ふぶきの部屋

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光君へ16回 香炉峰の雪

2024-04-25 07:00:00 | ドラマ・ワイドショー

「光る君へ」継続してみています。

私、本当は藤原道長も紫式部もそんなに好きじゃない。

道長は特に好きじゃない。

若い頃に「枕草子」現代語訳を読んでからすっかり一条天皇と中宮定子のファンになったので。

でも、この物語は後半は彰子と紫式部のサロンがメインになっていくのだから、それまで見続けられるかなとは思うんです。

今の所、道長は非常に魅力的に描かれており、吉高由里子も回りの演技に支えられて、何とか平安娘になっているなとは思うんですけど。

正直、まひろって貴族の娘にしては素顔をさらしすぎな所、あるじゃないですか?

外をぶんぶん走って歩いてとうとう悲田院まで行ってしまった

どんなに紫式部の味方をしても、藤原一族の彼女がそこまで「庶民」に心を寄せていたとは思わないのですが。

ただ、今週はまひろと道長より、定子と清少納言のやりとりに全て奪われましたね。

華麗なる御所でのサロンと悲田院で泥まみれになっているのと、どっちがって言われるとねえ。

なぜ、一条天皇と定子派なのかと言いますと、このお二人が本当に恋愛関係で結ばれており、尚且つ知識、教養に満ちた「ザ・皇族」そのもののお二人だからです。

清少納言は結構ズケズケいう人ですけど、定子は常に微笑んでそれを許していたし、面白がってもいる。そういう「大人」な所が本当に素敵な女性です。

で、今回の目玉シーン「香炉峰の雪」は「枕草子」でも代表的なシーンで、

原文はこんな感じです。

雪のいと高う降りたるを、例ならず御格子まいりて、びつに火おこして、物語などしてあつまりさぶらふに、「少納言よ。香炉峰の雪いかならむ」とおおせらるれば御格子上げさせて、を高く上げたれば、笑はせたまふたれば、

人々も「さる事は知り、歌などにさへうたへど、思ひこそよらざりつれ。なほこの宮の人にはさべきなめり」と言ふ。

雪が大変深く降り積もっているのを、いつになく御格子を下ろしたままで、炭櫃に火を起こして、私たち女房が話などをして集まって伺候していると、中宮様が「少納言よ。香炉峰の雪はどんなであろう」と仰せになるので、女官に御格子を上げさせて、御簾を高く巻き上げたところ、お笑いあそばす。周りの人々も「白楽天のその詩句は知っていて、歌などにまで読み込むのだけれど、中宮様の謎かけとは思いもしなかったわ。(とっさに御簾を上げた少納言のように、)やはり、この宮にお仕えする人としては、そうあるべきなのね」と言う)

 

確かドラマでは、サロンで色々贈り物などされてにぎやかな中、中宮定子が「何をして遊びましょう」と言って、清少納言に「少納言、香炉峰の雪はどうなの」と聞きます。

すると少納言はさっと立ち上がって御簾を上げるのです。

「香炉峰の雪は御簾を上げてみるですね」と。で、回りの男子達はちょっとちんぷんかんぷん。そこで伊周かな?「白楽天だよ」っていうのです。

その後は楽しい雪遊びシーンになっていくのですが、恐らく本当は女房ももっといたんじゃないかなと思います。

ここで重要なのは中宮が「香炉峰の雪はどうなの」に対して、清少納言がぱっと御簾をを上げる、そのツーといえばカーのやりとり。

無論、白楽天を知らなければ出来ない技。そして漢詩に詳しくないと出来ない技です。

一条天皇と定子は、二人で漢詩を詠み合い、謎かけしたりするのが大好きな教養が深い二人です。

だから一条天皇は定子を愛しているのですが、やがて兄、伊周の失脚で中宮位を追われてしまいます。

それでも一条天皇は定子を愛するのをやめなかった。

私は、「源氏物語」の桐壺帝のモデルはこの一条天皇ではないかと思います。

 

平安貴族とはいえ、漢詩を詠んだり好きだったりする女性は珍しかったと思います。

女性はかな文字を使い、過去の和歌などの「本歌どり」などを楽しむ事はあっても、漢詩をよくし、謎かけまで出来る女性と言うのはそうそうありません。

定子の母は高階氏で長屋王家に繋がります。

とても教養が深い人だったようで、ゆえに定子も自然と教養が身に着いたのでしょう。

皇族に必要なのは「1に礼節、2に教養」です。

語学が得意とか通訳を通さずに話せたとか言っても、例えば英文学に通じていたり、人と会話する時に、たとえ話が出来るか否かで随分違ってきます。

一条天皇と定子ってカズレーザー並の知識と教養を持ち合わせている人達だったんだろうなと思うんですよ。

で、すごくそれが羨ましくて。

 

話がそれますけど、最近「クリミナル・マインド」の再放送を見てて、超天才のスペンサーが、顔を見た事のない彼女との会話を「シャーロック・ホームズ」の作品になぞらえてやっているんです。

「ああ、それは○○だね」とか。

本を読みこんでいる人はこうも違うんだよなと。

アメリカのドラマでは今でも平気で「脱税?じゃあ、牢屋に入る?」

「ディケンズじゃないよ」とかいう会話が出てくるんですよ。

要するに当時のイギリスでは「納税義務を果たさなかったためにそれ専用の牢屋があった」って話なんですけど。

で、ディケンズの作品と言えば・・・みたいにたとえ話がすぐに出て来る。

日本人はそういう事をすっかり忘れてしまっているんですね。

 

ゆえに例え悲恋で終わっても、私は定子推しで決して彰子ではないのです。

若い時は古典を沢山読んで、それを踏まえて現代の小説や論文を読み、そして事あるごとに「ああ、これって・・・」みたいに頭に浮かぶ、そんな生活をするとよいですよ。

って・・・今、あまり本読まないけどね。

中国ドラマを見ていると、あっちこっちで漢詩が出てきて、その度に「名前は知ってるけど・・・」と思い、ああ、漢文ちゃんとやっとけばよかったと後悔です。

日本人がディベートに弱いのは、色々な国の物語を読み、理解しつつ覚えていないからですよね。ゆえに相手を論破出来ない部分が大きいと思います。

 

 


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10 コメント

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Unknown (山芙蓉)
2024-04-25 07:22:56
イギリスではディケンズやシェークスピア、俗っぽくならホームズ。
中国でも漢詩が出てくるんですね。
それがアメリカになると野球絡み。
日本は何でしょう・・・野党が国会で飛ばしたヤジだったり、ドラマのセリフだったり、アニメ絡みだったり?薄っぺらいですね(自戒を込めて
Unknown (まほろば)
2024-04-25 07:49:24
まひろの袴は何で短いの?と調べたら、切袴と言って家の中では普通に穿かれて居たものだそうで··知らなかったわ(笑)確かに牛車にでも乗らなければ歩きですものね。舗装もしないからぬかるんで裾が汚れますよね。

子供時代のおさらいで、更級日記か?全然忘れてる(笑)
使われている音楽というかバックグランドミュージックも心地よい。
それにしても平安時代を提案したdirectorは勇気がある。大石静さんは御主人の介護と見取りをしながら脚本を書かれて居たそうで、大変な事を2つ同時にやれる能力に脱帽します。天国で御主人も見てますよ、きっと。
Unknown (まほろば)
2024-04-25 07:55:41
書き忘れました。百人一首は男女比はどうなっているか気になって調べました。男🆚女は79🆚21。

女性の内訳は,天皇 1 人,内親王 1 人,女房 17 人, 母 2 人であり,小倉百人一首に占める女性参画率は 21%と なります.

圧倒的に女房が多い。当時の女性の就職先の一番行けてる場所が宮中のサロン何でしょうね。まひろのサロンはどうなるか?楽しみです。
Unknown (小花丸)
2024-04-25 08:48:26
香炉峰の雪の回、楽しみにしていたのに見逃してしまいました。
私も中高生の頃に枕草子桃尻語訳(橋本治)を読んで定子と少納言のファンになりました。
桃尻語訳は、今で言う若者言葉版ですね。春っていえばー、曙じゃね?的な。

少し前に古典不要という意見がネットに上がっていましたが、ふぶきさんの仰るとおり、人とのやり取りで古典の一説を挟んだり、歴史的事件を挟んだりして
相手とコミュニケーションを楽しみ、議論の際に論拠の補足をしたりするのです。それが教養というもの。
尊き身分の方には学識や語学よりも教養が求められるのは古今東西共通のことです。
香炉峰の下りの定子と少納言のやり取りも同じ。今年の大河ドラマを楽しむ現代人は白楽天、枕草子、紫式部日記、源氏物語を知った上で楽しみます。
日本史をよく知る人は、藤原氏が高階氏や源氏などの他氏族に気を遣っていたとより理解するでしょうし、平安文化好きな人は、装束や設えにも着目しているようです。

ただ、貴族の姫が平気で素顔を晒し端近に出たり外を歩き回るのには違和感がありますね。
Unknown (みやこ)
2024-04-25 15:49:30
中学時代から、中宮定子をちゅうぐうていし、中宮彰子をちゅうぐうしょうしと読んだていたので、ドラマでのさだこさまにあれと思うことあります。香炉峰の雪は、試験に出るので憶えました。定子は、道長から圧迫されますが、一条天皇との間に1男2女いるんですよね。でも、父が死に兄が失脚して後ろ盾失う定子。これから、定子を見るのが辛くなりますね。
Unknown (がね)
2024-04-25 16:43:09
光る君へ、毎週楽しみに見ています。もう3分の1終わったなんて…。

私は日本文学、中でも平安古典文学を専攻し、当時はガンガンに残されている限りの写本を原文で読んでいましたが、やはりどちらかというと紫式部に惹かれますね。これはもう好みかな。
清少納言とふたり、天才かと。
それでも、紫式部については、あれだけの長編を、その確かな教養を土台に人物造詣・文化、歴史や風俗をまとわせつつエンタメとして成り立つように紡いだのは、世界でも類を見ないレベルなのではないかと思います。一体どんな女性であったのか…。あと、まあこれはドラマでは誇張されてますが、私陰キャの方が好きで笑
ちなみに自分は学生時代から、道長とは関係があったと思っていました。パトロンみたいな関係だったかと。

いわゆる知識と教養は違いますよね。
決して人にひけらかすのではない。知識を個性の解放の糧にして、自己実現の為、幸福の為、自由自在に操るのが教養というのではないかと最近は感じているところです。
SNSで情報が溢れている今、薄い情報だけは豊富な輩が増え、それを皆が勘違いしてしまうような世の中になっていますね。
自分も今一度省みたいなと思います。
Unknown (菜の花)
2024-04-25 18:00:50
香炉峰のシーンで「白楽天だよ」と言ったのは、伊周ではなく公任ではないでしょうか?

枕草子桃尻語訳がコメント欄に出てきて、思わず「懐かし〜!」と声をあげてしまいました。
中学時代の担任が勧めてくれて、楽しく読み進めた記憶があります。
おかげさまで、勝手に脳内で変換されてしまうという…w
一条朝 (ふつうの日本人)
2024-04-26 02:01:18
もはや現代劇になってしまいましたね。
もの言いもまるで武家の様。

定子と彰子、推しはと問われても、どちらも藤原北家ですからねぇ。教養は申し分ないのでは。
うちの家系の者は、一条天皇にはご恩がありますし、道長を関白に推した人でもあります。まぁそういう時代だったと。
倫子さま役が黒木さんでよかったです。
Unknown (まほろば)
2024-04-26 07:00:49
関係ない話。昨日「王様と私」見に行きました。実は過去に染五郎さん(1970年代)と多分安奈淳、一路真輝さんと高島兄は見ています。ものすごくつまんない作品で(笑)何で?と思って怖いもの見たさですね。所が結構楽しめました。
理由は前回は帝劇今回は日生劇場の違い。箱が小さくて良かった(笑)眠くならすぱっちりと目を開けて見れました、そして作品の底に流れる、自分を持つこと、身分に依らず人に見ること、人を愛してこその人生である事が良く見えてくる作品に仕上がってました。

明日海りおがこれをやれたということは、サウンド·オブミュージックがやれるってこと、更に大地真央がやった全てのミュージカルがやれるってことか?と。
最近、宝塚時代の「金色の砂漠」三回繰り返して見てしまいました。畏るべしの上田先生でした。その作品と比べても「王様と私」は成長した姿を見ることできました。来月は花組でサヨナラですが連休明けに参ります。
Unknown (紺碧)
2024-04-26 08:42:26
枕草子を見ると定子はとてもステキな女子だと思います。ただ定子も彰子も権力者の姫様、そして2人とも政略結婚ですから結婚後に愛が芽生えたのでしょうか?定子の不幸は道隆と伊周が道長に負けたのと当時の医学では助かる命も助からなかったからだど思います。そう思うと今の私達は恵まれてますし自由でとても幸せだと思います。

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