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安倍政権の沖縄いじめと闘う翁長知事の言葉を聞け!「自国の政府にここまで虐げられる地域があるか」 〔リテラ2016.8.7〕

2016-08-07 23:17:25 | 原爆 核問題 

リテラ http://lite-ra.com/2016/08/post-2477.htmlより転載

安倍政権の沖縄いじめと闘う翁長知事の言葉を聞け!「自国の政府にここまで虐げられる地域があるか」

  2016.08.07
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『反骨 翁長家三代と沖縄のいま』(松原耕二/朝日新聞出版)

 

 安倍政権による“沖縄イジメ”が熾烈さを極めている。先の参院選では沖縄選挙区で現役の沖縄担当相だった島尻安伊子が落選、県民の「新基地建設NO」の民意がまたもや明確に発揮されたわけだが、安倍政権はむしろ選挙への影響がなくなった今が絶好の機会と、その強権的姿勢を一層強めてきた。

 8月4日、菅義偉官房長官は会見で、沖縄県普天間基地返還にともなう辺野古新基地建設に関してこう言い放った。

「工事が進まなければ予算が少なくなるのは当然。跡地利用の工事が遅れれば、予算が少なくなっていくというのも現実問題だ」

 これは“新基地建設に協力しなければ今後の沖縄振興予算減額もある”という、県側への露骨な揺さぶりだ。歴代日本政府はこれまで基地問題と振興予算は切り離して考えるとの見解を継続してきたが、菅官房長官はこの日の会見で初めて「リンクしている」と明言。ようするに、“言うことを聞かないならば力でねじ伏せるまでだ”という恫喝に他ならない。

 さらに安倍政権は、司法の場でも容赦なくプレッシャーを加えている。7月22日、政府は辺野古埋め立ての承認取り消しを巡り、翁長雄志沖縄県知事の「不作為」の違法性を訴える新たな訴訟を起こした。是正指示の適否を審査する第三者機関・国地方係争処理委員会は「双方が真摯に協議すべき」としており、沖縄県側の態度に落ち度が認められないのはあきらかにもかかわらずだ。

 8 月5日、福岡高裁那覇支部で行われた第一回口頭弁論で、翁長知事はこのように陳述している。

「改めて申し上げるが、請求の趣旨および上申書における国の主張は、地方自治制度そのものをないがしろにするものであり、もはや沖縄県だけにとどまらない問題を含んでいると考える。
 このような違法な国の関与により、すべてが国の意向で決められるようになれば、地方自治は死に、日本の未来に拭いがたい禍根を残すことになる。
 政府は、一昨年の名護市長選挙、沖縄県知事選挙、衆議院議員総選挙の県内四つの小選挙区、今年の県議会議員選挙、先の参議院議員選挙など、多くの選挙で示された沖縄県民の民意をまったく無視し、過重な基地負担を将来にわたって固定化し続けようとしている。
 自国の政府に、ここまで一方的に虐げられる地域が、沖縄県以外にあるだろうか」(沖縄タイムス電子版8月6日付より)

 もともと自民党の議員であり、かつては保守系市長だったにもかかわらず、徹底的に政府との対決姿勢を貫く翁長氏。自民党県連幹事長時代にはむしろ辺野古移設を早く進めるよう当時の大田昌秀知事を糾弾していた彼が、なぜ今、ここまで新基地建設反対を鮮明にするのか。その“意味”を「沖縄以外」の人々は噛みしめなければならない。

 先月刊行された『反骨 翁長家三代と沖縄のいま』(松原耕二/朝日新聞出版)に、その政治家・翁長雄志の軌跡が描かれている。

 政治一家である翁長家。雄志の父親である助静は保守系政治家だ。戦中は民間人が戦争に協力するための組織「沖縄翼賛会」で、鉄血勤王隊千早隊の情報宣伝部長をつとめていた。しかし、戦況が悪化するなか、父・助信(雄志の祖父)を目の前で米軍の砲撃で亡くしたことをきっかけに、軍に協力して死ぬことにためらいが生じたという。そして、県民の約4人に1人が犠牲となった沖縄戦を生き延びた助静は、戦後、真和志市(現在は那覇市に吸収)の市長や立法院議員(のちの県議会)を務めながら、沖縄の自治権を拡大するためアメリカと対峙したという。

 子の雄志は、幼い頃から父の政治活動を通じて、沖縄の“保守と革新”の争いを見ながら育った。雄志もまた父と同じく、政治家として自民党本流の道を歩み、市議会議員、県議会議員と頭角を現していく。当時、基地移設容認派であった理由について、翁長氏はこう語っている。

「革新は、異民族支配の中で『人権の戦い』をしていた。それに対して保守は『生活の戦い』をしていたんですよ」(同書より)

 戦争で生活の糧のすべてを失った沖縄が生き抜くには、それしか方法がないと考えた。だが、翁長氏自身が「苦渋の選択」と語っているように、それは政府への怒りを抱きながらも現実的解決を模索することこそが、保守政治家としての翁長氏のスタンスだったからだ。

 そんな翁長氏が大きく変わるきっかけとなったのが、2005年の在日米軍再編だった。それまで沖縄と政府が合意し、翁長氏が7年の歳月をかけて主導し積み上げてきた「辺野古への海上移設」「軍民共用」「15年で沖縄に返還する」という項目が、中間、最終報告ともに日米両政府によって完全に無視されたのだ。しかも沖縄側には何の相談もなかった。自民党の“裏切り”を目の当たりにした翁長氏は、このころから政府批判を公然と口にするようになったという。

 さらに、第一次安倍政権下の2007年に起きた「教科書問題」も大きかったという。文部省の教科書検定で、沖縄戦の「集団自決」についての日本軍の関与が薄められたのだが、このとき翁長氏は、その撤回を求める県民大会の集会の共同代表を引き受けた。これについて、かつて沖縄自民党の本流を歩み、後に翁長氏と行動を共にする仲里利信衆院議員が興味深いコメントをしている。

「当時、美しい日本をつくるということがあったけれども、あの時点から、南京大虐殺もうやむやにするし、従軍慰安婦もうやむやにするし、沖縄の集団自決も実際はなかったことにしているから、戦争準備の体制だなど私は考え、今の自民党から一歩引いている」(同書より)

 同書が指摘するように、安倍晋三が「美しい国、日本」なる国家像のもと、本土決戦のための捨て石という悲劇の歴史まで塗りつぶそうとしたことは、沖縄にとって許せるものではなかった。著者はこう続けている。「その結果、十一万もの人が保守、革新の垣根をこえて集まったことを考えると、今は翁長と対立する安倍自身が『オール沖縄』のきっかけをつくったといえるかもしれない」。

 そして、沖縄と日本政府の精神的溝が深まるなか、翁長氏にとって、民主党政権下の鳩山由起夫首相(当時)による「最低でも県外」発言も大きかったという。周知のとおり、この発言は1年足らずで撤回されることになったが、その際、世論調査で70パーセントもの日本人が基地を沖縄に置くことを賛成したのだ。その事実が、翁長氏の気持ちを押した。

「ぼくはこれを見たときに、あ、これはもう自民党とか民主党の問題ではないなと。オール本土で沖縄に基地を置けと、そういうメッセージだなと」
「それならば、私はオール沖縄でこれにノーと言わなければならんなと」(同書より)

 沖縄は、日本政府や自民党、民主党政権からだけでなく「オール本土」、つまり「沖縄以外」のすべての国民から裏切られたのだ。

 現在でも日米安保や集団的自衛権を認める立場にいる翁長氏が、新基地建設については政府と真っ向から対峙しているのは、おそらくは“政治家・翁長の変節”でも“二律背反”でもないのだろう。面積にして全体の74%もの在日米軍施設を沖縄に押しつけてきた日本政府、無関心な「沖縄以外」の人々、そして多発する在日米軍による事故や卑劣な犯罪……。この戦後日本の歴史そのものが、沖縄を追い込み、“翁長知事”を生み出したのではないか。

 しかし、こうして積み重なった沖縄の叫びに対して、安倍首相は耳を傾けるどころか、暴力的なやり方で押さえ込もうとしている。政府は参院選投開票日の翌日、沖縄県東村高江の米軍北部訓練場のヘリパッド(ヘリコプター着陸帯)建設工事を再開。機動隊を大量投入し、抗議をする市民たちを暴力的に排除しにかかっている。7月22日には、全国から集められた機動隊約500人が“非暴力”を掲げる市民たちを、カメラが回っていることさえ気にとめず引き倒し、首を絞め、殴りかかった。近日中にも抗議者たちの座り込みテントの強制排除が行われるとみられ、現地では緊張状態が続いている。この“暴力”としか言いようがないやり方が、安倍政権の沖縄の声に対する回答なのだ。

 こうした沖縄イジメが平然と行われている現実に対して、本土のメディアや国民はほとんど気にとめていない。だが、その強権的な政権のやり方を許してしまえば、確実に「沖縄以外」にも跳ね返ってくる。

「この裁判は、単に今回の国の関与の是非のみが問われているだけではなく、地方自治の根幹、ひいては民主主義の根幹が問われている裁判でもあると思う」

 法廷で翁長知事が訴えたこの言葉を私たち国民とメディアは肝に銘じるべきだろう。
伊勢崎馨

 

 

 

 


首相夫人高江訪問 着陸帯反対の市民ら戸惑い〔琉球新報2016.8.7〕/この件、記事にもなったんですね…ぜひ高江へ

2016-08-07 16:40:01 | 沖縄

琉球新報http://ryukyushimpo.jp/news/entry-331009.htmlより転載

首相夫人が高江訪問 着陸帯反対の市民ら戸惑い 

 【ヘリパッド取材班】安倍晋三首相の妻・昭恵さんが6日、米軍北部訓練場の新たなヘリコプター着陸帯(ヘリパッド)建設に反対する市民らが座り込むN1裏テントを訪れ、座り込み現場について説明を聞いた。突然の訪問に市民らは戸惑いを見せた。

 7月の参院選沖縄選挙区ではヘリパッド建設や米軍普天間飛行場の辺野古移設を容認する島尻安伊子氏の応援演説で来県していたことを踏まえ「何をしに来たのか」と批判する声や「首相へ現場のことを伝えてほしい」などの声もあり波紋が広がった。

 ミュージシャンで参院選へ2回立候補した三宅洋平さんによると、今回の訪問は、昭恵さんが高江のヘリパッド問題などを描いた映画「標的の村」を鑑賞したことをきっかけに「現場を見たい」と三宅さんへ相談したことがきっかけ。三宅さんは沖縄平和運動センターの山城博治議長へは相談したが、大半の市民らには昭恵さんの訪問を知らせていなかったことから戸惑いや疑問の声も上がった。

 昭恵さんは三宅さんと同行しながらテント内に入り、市民らから運動について話を聞いたが、自らの意見は言わなかったという。

 宮城千恵さん(57)=宜野湾市=は昭恵さんに対し、オスプレイが深夜まで飛行することや米軍属女性殺人事件などに基地負担について訴えた。昭恵さんはうなずき、名刺を渡した。宮城さんは昭恵さんに関し「目を見て『ありがとうございます』と話してくれた。首相へ苦しみを伝えてほしい」と語った。

 沖縄平和運動センター大城悟事務局長は、昭恵さんが基地建設を強行している首相の夫人であることから「一国民とは違う。『見たいから来ました』というのは人として疑う。県民の反対する声を聞いて総理に沖縄の現状を伝えるなら良いが、そうはならないだろう」と否定的な見方を示した。

 
<関連>

安倍昭恵を帯同して高江に行った三宅洋平と地元の人の会話- - Togetter ...

 
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小口 幸人さんFBより  2016.8.7
 

この件、記事にもなったんですね。いやはや。

辺野古での和解成立後、沖縄県はずっと国に対話を持ちかけてきました。その突破口を探してもいました。
この間、国による強行的な動きは少し減りました(辺野古の件、最短で是正指示はされました)。参議院議員選挙の投票日の翌朝、高江への強制搬入がされるまでは。

もし、あの日の強制搬入前であれば、公的な役職のないファーストレディーを対話のきっかけにと期待することはあったのかもしれません。

ただ、強制排除がなされ、N1ゲート排除の準備に機動隊が500人集められ、22日に法も人権も無視した強制排除がなされ、辺野古の件で国が沖縄県を提訴し、更に振興予算と基地移設がリンクするなどという暴論が大臣から語られ、法的根拠なしにN1裏テントに所有権放棄期限が設定されました。

暴行殺人事件の再発防止すら、高江対処の防衛局職員の増員に利用されていることがわかりました。如何に計画的であったかが、国に対話姿勢ゼロであったことが明らかになりました。

そんな折、所有権放棄期限が過ぎた緊迫の翌朝、突然かつ短時間だけファーストレディーを連れてこられても、そこに期待することも、ある種利用できることもないでしょう。
(私を逮捕できるのならしてみなさい!と言ってN1ゲートを奪還してくれたり先頭に座り込んで機動隊と対峙してくれるとかなら別ですが(@_@))

あまりにもTPOが悪すぎて、現場に混乱をもたらしただけだと感じました。現場の方へのリスペクトにも欠けているように感じます。

私は新参者で不勉強なので、法律に関することのみに発言を控えるようにしています。何より、現地で運動され続けている方への尊敬の念が強いからです。こんな大変なことを継続され続けているのは、本当にすごいことです。東京でも色々な運動を見てきましたが、もうなんか凄すぎます(@_@)あったかいところも含めてです。

だから、三宅洋平氏のこともよく知りませんし、現地の方との関係性も不勉強なので、少し放置していたのですが、記事にもなるとなると(^_^;)
久しぶりに、しかも突然にやってきて、いきなりこれはないと思いました。自覚しているかどうかとか悪気の有無は別にして、自己PRの色もゼロではないと思います。

一つ勘違いしてほしくないのは、あの場にいる人たちは本当に寛容な方ばかりで、初辺野古、初高江でも大歓迎してくれます。むしろ今「初めてです。居ても立っても居られなくて」なんて言われたら、みんなウルっとしてしまうと思います。
いきなり上から目線とか、偉そうにしたりとか、そんな明らかなマナー違反さえせずに、まずは知りたい、とにかく来るだけでも来てみた、そんなスタンスなら本当に大歓迎されます。今でもそうです。

本当に応援が必要なのはこれからの一週間です。前回は、19日が所有権放棄期限で22日にやられました。5日が所有権放棄期限だったので、間近い日に決行される可能性が高いです。
一人でも多くの方に足を運んでいただき、そこにいていただくこと、あそこにいる人数を増やすこと自体が、唯一彼らに決行日を先送りさせる可能性があると思っています。水と食料と気持ちをもって、ぜひ高江へ(^_^)

 

 

 

 


メル・ギブソン監督 沖縄で一切人を傷つけずに良心的兵役拒否を貫いた一人の衛生兵の実話『Hacksaw Ridge』海外予告!

2016-08-07 04:49:52 | 原爆 核問題 

シネフィル - 映画好きによる映画好きのためのWebマガジンhttp://cinefil.tokyo/_ct/16983409より転載

メル・ギブソンは役者として『マッド・マックス』以降も『リーサル・ウェポン』シリーズなどでも有名になったが、監督としても1995年の『ブレイブハート』でアカデミー監督賞を受賞し、2004年には、私財30億円を投じてイエス・キリストが処刑されるまでの12時間を描き問題作となった『パッション』やマヤ文明をベースにした『アポカリプト』などを発表してきている。
今作『Hacksaw Ridge』ではメル・ギブソンが監督を務め、「アメイジング・スパイダーマン」のアンドリュー・ガーフィールドが主演させ、第二次世界大戦の沖縄での戦線に行った一人の衛生兵の実話を映画化した。

沖縄戦に参加したデズモンド・ドスが、敵味方に関係なく多くの命を救った実話を描く。
彼自身、プロテスタントの一派の熱心な信徒であったことから、宗教的信念を理由に兵役を拒否し、ライフル隊や武器輸送といった人殺しの仕事は拒否する一方で、衛生兵としては危険な現場に自ら赴く。そして沖縄での日本軍との戦いでは、ひとりも殺すことはなく、多くの人々を助けたという。
良心的兵役拒否者としてはアメリカ初の名誉勲章受勲者となった実在の人物を描いている。

https://teaser-trailer.com/movie/hacksaw-ridge/

『ブレイブ・ハート』での監督賞と作品賞のダブル受賞から、『パッション』や『アポカリプト』と話題作を続々と監督するも、ハリウッドから事実上干されていた噂もあったメル・ギブソン。
来年のアカデミー賞などの賞レースでは、再び注目されそうです。

『Hacksaw Ridge』の公開日が2016年11月4日に決定。

『Hacksaw Ridge』海外初予告

 
 

Hacksaw Ridge Official Trailer 1 (2016) - Andrew Garfield Movie

youtu.be

 

 

 

 


自民党「偏向教師密告」サイトの波紋 「まるで戦前の思想統制」 (毎日新聞2016.8.6)

2016-08-07 04:49:28 | ネトウヨ、右翼、国家主義

 毎日新聞http://mainichi.jp/articles/20160728/dde/012/010/002000cより転載

特集ワイド

自民党「偏向教師密告」サイトの波紋 「まるで戦前の思想統制」

 
自民党がホームページ上で呼びかけていた「調査」のサイト。最初は「子供たちを戦場に送るな」を「政治的中立を逸脱した例」として紹介していたが、後に削除した

 

 

 心配である。参院選で大勝し、かつてない巨大権力を手に入れた自民党が、だ。これまでも強引な政治手法は批判されてきたが、さらに党のホームページ(HP)上で「政治的中立を逸脱した学校の先生がいたら名前などを教えて」という趣旨の「調査」に乗り出し、「まるで戦前」と波紋を広げているのだ。歴史をひもときながら取材すると、「中立」とは言い難い、彼らの本音も浮かび上がる……。【吉井理記】

長野県「教員赤化事件」そっくり? 自民こそ「政治的中立」を逸脱

 おさらいしよう。「調査」は、党文部科学部会(部会長・木原稔衆院議員)が実施した。18歳選挙権のスタートに伴い、教育現場で「政治的に中立ではない」と思う教員の指導や授業があれば、HP上の特設サイトから学校・教員名、授業内容などを党に送信する仕組みだ。

 インターネット上で「密告サイト」と呼ばれた「調査」は6月25日に始まり、7月18日に「事例が集まった」として終了。サイトを閉鎖した。党部会で内容を精査し、場合によっては文部科学省に対応を促すという。「調査」サイトは一時、政治的中立の逸脱例として、教師が「子供たちを戦場に送るな」などと主張することを挙げていたが、後にこの文言は削除された。

 経緯は後で木原さんに聞くとして、これでは「教育は不当な支配に服することなく……」と教育基本法16条がうたう教育現場に政党が介入するようで、ブキミではある。教員が「生徒に密告させたいのか」「現場が萎縮する」(10日付本紙朝刊)と困惑するのも確かにうなずけるのだ。

 そういえば、東京都知事選では、自民党都連が党所属の国会・地方議員に「議員の親族が党推薦候補ではない人物を応援すれば議員本人を処分する」との“お触れ”を出したばかり。その自民党が行う「調査」を額面通りに受け取っていいものだろうか。

 「治安維持法下の戦前も、まさに『調査』名目の教員の監視や弾圧があったのですが……」と眉をひそめるのは戦前の教育行政に詳しい小樽商科大教授の荻野富士夫さんだ。1925年施行の治安維持法は「国体変革」などを目的にした運動・団体の摘発が狙いだったが、28年の改正でこれに関わる一切の行為も取り締まりが可能になり、政府批判すら弾圧対象になった。

 「特に31年の満州事変後に弾圧が激化し、ついに起きたのが『長野県2・4教員赤化事件』です」と荻野さん。33年2月4日から半年あまりで138人の小学校教員が「赤化(共産主義化)した」との理由で検挙された事件だ。「この時、文部省や長野県学務当局は『調査』名目で児童らが書いた作文やノート、答案を調べあげて弾圧を進め、教員の『矯正教育』も実施したのです」

 ところが実態は「赤化」とはほど遠かった。「長野は生糸の生産が盛んでしたが、昭和恐慌で不況にあえいでいた。生糸農家の子も多く、教師が不況の構造を教えたり、家の生活状況を考えさせたり。その程度だったのです」

 だが、同様の「調査」や教員弾圧は全国に広がり、やがて政府・軍部の意に沿わない憲法解釈を唱えた美濃部達吉ら憲法学者に波及する。「戦争遂行のため、政府に異を唱える国民を育てたくないとの思惑が背景にあったのでしょう。政府が教育を監視・統制したがるのは、今も昔も同じです」と荻野さん。

 教育界などから政府批判の声が消えたこの国が、その後どうなったかは言うまでもないだろう。今回の「調査」をしたのは政府ではないが、自民党は与党なのだ。

 「だから教員が『萎縮しない』と考えるほうがおかしい。今ですら教育現場では、憲法を教え、平和という言葉を使うことを『政治的』と誤解し、避ける風潮が生じているんです」と憤るのは、日本弁護士連合会憲法問題対策本部の副本部長で教育関連法にも詳しい伊藤真弁護士だ。

 「誤解の最たるものが特定政党の政策、例えば安保関連法や憲法改正を批判的に検討することを『偏向教育』と捉えること。批評は認められています」と伊藤さん。教育基本法は「学校は、特定政党を支持・反対するための政治教育や政治的活動をしてはならない」と定めているが、同法制定時(47年)の国会で、政府は「(一党一派の支持・排斥が目的でなければ)ある党派の政策を批判することは差し支えない。自由な批判検討は許されるべきだ」との見解を示し、2006年の同法改正後も文科省はこれを踏襲している。

 伊藤さんは「一つの考えや、特定政党の支持・反対の押し付けはいけませんが……」と前置きして続けた。

 「民主社会の主権者に最も必要なのは、自分たちが選んだ代表者(権力)に迎合せず、監視し続けて批判できる能力であり、これを身につけさせるのが教育現場の務めです。教育基本法の前文には『日本国憲法の精神にのっとり、教育の基本を確立する』とある。先生は萎縮せず、生徒が批判的に政策を見る目を養い、憲法の精神を考えさせる授業をどんどんやっていい」

 さて、木原さんに「調査」の真意を聞こう。「18歳以上に選挙権年齢を引き下げたのは政治です。だから今回の参院選で学校に混乱がないか、把握する責任が政治にある。他の意図はないし『密告』なんてとんでもない。萎縮というが、萎縮する何かを教育現場はしているのでしょうか」

 「調査」サイトの「文言削除」も「『子供たちを戦場に送るな』なんて当たり前です。でも『子供たちを−−』を安保関連法に結びつけ、『これは戦争法だ』と教えることは偏向だと言いたかった。でも文案を作成した党職員が、この部分を省略して載せてしまった」かららしい。

 しかし、である。木原さんは党文科部会長になる前の14年10月、動画サイトで18歳も参加する憲法改正の国民投票に触れ、こんな本音をのぞかせた発言をしていたのだ。

 「学校教育の中でいかに現行憲法のあり方を理解してもらうか。これは決して護憲という形ではなく、今の憲法がどういう歴史的経緯で成立したか、どうして改正しなければならないか、自主憲法を日本人の手で作り上げねばならないか。これは学校で教えてもらうしかない。これは文部科学省にも指導して、やっていかなければなりません」

 これは政治的中立を逸脱してはいないか。「まあ、そうとも取れますが、これは青年局長の時の発言です。立場が変われば言うことも変わります」との答えであった。

 その木原さんの事務所には「教育勅語」全文を記した額が掲げられていた。教育勅語は「軍人勅諭」とともに48年、衆参両院で排除・失効が決議されている。やはり「まるで戦前」のように感じてしまう。

 伊藤さんがこう指摘した。「批判をされない、あるいは許さない政府や権力は必ず腐敗する。『国益』『愛国心』『誇り』と言い募る人ほど、教育現場を含め、自分たちの政策への批判を受け入れ、多様な見解を尊重する態度が求められている。そうでないと国は滅ぶ。70年余り前に私たちはそれを学んだではありませんか」

 閉鎖された「調査」サイトにはこんな一文があった。「特定のイデオロギーに染まった結論が導き出されることをわが党は危惧しております」。そう主張する今の自民党の姿勢にこそ、多くの人が危惧を覚えているのだ。

 

 

 


「ここまで政府に虐げられるのか」 翁長知事が訴え 不作為の違法確認訴訟 〔琉球新聞 2016.8.5〕/ 「琉球独立の道を」(投稿)

2016-08-07 04:48:13 | 沖縄

http://ryukyushimpo.jp/news/entry-329968.htmlより転載

「ここまで政府に虐げられるのか」 翁長知事が訴え 不作為の違法確認訴訟

被告席に座る翁長雄志知事(前列左端)と県側弁護団ら=5日午後2時ごろ、福岡高裁那覇支部(代表撮影)

 
 翁長雄志知事の名護市辺野古の埋め立て承認取り消しに対して、国が県を相手に提起した不作為の違法確認訴訟の第1回口頭弁論が5日午後2時、福岡高裁那覇支部(多見谷寿郎裁判長)で開廷した。翁長知事は意見陳述で「地方自治の根幹、ひいては民主主義の根幹が問われている裁判でもある」と訴えた。

 翁長知事は「自国の政府に、ここまで一方的に虐げられる地域が沖縄県以外にあるでしょうか」とも述べ、辺野古への新基地建設を強行しようとする国の姿勢を批判した。

 訴訟では承認取り消しや同取り消しを取り消すよう求めた是正の指示の適法性が争われる。
 高裁那覇支部は次回期日の19日で結審した上で、判決を9月16日に言い渡すことを決めた。
 県側を支援するため「辺野古新基地を造らせないオール沖縄会議」が午後1時から裁判所向かいの城岳公園で開いた集会には約1500人(主催者発表)が参加し、翁長知事らを激励した。【琉球新報電子版】

 

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親川 志奈子さんFBより

沖縄は国に3千億円の国税納めてるのに、国から降りてくる3千億円台の予算を手にする時にはもれなく「基地負担」が付いてくる。しかも国からのお金のほとんどは国に返っていき沖縄は潤わない「ザル経済」の仕組みまである。独立した方が沖縄は豊かになるはずよ。