夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

『戦場のピアニスト』

2003年08月26日 | 映画(さ行)
『戦場のピアニスト』(原題:The Pianist)
監督:ロマン・ポランスキー
出演:エイドリアン・ブロディ,エミリア・フォックス,
   ミハウ・ジェブロフスキー,エド・ストッパード他

レンタル新作。
これまた実在のポーランドのピアニスト、ウワディク・シュピルマンの物語。

1939年秋。
ウワディクはポーランドでもっとも有名なピアニスト。
ワルシャワのラジオ局で演奏していると、街がドイツ軍によって占拠される。
想像を絶するユダヤ人への迫害がはじまり、彼らはユダヤ人居住区へと追いやられる。
強制労働が課せられ、やがて収容所へ。

逃亡を決意するウワディク。
収容所内で外につながりを持つ人物に出会った彼は、
昔の知人を頼りに脱出することに成功する。
しかし、収容所内から逃げだすことは簡単でも、
生き延びることはたいへんだった。

ここからネタバレあり。
戦場でピアノを弾きまくる話かと思っていたら
そんなことはできるはずもなく、
逃亡するピアニストのすさまじい体験が描かれています。

匿われた生活では食糧もすぐに底をつき、身体も衰弱。
でも、どんな状況下にあっても、食欲と睡眠欲は消えないのですね。

廃墟と化した街の屋敷で手に入れた缶詰を開けようとするも、
弱りきった身体では力も入りません。
それでも大事そうに缶詰を抱えている姿をドイツ軍の大尉にみつかってしまいます。
「ユダヤ人か?職業は何だ?」と聞かれ、「ピアニストでした」と答えると、
その屋敷のピアノで何か弾いてみるように言われます。
意識は朦朧、身体のどこにも力が入らない状態で、
彼は素晴らしい演奏を披露します。

それからドイツ軍が撤退する日まで、
大尉はウワディクに食糧を運びつづけるのでした。
ライ麦パンに添えられた苺ジャムを
指でひとすくいしたときのウワディクの歓喜の表情。

ポランスキー監督の人生は波乱万丈そのもの。
フランス出身でポーランドに移住、そしてユダヤ人迫害の対象に。
妻だった女優のシャロン・テイトは、
1967年、オハイオのカルト教団マンソンファミリーに
お腹の赤ちゃんとともに惨殺されました。
その後、未成年女子に対する強姦罪で逮捕され、保釈中にアメリカから脱出。
現在も逃亡犯として罪が適用されるため、昨年度のオスカーでは、
この作品が受賞するかどうかが大きな話題に。
結果、受賞はしたけど、式には欠席。

食べて、寝て、いい音楽を聴く。これがすべて。
見応え十分、オススメ。

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