ふぶきの部屋

皇室問題を中心に、政治から宝塚まで。
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韓国史劇風小説「天皇の母」18(フィクション・・かな?)

2011-07-24 20:01:10 | 小説「天皇の母1話ー100話

とてもご誠実でご立派で心から尊敬申し上げ信頼申し上げられるという所に

魅力をお感じいたしました」

ミチコの婚約記者会見は両親が両脇についての単独会見だった。

晴れがましい記者会見の筈なのに、両親はどちらも目を伏せ、なるべく目立たないように

務めていた。

真ん中のミチコは白雪姫のような裾が広がった素晴らしいドレスを着て、手袋をしていた。

まるでアメリカの映画から抜け出たような・・・なんとこの人は洋装が似合うのだろうか。

テレビの前に釘付けになった女性達はみな憧れの目線を向けた。

ミチコはあまり笑わなかった。少しでも生意気だと思われたら大変とばかり、ひたすら真面目

な顔つきで「これからの事は何事においても殿下にご相談申し上げ・・・」と答えるのが

精一杯。

結婚する女性のうきうきした風情は微塵もなかったけれど、その代わり、すでに妃としての

気品や立ち居振る舞いが備わっていた。

そんなソツのなさが、またも旧皇族、旧華族らの反感を買い、記者会見後早速雑誌に

ミチコさんの手袋は短すぎるわ。普通、ああいうドレスを着た時は肩まである長い

手袋するものよ。そんな常識もわからないなんて。これだから下々の方は」

と・・・そんな記事が載ったのだった。

無論、ショウダ家にも手袋の件に関しては匿名の電話が入り、母はすっかり参っていた。

実は手袋に関長いものがないか日本中のデパートに問い合わせをしていた。

でもなくて、宮内庁に問い合わせたときに「手袋の長さは問題なし」と言われて

いたのである。

それにも関らずこのような中傷を受けるとは。

でも、それは始まりにすぎなかった。

言葉の使い方が・・・やっぱりお育ちがねえ」

「歩き方が・・・身のこなしが」と重箱の隅をつつくようなことばかり。

宮内庁はOKを出しているのに次から次へと。

 

さらに服装に関しては問題があった。

それは通常の「結納」にあたる「納采の儀」に着る衣装だ。

なにせこれまで皇族に嫁ぐのは華族か皇族だけだったので、その際の装束は

十二単だった。

しかし、ショウダ家にそんなものがある筈がなく・・・しかも戦後のこの時期に

十分なものがあるわけもなく、苦肉の策で出したのが「振袖」だった。

それだって庶民から見たら目が飛び出る程高級な代物だったけれど、それで

許されるはずもなく。

納采の儀の後、ミチコは初めて皇居に招かれたが両親は招かれなかった。

天皇・皇后がショウダ夫妻と公で会う事はない。まだそんな時代だったのだ。

 

ミチコは度重なる偏見や嫌がらせにじっと耐え続けた。

お妃教育が始まると口を真一文字に結んで母と共に皇居に通った。

勉学はそもそも得意だったし、学ぶ事は大好きだ。

自分に出来る事は今はそれしかない。ミチコはどこまでも真面目に取り組む。

 

そうはいってもなあ」

イリエはこの結婚を取り持った張本人であるコイズミシンゾウを目の前にして

愚痴をこぼす。

真面目すぎるんやわ。ミチコさんは」

真面目な事はいい事ではありませんか」

「いやいや、少しバカにならへんと嫌われてしまう。ミチコさんは勝気で完ぺき主義

や。それも筋金入り。まあ、そんな性格でもあらへんと平民の身分で皇太子様と

結婚しようとは思えへんけどな」

ふーん。眉目秀麗とは彼女の為にある言葉ですな」

なんせ皇室いう所は魑魅魍魎の住む所や。出る杭は打たれるの

言葉通り。問題なのは出すぎても引っ込みすぎても悪口を言われるのや。だから

多少はバカになって「うちはあほやさかい、教えてやーー」くらいの気持ちでないと

あかんのや。でもミチコさんは「どこがどういけないのでしょう」とまあ、怖い顔で

尋ねるのや。悪い所なんかあらへん。でもそのない所がいけないとも言えず」

やはり皇后陛下はあまり・・・」

ミチコさんとはろくに口をきかへんのや。それをまたミチコさんは生真面目に悩んで

なあ・・・この間のお勉強の時は終わった途端に脳貧血で倒れてしもて。

まあ、慌てたのなんのって。やっと目をさましたと思ったら出て来た言葉が

「皇后様は私が平民の出である以外に、どこがおきに召さないのか」と。

答えようがあらへんわ。そうやろ?」

どこまでも正攻法なんですな。しかし、その真面目さを皇太子殿下は気に

いられたわけで。またそれくらい真面目でないと皇太子妃は務まりますまい」

でもなあ・・皇后様は深く考えるお方やあらへん。あの人の言葉の半分はその場

限りや。だから気にしてもしょうがないのや。誰でも完璧に気に入られるなんて

あらへんのやから。それに皇后様が今一番怒ってること、なにかおわかりに?」

いや、全然」

馬の数や」

馬の数?」

そうや。パレードに使う儀装馬車が6頭だてなのが気に入らないと。キク君や

セツ君を呼んで愚痴をこぼされたらしいわ。ご自分の時は4頭だてやったと」

いやあ・・・そんな事を言われても」

そうやろ?そんなことに真面目に返事なんかできへんやろ?そりゃあ聞き流すしか

ないのや。だけどミチコさんは・・・」

 

まだ24歳の娘にとって皇室とはあまりにも理解の範疇を超えた世界だった。

マスコミに追い掛け回され、国民の期待を背負って、でも皇室に受け入れてもらえず、

そのギャップにミチコは悩み、結婚式が近づくに連れて不安が増すのだった。

 

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韓国史劇風小説「天皇の母」17(フィクションです)

2011-07-24 19:22:16 | 小説「天皇の母1話ー100話

久しぶりにヒガシクニ家に嫁いだシゲコが参内したのは、お妃内定報道が

終わってすぐの事だった。

シゲコは天皇の長女。皇太子の長姉である。

幼い頃から賢いと評判で「このお方が男子であれば」と何度思われたかわからない。

趣味においても父天皇と共通の事が多く

将来は植物学者になっておもうさまをお手伝いするの」というのが口癖だった。

父天皇にとっても目に入れても痛くない程の可愛がりようだった。

その娘は、皇后の実家筋のヒガシクニノミヤ妃となり、空襲のさなかに第一子を出産

するという体験した。さらに戦後は臣籍降下によってヒガシクニ家はただ人となり

金銭的にも精神的にも無茶な舅を抱えて苦労をしていた。

そんな娘を見る度に不憫に思う皇后は、シゲコが参内するといつも最高のお茶を入れて

もてなし、あれやこれやと持ち帰らせようとする。

けれど、彼女はそれをきっぱりと断っていた。

もう以前とは違うのですから

そんな真面目さが時々窮屈に見えることもある。

気にする事ないのに」

そうはいっても陛下。天皇家の財産は全て国家に帰属するのですから」

シゲコはしとやかに笑った。

苦労が多いのだろうか。

戦後、子沢山のヒガシクニ家は金銭的に辛い思いをしている筈だ。少しやつれたような

気もする。

なぜ、天皇の娘がこんな目に・・・・

 

ナガミヤがね」

娘と二人きりになった時、天皇はふうっとため息をもらした。

「どうにも皇太子妃になる人を認められないのだよ。ナガミヤの部屋に3妃と

常磐会の連中を集めてなにやら色々画策しているのだ」

そうですの」

シゲコはうっすらと笑った。

おたあさまのお気持ちはわかりますわ」

そうかい?」

ええ・・本当は私がいつもご一緒にいて差し上げればいいのでしょうけど、もう

そんな身分ではありませんし。タカノミヤが嫁いだタカツカサ家も今やサラリーマン。

ヨリノミヤに至っては岡山ですものね。お寂しいのよ」

「寂しい・・・か」

それに色々思う事もおありでしょう」

そう

おもうさま、おたあさまにはお優しくして差し上げて。おたあさまは本当に素敵な

方ですもの。物事の道理はきちんとわきまえていらっしゃるわ。ただ、感情が許さない

だけなの。でもいい手があってよ」

どんな?」

おもうさまが常磐会の会長を直々に説得なさるのよ」

松平信子を」

ええ。彼女だってまさかおもうさまに逆らったりはしますまい。でも、大切なのは

おもうさま直々に説得をなさったという事実なんですわ。いかがかしら?」

女というのものはわからないなあ。お前は何でも知っているね。テルミヤ。

やっぱり世間の波にもまれた人間は出来が違うのだろうなあ」

シゲコはまたうっすらと笑った。

もともと透き通るような美しさを持った娘だった。それがまた一段と天女のように

儚く見える。

苦労しているんだろうね」

いいえ。幸せよ。結構大変ね。うちは子供達が多いから」

度々連れておいで」

はい」

 

数日後、天皇はシゲコの進言を取り入れて、松平信子を呼び寄せた。

この松平信子という女性は天皇の前ですら怖気づかず、まっすぐに目を見てくる。

この女傑を味方につけることが出来たら、皇太子も楽になるだろう。

色々思う事もあるだろうが、ここはまげて承諾して欲しい。決して学習院の女子が

皇太子妃にふさわしくないというわけではないのだから」

陛下」

信子は言葉に詰まった。女傑と言われていても女である。皇室に対する畏敬の念を

失った事はない。どこまでも親皇室派なのだ。

恐れ多いことでございます」

ならば承知してくれるか。ショウダミチコと皇太子の結婚を。日本もこれから大きく

変わっていく。皇室もまたしかり。その時代の皇后としてミチコはふさわしいと

私は思う」

はい。承知いたしました」

信子は素直に頭を下げた。

これでよかったのか・・・・天皇は素直な信子にほっとした。

これであれやこれや文句を言われては叶わない。

日頃、冷静沈着な天皇も女性の言葉には弱いのだ。でも今の信子をみれば・・・

 

ほっとする天皇の顔を横目でみつつ、信子は神妙な顔つきでいた。

けれど心の中では嵐が吹き荒れていた。

(お上。私はお上を心から尊敬申し上げておりますが、今回のご判断だけは

間違っているといわざるを得ません。あの娘を次代の皇后にするということが

どんな結果を産むのか。その時私はこの世におりません。お上もです。

そんな先の事をあれこれ考えるべきではないのかもしれません。でも、お上。

必ずやその時、皇室は最大の危機を迎える事になるでしょう。

私には見えるのです。

旧皇族、旧華族が皇室に背を向けていく現実が。

孤独な皇太子殿下が即位なさるとき

日本はどうなっているのでしょうね)

 

コメント (3)
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