ままちゃんのアメリカ

結婚42年目のAZ生まれと東京生まれの空の巣夫婦の思い出/アメリカ事情と家族や社会について。

アメリカの高校生のプロム その2

2017-08-28 | アメリカ事情

Hello, will you go to Sadies with me?

 

Sadie Hawkins ダンスやプロムへの誘い方も、色々ある。単に誘うのではなく、知恵を絞って苦心してアイデアを出している。長男をSadie Hawkins に誘うのに、彼のいない時間帯を見計らって、2,3人の女子が我家を訪ねてきて、是非彼の部屋にダンス招待の飾りつけをしたい、と言う。戸惑ったが、その朝長男がきちんとベッドをメイクしていたのを思い出し、こぎれいにしてあるかをチェックしてから、招いた。するとクローゼットの上の壁に切り抜いた紙の文字をひとつづつ糊で貼り始めた。 XXX(息子の名)、Will you go to Sadies with me?

風船やら色紙で切り抜いたハートの形やらもせっせと、つけていた。すでにこの女の子は切符も買っていたので、息子はダンスに行った。玄関のドアを開けてすぐのフロントルームの壁にお誘いのバナーがいくつかのキャンディバーと共に吊るしてあったこともあった。こういうのを女子力と言うのか、非常にたくましいものだ。

プロムでは、隣の学区の高校生や、同じ学区でも違う高校生からのお誘いもあって、長男は、ひとプロムシーズンに三つの違う高校からお誘いを受けて、三校のプロムへ出かけたことがある。不思議なことだが、息子達も娘達も自らお誘いすることはなくて、ひたすら受身だった。ただひとつの例外は三男がシニアプロム(12年生のプロム)に、ある女の子を誘った。四年後に三男の妻となった彼女である。

娘の場合は、あるクラスでいつも座る席に、花束と招待状があったり、娘の車を飾りつけて、誘うなど、ありきたりのやり方もあった。一回は新品のトイレットをわざわざ仕入れて、蓋をあけるとそこに彼の写真が張ってあり、シートにはお誘いの手紙が貼ってあった。これを玄関の前に夜置いてくれたので、翌朝夫は電話で「ただちにそれを持って帰らないならば、娘はプロムへ行けない」、と言い渡したら、五分も経たずに、そのボーイは撤収しにきた。 無事プロムへ彼は娘を連れて行けた。

娘の一人はシニアプロムに二人のシニア(12年生)と一人のソーフォモア(10年生)から同時に申し込まれた。いつもランチを一緒に食べるボーイズが、お目付け役かのように、”審査委員会”をして、あれは駄目、これは駄目と評価した。それを聞いてはいたが、結局娘は10年生に決めた。理由は二歳年下でも、礼儀正しく、信頼できるから、であった。ランチ仲間は、「二年下が、よくシニアを誘えるもんだ」と言ったが、娘が安全と思うなら、と一様に賛成して”くれた”。


子供達は、仲間とよく一緒にどのプロム時にも、行動してくれたから、世に数ある一夜の間違いなどとは無縁で、楽しいひと時をそれぞれ過ごせた。子供が帰宅するまで、眠れない親としてかなり安心したことである。プロムに限らず、子供達は一人一回づつのデート(同じ相手とは一度以上デートしない)をして、社交感覚を身につけ、子供達は大学へ巣立っていった。プロムやダンスや枠にはまった、でも健全なデートにはそういうおまけが隠されている。

概してアメリカの青年が親しみやすいのは、若い時から、社交の場でのマナーや会話のコツをいつのまにか、学んできたからかもしれない。もちろんそれが全ての若者に、あてはまるわけではない。けれど、人との会話やマナーに気をつけるようになると、人を思いやるのがその根底にあると気がつく。

子供達が中高にいた頃の話だが、ある日、突然見知らぬ母親から電話が掛かってきた。彼女一家は半年前に合衆国へ移住してきてから、息子さんKは転校生。何ヶ月か経つというのに友達がひとりもできず、いつもランチを一人で食べていたそうである。

あるお昼、背の高い少年がKに、一緒にここで食事してもいいか、と尋ねたそうだ。Kは最初訝ったが、少年は「お昼はみんなで食べるともっとおいしいよね」と言いながら、そばに座ったと言う。 

食べながら面白おかしい話を少年はたくさんしたので、 笑い転げるうちにKはすっかり打ち解けたらしい。少年は次からは自分の仲間を連れてきて、Kとランチ時間を過ごし始めた。やがて他の活動にも積極的にKは”仲間”と参加するようになって、学校生活が楽しいと、母親に言うようになったそうだ。 最後に彼女は息子へのお礼の言葉で、電話を切った。

電話が掛かってきた時は、一体長男は何をしでかしたのだろう、と不安がよぎり、心配だったが、そうではなかったので、ほっとした。長男はそんなこと一言も言ってなかった。そうか、そういう子だったのか。

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