夜の翼

オーディオ、音楽、車、ケータイなど好きなことを気ままに綴るブログです。

CDレビュー「LIVE AT BUDOKAN~RED NIGHT~」

2015-12-29 16:02:11 | 音楽


完全にハマりました。しばらくは毎日聴いてました。
やはりBABYMETALは神バンドなしでは考えられない。ライブこそが生命線。
LIVEの音源ですが、あえていじっていない素の音。
スタジオアルバムの音とは対極あるような音。
マスタリングを担当したのが、イーグルスの「Hotel Calfornia」やノラ・ジョーンズの「Come Away With Me」を手掛けたテッド・ジェンセン。
どちらも何度聴いた分からないぐらい大好きなアルバムなのでとても期待していました。
過剰に低音がブーストされていなくてクリア、ライブ感が出ていて非常に好みの音です。
低音が足りないという方がいますが、そういう方はイコライザーでも使ってください。

録音が良くないと魅力半減ですね。低音さえブーストされていればいいというものでもなく、爆音でありながらそれぞれの楽器がしっかりと分離して粒立ちがいいというのが理想ですが、これが非常に難しい。
個人的にはNirvanaの「NeverMind」の録音が理想的。とくかく、しっかりと低音も出ているのに楽器の分離がよく、音が混じりあわない。なかなかこういう風にはできないのですけどね、BABYMETALのセカンドスタジオアルバムにはこの辺も期待したいところです。

そして、SU-METALの声が非常にクリアに聞こえる、個人的にはこれに尽きます。
イメージとしてはクリスタル。
その声質は、クリア。ハスキーさは微塵も感じない。
ハードかソフトかと問われればややハード、硬質なイメージ。
そして輝きを感じる。そしてとにかく声が通る。
実はメタルとの相性はよかったんですね。
そして気付かされたのは、自分がやはり歌もの好きだったということ。
メタルに興味がなかったのは、ハイトーンの金切り声とデス声が嫌いだったからということ。

武道館の時点でも技術的にはある程度のレベルにあると思うものの、まだまだ伸びしろはあると思います。実際武道館から今までの成長ぶりは驚くものがありますが、まだまだ伸びる。
例えて言うなら、才能を感じる将来有望なピッチャー。
とにかく球が早く、直球一本勝負。全ての投球が全力。ちょっと球が荒れることあり。
最近は、球種はストレートだけながら、いい意味で肩の力が抜けて、緩急を使い分け、コーナーを投げ分けられるようになったが、ここ一番の球威はすごい。
まだ変化球は投げていない(投げられないわけではないと思う。)。
そんな印象です。

技術的なものは練習すればある程度はついてくるものでしょうが、
あの声は努力して得られるものではないと思うのです。
素晴らしい「楽器」を持っている。
声に惚れた歌手は何人かいますが、いままでは比較的ソフトな声の歌手に魅力を感じていました。
自分的には何といってもカレン・カーペンターなんですが、日本人では矢井田瞳と鬼束ちひろですかね。


SU-METALの声はかなり特殊で、透明なのに通る強い声。
聴いていて非常に気持ちがよく、倍音成分がかなり多いと思われます。
この感じに一番近いと思うのは、ブルガリアンボイス。
全くジャンルは異なりますが、透明感、硬質感、清浄感、
倍音がバリバリに出ていて、包み込む感じとは正反対の強く迫ってくる。
フルパワーがかかった時の衝撃度。
楽器に例えるならバイオリン。しかもラウドに鳴る古楽器の名器という感じですかね。



そして、日本語の発音が綺麗。発音が綺麗といえば、カレンの英語の発音。
うっとりするほど素晴らしいですが、それに引けを取りません。
「楽器」のポテンシャルが高いので、自分自身の声であってもこの「楽器」=声を完璧に使いこなすのはSU-METAL自身が大変だと思います。
子供のころ歌っている映像も残っていますが、特にこのころは暴れ気味の声をうまく制御できていない感じがします。
いまのところ「楽器」の良さを生かしつつ、非常に順調に育っているので、今後が本当に楽しみです。

BABYMETALは、とにかく中毒性が高く、こんなにハマってBABYMETALばかり考えているとは、大人としては非常にまずいと思うのですが、やめられないのです。
POP、LOUD、アイドル(かわいい女の子が歌って踊るという意味での)、この3つの要素の魅力を併せ持ち、それぞれがハイレベルなんですから、たまったものではありません。
まだライブには参加したことはありませんが、参加した人から聞こえる参加した後の多幸感という言葉。そしてその後に襲ってくるらしい猛烈なロス。
これ、麻薬そのものですね。
やはり、この年になって禁忌に触れてしまったのでしょう。

でも一番の喜びは、もう味わうことはないのかなとすっかり諦めかけていたあのワクワクした感じをこの年になって味わうことができているということです。
高校生ぐらいまではいろいろな音楽を聴くのが新鮮で楽しかった。
いつのころからか、何を聴いても想定の範囲内、新鮮味がなくなった。
「ちょっと変ってて面白いね」「この曲結構いい曲だな」程度はあっても、
聴いて衝撃を受けるなど皆無。
そのうち何を聴いても変わり映えしない、目新しさはあっても自分の趣味じゃないので、新規開拓が面倒になり、常連さんばかりを聴くようになり、さらに音楽自体にさほど興味がなくなる。
ほんとつまらないと思っていたところに、このインパクト、このワクワク感。
純粋に聴いていて見ていて新鮮で楽しい。
この点については本当に感謝するほかない。とても幸せです。

しかし、メイトの皆さんが感じているように、BABYMETALにはなぜか儚いイメージがつきまとう。
祭りに参加して熱狂しているような感覚。いつかは終わってしまうだろう、明日にでも突然この祭りが終わってしまいそうな変な寂寥感。
このユニットの成り立ち、彼女たちが成長の只中いて常に成長していること、その若さがそう思わせるのかもしれませんが、その思いがメイトの情熱をさらに掻き立てて、激情といえるものになっているのかもしれません。
とにかく最後まで見届けたい、そんなことを思ってしまうのは、後にも先にもこのユニットだけでしょう。
来年リリースされるセカンドアルバムが今から楽しみDeath!

YMY

CDレビュー「BABYMETAL」

2015-12-27 10:05:03 | 音楽

ブログを始めるにあたりメインコンテンツにしようと思っていたCDレビューですが、
ようやく第2弾です(なんと約5年ぶり!)。
しかも、ニール・セダカの次はBABYMETAL(自分って一体…)。

BABYMETALというグループを知ったのは、ネットの記事でした。
なんでも「アイドルとメタルの融合」を標榜する「メタルダンスユニット」でキレッキレのダンスをするとかなんとか。
結構長い記事だったような気がしますが、記事に写真もなかったので
「あー、差別化とはいえアイドルさんがメタルやらなきゃならないなんて大変だねー」ぐらいの感想でした。
アイドルもメタルも興味なかったものですから。

それからかなり経ってから、YouTubeを何となく見ていると、
「あなたへのおすすめ」にBABYMETALの「ギミチョコ」のPVが上がっていたんです。
なぜ「あなたへのおすすめ」にこれが出てきたのかはよく分かりません。
それまでYouTubeで見ていたのはMMA関連の動画が多く、音楽は上原ひろみぐらいなので、上原ひろみからの関連でお勧めされたと考えるしかないです。

上原ひろみが現在行っているプロジェクト「上原ひろみ Featuring Anthony Jackson and Simon Phillips」は、一応ジャズに分類されていますが、個人的にはプログレメタルジャズ風味といった方がいいかもと思っています。(あ、決して批判とかではないです。上原ひろみは以前から知っていましたが、このプロジェクトはYouTubeでブルーノート東京で行われた「MOVE」のライブ映像を見てからお気に入りで、このプロジェクトのCD全部買ってしまいましたから。自分としては音楽のジャンル分けはほとんど意味を持たず、聴いてよければそれでよしの雑食系です。)

上原ひろみは高校時代メタルにはまっていたようで、実際曲中にメタルのギターリフのようなフレーズが出てきます(「MOVE」の一番最後とか)。
また、このプロジェクトに参加しているSimon Phillipsというドラマーは、ジェフ・ポーカロ亡き後のTOTOのドラマーとして有名ですが、
もともとジャズ畑からスタートしていて、ジューダス・プリースト、マイケル・シェンカー・グループ、ホワイトスネイクなどHR/HM系のセッションミュージシャンとして活躍していた人です。
さらにAnthony Jacksonというベーシスト、この方はコントラベースギター、つまり6弦ベースの使い手として有名で、「6弦ベースといえばこの人」という人です。(とBOHさんも言ってました。)
今思うと、上原ひろみ Featuring Anthony Jackson and Simon PhillipsからのBABYMETALという流れはむしろ必然、キツネ様のお導きとしか思えません。

前置きはこれぐらいとして、動画のアイコンが目に入ってきて、「ああネット記事でみたアイドルグループね」と、今まで見たことも聴いたこともなかったので、アイコンをクリックしたのが運のつき、もとい素晴らしい出会いでした。

●ギミチョコPVの感想
(イントロスタート)
「けっこうヘビーでラウドだね。アイドルさんなんでメタル風味程度かと思ってた」。
「って、『あたたたたたずっきゅん!』で何だよ!」
(その後、奇天烈なダンスとアイドルポップメロディーとバックのヘビーサウンドの落差に翻弄されたままPV終了)
「な、なかなか斬新です、ね・・・」(というのが精一杯)
今自分が見聞きしたものを脳でうまく処理できない感じ。
衝撃と困惑。
なんか決して交わることのない、交わってはいけないねじれの位置あるものが交わってしまったものという感じ。
こんな感じを受けたは、高校生の時に中島みゆきの「生きていてもいいですか」を聴いて以来です。


(困惑したまま「ド・キ・ド・キ☆モーニング」のPVを見る。)
イントロのアニメーション部分で即終了。アニメボイスが耐えられない。
(このときイントロしか聞いていないで、この曲をフルで聴くのはしばらくしてからでした。)

続いて「メギツネ」。
(イントロのシンセ部分)
「うゎ、EDM苦手なんだよなー、ユーロビート時代から。でも、このメロディーってもしかしてWINK?」
途中まで試聴したものの、YUIMOAがあまり幼すぎて、途中で終了。

(困惑の度合いをますます深めながら「ヘッドバンギャー」へ)
「地下アイドルってこんな感じなのかな。昔読んだ大槻ケンジの小説を思い出した。」
これは何とか最後まで試聴。

(「いいね!」に関しては、ラップ風の衣装がサムネイルに表示されていたので、そもそもパス。)

そして最後に目に入ったのが、そう、ソニスのLIVE。
(これを見なければこんなことにはならなかったのにと未だに思います。)
「UKってことはイギリスか。」
(イントロ部分)
「なんだこれ、フェスのライブなのか。なんか客入ってんな。盛り上がってるし。」
(曲スタート)
「歌詞はアレだが、後ろの白塗りバックバンドは何だ?やたらと上手いな。」
(SU-METALのボーカル部分)
「PVでは気がつかなかったけど、ボーカルの子、結構歌うまいね。いい声してる。」
(間奏のダンス)
「しかしダンス激しいな。さっきのPVの頃よりだいぶ大きくなってるけど、子供にこんなことやらせていいんか。」

(そして、運命の瞬間。2番の最後「君を守るからー」の「らー」のロングトーン)
まさに一撃。
「ズキューン」って感じで心打ち抜かれた。
今までいろんな音楽を聴いてきましたが、こんな打ち抜かれ方は記憶にない。
(その時は気付きませんでしたが、その瞬間、会場からも「ウォー」をいう歓声が上がってますね。そして万雷の拍手と「We Want More」コールの中、「See You!」で終了。)

その後は、多くのメイトの皆さんと同じで、ネットでの動画漁り→CD購入。その間2週間。

さて、ようやくここからがCDレビューです。
正直言うと、最初にソニスの動画を見てしまったので、このアルバムの印象はよくなかったです。
①打ち込み中心で、インダストリアル臭がプンプン。打ち込み系は嫌いです。
②SU-METALはもちろん、特にYUIMETAL、MOAMETALの声が幼すぎる。
③濁っていて、典型的な低音ブースト、海苔型波形の音質

曲自体はネットでだいぶ聴いていたので改めてという感じでしたが、
音楽としてはメタル50%、アイドルポップ40%、EDM10%に和風エッセンス少々という印象でした。
メタルに関しては本当に詳しくないので、聴きながらいろいろと調べましたが、
ほかのジャンルに違わず、比較的狭いと思っていたメタルのなかでも
ミクスチャーと細分化が進んでいて、多くのサブジャンルを生んでいるのを知りました。
曲によってメタルの中のサブジャンルをうまく取り入れていると思いました。
自分の青春は80年代でメタル全盛期なわけですが、その当時から今に至るまであまりラウド系には興味がなく、自分のCDライブラリーにもその手のものはほとんどない(メタルじゃないけどNirvana、Eastern Youthぐらいか。あと入れていいならThe Blue Hearts)ので、曲の元ネタとなっている曲は調べて知りましたが、ほんとにメタル好きが作っているんだなというのは改めて納得。

曲と歌詞にオマージュというかいろいろな仕掛けがしてあって面白い。楽しめる。
WINKの「淋しい熱帯魚」やら、一世風靡やら、野口雨情やら、アンデルセンやら、果てはなまはげまでぶち込んでくるとは思いませんでした。
BABYMETALのプロデューサーがBABYMETALの音楽はマッシュアップ的手法で作っている、というようなことを言っていましたが、違う曲のAメロ、Bメロを切り貼りして1曲にするところまでやっているらしい。
アイドルポップとメタルの組み合わせ自体はこれが初めてというわけではないのでしょうけど、作りこみ方が全然違う。本気過ぎます。この辺が他との決定的な違いかと思います。
シンガー(プレイヤー)ソングライティングが常識となっているロック系の音楽において、プロデューサー主導の曲作りというのは単純に昔の手法に戻っているともいえますが、歌う人、演奏する人が曲を作らなければならないなんとことは全くなく、単なる思い込みであり、リスナーに提示される音楽がよければそれでいいんじゃないかと思うのです。

収録されている曲は全て練り上げられていてとても魅力的ですが、一番ぶっとんでいるのは、何といっても「4の歌」です。この破壊力には参りました。この曲は、ワールドツアー2014のトレーラーで初めて見たのですが、YUIMOAが笑顔で歌い踊っている姿には狂気すら感じました。
ちなみに巷では色物扱いものでもほとんど抵抗がなく、上々颱風のデビュー当時からのファンである自分としては、多少のエキセントリック加減では驚いたりはしないですが、さすがこの曲は突き抜けすぎているよんよん。


しかし、どうにも神バンドなしで録音の悪いファーストアルバムに納得がいかず、すぐに録音が良いと評判の「LIVE AT BUDOKAN~RED NIGHT~」を購入しました。
(続く。)