよく起用してくれる。この作品に「ハケンアニメ!」の吉野耕平を起用したのも慧眼だと思う。しかしたとえば、脚本に「機動警察パトレイバー」や「空母いぶき」の伊藤和典を起用したらどんな映画になっただろうと考えてしまうのは、きっとわたしが嫌味な客だからか。

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どうする家康 第45回「二人のプリンス」

2023-11-27 | 大河ドラマ

第44回「徳川幕府誕生」はこちら

偉大な父親を持ったふたりの二代目の対比。

一方は、位人臣をきわめた小男の忘れ形見。意外なことに美丈夫に成長し、まわりからもてはやされる。

もう一方は、小男に臣従しながら力を蓄え、事実上の覇者となった男の後継者。その人のよさからまわりからは軽侮されている。

美丈夫である秀頼は、星新一によって描かれたように「城のなかの人」であり、世界が大坂城で完結していた。なにしろ、城を出るまで、牛というものを見たことがなかったほどだ。

二代将軍となる秀忠に徳があるとすれば、自分が凡庸であることをはっきりと自覚していることだ。関ヶ原に遅参したために父親に激怒され、その後もお世辞にも戦上手とはいえない秀忠だったが、すでに戦国の世が終わっている以上、自分は戦が下手だと認識している人物が征夷大将軍であることは、徳川幕府にとってプラスにはたらいたのではないだろうか。

二人のプリンスの行く末は対照的。本人の資質というよりも、取り巻きの差と時代がそうさせてしまったとしか。

さて、関ヶ原からまた時を重ね、松潤の老けメイクはいっそう濃くなっている。自分の時代が終わることを意識した彼は、例の鐘の文言にいちゃもんをつけるというタヌキぶりを発揮……ではなくて、この大河では淀君の悪意、呪いがあの文言にはこめられているとしている。

これもちょっと無理筋かなあ。むしろまったく悪意がなかったとした方がドラマとしては深みを増したような気もしますが。

さあ、次週は真田丸だ

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「RRR」(2022 TWIN)

2023-11-25 | 洋画

インド映画である。とくれば、わたしの世代にとってはサタジット・レイの「大地のうた」のようなアート系か、「ムトウ 踊るマハラジャ」のようなミュージカルコメディだろうか。わたしはどちらも見ていないので、この「RRR」が初めて見るインド映画ということになるかも。

それにしてもすごい人気である。実はわたし、鶴岡まちなかキネマにこの映画を観るために2度出かけて、2度とも満席で入れませんでした。まちキネが再開してから、最大のヒット作なのだそうだ。

とにかく興奮する映画だと聞いていたので、見逃せないなあとは思っていたが、まさかここまでとは。そういえば、わたしの娘はやはりインド映画「バーフバリ」の大ファンらしい。こうやってインド映画好きは広がりを見せている。

その「ハーフバリ」のS.S.ラージャマウリ監督の最新作。インド映画史上最高額の製作費をかけた超大作。歌って踊ってアクション満載という娯楽作。というか娯楽作品の極北とでも言えそう。とにかく面白い。

インド人を圧政のもとに虐げるイギリス人たちはあくまで憎々しく(インド人に味方する美女をのぞく)、なんと実在の英雄を演じた主人公たちは(暑苦しいまでに)豪快だ。ダンスは痛快で(かの「ナートゥ・ナートゥ」はチャプター検索して二度見ました)、ラストの展開はまるで東映仁侠映画のよう。

これこそ映画でなければ描けない世界。あんなひどいケガをして薬草一発で治っちゃうってどうなの?とかめんどくさいことは言いっこなし。インド女性が世界でいちばん美しいことを再確認できた映画でもありました。

あれ?似たようなことをわたしは前にも主張したような…………すみません「マダム・イン・ニューヨーク」が初めて見たインド映画なのを忘れてました。

コメント (4)
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「777(トリプルセブン)」伊坂幸太郎著 角川書店

2023-11-24 | ミステリ

「量子力学で、猫が出てくるやつ、あるよね?」

「ええと、シュレーディンガーの猫のことですか?」

「そうそう、それ」

「観測するまで、猫の状態が確定しない、という譬え話みたいなものですね」

「猫の状態は、観測するまでわからない。まあ、意味はぜんぜん分からなかったけれど。でもさ、あれって答えは分かりきっているよね」

「答え?何が分かりきってるんだ」

「観測している時だって、観測していない時だって、猫は可愛いに決まっているよ」

「え」

グラスホッパー」「マリアビートル」「AX(アックス)」につづく伊坂幸太郎の殺し屋シリーズ最新作。特に「マリアビートル」の直接の続篇でもある。まあ、このシリーズはどこから読み始めても楽しめるけれども、最初から読んだ方が笑えるはずです。

その「マリアビートル」で、東北新幹線内の攻防戦を制した(?)ひたすらに運の悪い殺し屋、天道虫。よく考えたらしぶとく生き残っているのだから運がいいんだか悪いんだか。彼にまた仲介役の真莉亜から斡旋されたのは、あるホテルの宿泊客に、彼を描いた絵を届けるという単純極まりない仕事だった。しかし、それがねじれにねじれて……

新幹線が横異動のお話なら、今回は縦異動のすったもんだ。エレベーター、カードキー、清掃係など、ありとあらゆる手段を使って襲い来る殺し屋たちから天道虫は逃れようとするが、というお話。

マリアビートルの映画化「ブレット・トレイン」を経過しているので、天道虫はブラピで真莉亜はあの大女優に見えて仕方がない(笑)。

多分に教訓を含んだ寓話でもあり、最高の娯楽小説でもある。ああこのシリーズを読んだことがない人がうらやましい!これから一気読みできるんだもの。

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日本の警察 その144「陰の季節」「刑事の勲章」(BS-TBS)

2023-11-23 | 日本の警察

その143「可燃物」はこちら

あ、そうか。これは「64 劇場版」のスピンオフなんだ。だから佐藤浩市奥田瑛二三浦友和などの豪華キャストが集結しているわけだ。

署内の警察手帳が軒並み紛失したのはなぜか、女性警察官がなぜ失踪したかなど、横山秀夫原作らしい展開。でもね、榎戸耕史さん演出にしては、あまりに大仰な演技の連続なのに辟易。仲村トオルにそういうのは似合わないっす。

その145「新・教場」につづく

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「セカンド・チャンス」篠田節子著 講談社

2023-11-22 | 本と雑誌

世代論というのはどうもうさんくさい。個々の事情から目をそらすための、あるいは議論を強引にシンプルにするための存在なのではないかとすら。

でもやっぱり、世代ごとに特徴はあるよね。わたしは1960年生まれ。妻は1955年生まれで、生まれた場所は遠く離れていても、どちらも戦後教育をどっぷりと浴びてオトナになった。

その結果どうなったかというと、戦前の常識への過剰な(と考える人もいる)嫌悪が植え付けられた気がする。特に「家」というものへの猜疑心は根深い。嫁・姑・長男・家長……うんざりである。だから自分の子にそれらを押しつけるつもりはさらさらない。

が。

わたしが生まれたのは敗戦から15年後、妻にいたっては10年後にすぎない。だから戦前的なものの残滓は確実にわたしたちの世代にある。家の呪縛、親の呪縛から逃れられていないのだ。篠田節子はそのど真ん中でしょ(笑)

「セカンド・チャンス」の主人公は、親の介護のためにキャリアを捨て、独身のまま過ごしてきた女性だ。その母が亡くなる。二十年に及ぶ介護の生活が彼女に何を与えたか。

脂肪、である

オーバーな言い方をすれば、トドのような体型になってしまい、健診の数値も医者に叱責を受けるレベル。そんな彼女が、ひょんなことからスイミングクラブに加入する。さて、どうなったか。

二度目のチャンス、というタイトルからおわかりのように、五十代になった彼女は泳ぐことで人生が変わっていく。親の介護が終わっても、家の代表としての対応を求め続ける親戚たちに、水泳大会出場のほうが家よりもだいじだと(初めて)突っ張る彼女に喝采だ。

単なるスポ根水泳ドラマになっていないのは、彼女自身の“生”の象徴である水泳を邪魔するのが、このように親戚だったり地域だったりする事情が描かれているから。わたしたちの世代って、それを捨てきれずに来たのである。

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