その夜、異星人からのテレパシー交信がベッドで眠る城水に入った。里子は寝息を掻いて熟睡していた。
[君は余り無理をしないように。地球人達の生態分析は現在、着実に進んでいる。地球に残るほぼ半月の間(かん)に、なんらかの結論が下されるだろう。初期化をするか、そのまま飛び立つかは分析次第である]
[それ以降も私は地球に存在するのでしょうか?]
[その判断は君に任せる…]
[分かりました…]
交信はプツリと途絶えた。そして、その日は終わった。
次の朝である。覚醒してクローン化した日から、城水の起床は早くなっていた。この日も、里子より早く目覚めていたが、怪(あや)しまれるといけないと思え、里子が起き出して20分ほどして寝室を出た。
「あら! 今朝も早いわね。どうしたの? ここ、数日」
[ああ。いや、なに…健康第一。早起きは三文・・今に換算して数十円の得!]
「えっ?! なに、それ? まあ、いいか…」
幸い、里子は軽く受け流してくれたから、城水は助かった。
城水の学校での職務情報はすべてデータ化され、UFOからテレパシーで城水へ送られることになっていたから、その点の心配は城水にはまったくなかった。ただ、突発的な出来事が起きた場合が問題なのだ。今の城水は、何も知らない人間が、まったく未知の場所へ移動した状況とよく似(に)ていた。