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ままちゃんのアメリカ

結婚42年目のAZ生まれと東京生まれの空の巣夫婦の思い出/アメリカ事情と家族や社会について。

ウィッシュボーン

2020-11-18 | アメリカ事情

 

 

来週木曜日は早くも感謝祭。Covid-19があろうがなかろうが、季節は巡る。ただし、かつて(ほんの去年)のような家族、友人、隣人が集まって祝う大きなことはできない。手土産にウイルスなど誰も欲しくはない。私の家族は、5組の子供夫婦たち、9人の孫、夫と私で、総勢21名になるところだが、ドイツ在住の息子や、フロリダで最後の6ヶ月の眼科医研修をこなす息子などの家族が来ないのと、三男家族は今年は妻側の晩餐に出席するので、総勢9名である。これくらいならCDC(アメリカ疾病予防管理センター)も(ヤクザな)WHOも、カリフォルニア州の雑誌モデル並みのいでたちの州知事も、見逃してくれようか。

ある日本の方が、アメリカの感謝祭は、本来の意味・意義を忘れ呆けて、ただただ食べ続ける祭日と書かれていらしたが、合衆国では幼稚園から、子供達は感謝祭について、歴史について一通り習う。ただし、最近移民として合衆国へいらした方々は、馴染みがなく、本人とは関係のない古い歴史上のことにすぎず、ただのお祭り気分で伝統的な食事をなさるかもしれない。将来合衆国市民権を取得せんとご計画なさるならば、そこらへんの歴史も、さらっと勉強なさるといいと思う。

メイフラワー号のうちの7人の乗船者だった祖先を持つ夫は、だからと言って別に晩餐の席で、「それでは先祖の新大陸へ渡った勇気と、その西も東もわからない英国からの祖先たちを助けてくれた原住民のスクアントに感謝し...」などと長いスピーチを垂れることは決してない。食事を祝福する短い祈りの中で、神のご加護と祝福と先人への感謝を述べる。

メイフラワー号からあのプリモスロックを踏んで上陸したピルグリムたちの先祖は、一番近くて3番目の従兄従姉の、またいとこの子、だとか9番目の祖父母のはとこのいとこの子、などとややこしく、図式を用いないとピンとこない。つまり繋がりはあっても、極細、あるいはほとんど他人である。ある程度DNAを譲り受けた、とでも思えばいい仲だろうか。

さて、その感謝祭の晩餐で七面鳥を供するのは、新大陸のあらゆる所に、ふんだんに七面鳥がいたし、原住民から教わったこともあったろうし、大勢をもてなすには、七面鳥は大きさからして、貴重な蛋白源でもあったと思われる。現にここら辺でも、七面鳥はいて、山の麓辺りで暮らす人は、よく菜園のトマトを食べ尽くされた、などと愚痴る。この七面鳥の首と胸の間にある叉骨(さこつ)は、胸骨の付け根にある鳥の鎖骨の融合によって、形成されるYの形の骨である。これをウィッシュボーンと呼び、弾力性とそれに付着する腱があるため、鳥が飛行する上で重要な箇所だ。

七面鳥を供され、食べ終えると、その皿に残ったこの骨を子供はもちろん、大人も探し、2人がYの両端を握って引き合って長い方を取ると願いごとがかなうと言われる。これはアメリカではプリモスロックの時代からあり、だが、英国だけの習慣ではなく、古代イタリア文明のエトルリア人に端を発したものだ。古代人はこの骨を鶏をした場所で収穫し、乾燥させた上で、願い事をしながらそっと撫でた。故にウイッシュボーンと呼ばれる。その習慣をローマ人が英国へ伝えた。そしてピルグリムによってアメリカにその伝統はもたらさせられたのだ。

鶏でも勿論叉骨はあるから、日本でもクリスマスに鶏の丸焼きでも食したら、探してみると面白いかもしれない。

私たち人間にも鎖骨はあるが、ウィッシュボーンの形態ではない。同じサコツと言っても、飛べないサコツである。ああ、残念。

 

 

 

 

 

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