夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

『シャイン』

2003年08月11日 | 映画(さ行)
『シャイン』(原題:Shine)
監督:スコット・ヒックス
出演:ジェフリー・ラッシュ,ノア・テイラー,アーミン・ミューラー・スタール他

1995年のオーストラリアの映画。
実在の天才ピアニスト、デビッド・ヘルフゴットの半生を描いたものです。
『パイレーツ・オブ・カリビアン』のバルボッサ船長役、ジェフリー・ラッシュが主演。

デビッドは厳格な父からピアノの英才教育を受ける。
常に「勝つこと」を父からは強いられる。
しかし、その子ども離れした演奏から、
コンクールでは「上手すぎる」と敬遠される。

優勝を逃したある日、審査員のひとりがデビッドの指導をしたいと申し出る。
一旦は追い返す父親だったが、
その晩、デビッドがラフマニノフを弾きたいと言い出す。
世界一むずかしいとされるラフマニノフ。
翌日、父はデビッドを連れて審査員のもとを訪れ、
「この子にラフマニノフを教えてやってくれ」と預ける。

ラフマニノフには早すぎると、モーツァルトから始まるレッスン。
デビッドはそれ以後、天才として名を馳せる。

彼のもとには留学の話が舞い込むが、
あれだけ息子のピアノに賭けていたはずの父が、
「家族を捨てる気か」と、デビッドの留学に反対する。

留学を断念したデビッドだったが、
その後、ロンドンの音楽学校からの奨学金の話を機に、
父のもとを離れる決意をする。

音楽学校でも指導者に恵まれたデビッド。
そんな彼が大きなコンクールのために選んだ曲はラフマニノフの「ピアノ協奏曲第3番」。
いつか父が「この曲を弾きこなして、父さんを喜ばせてくれ」と言った曲だった。

日夜練習に励み、コンクールでは見事な演奏を披露するが、
演奏終了とともに舞台で倒れてしまう。
精魂尽きはてたデビッドは精神を病んでいたのだ。

少年~青年時代のデビッドと、
精神病院に入ってからのデビッドを追う形で物語は進みます。
心が壊れてもピアノが好きでたまらないデビッド。
医者からはピアノに触れることを禁止されていても、
ピアノなしでは生きてゆけない。
ピアノを求めて雨の街をさまよい、偶然見つけたバーで始める演奏は圧巻。

「勝て」、そして「生き残れ」。
この言葉をひきずりつづけるデビッドの姿が痛々しい。
それだけに、彼を温かく受け入れる人びとの姿が心に染みます。

なお、作品中のピアノ演奏は、
大半がホンモノのデビッド自身によるもの。
この演奏を聴くだけでも観る価値ありです。

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