水本爽涼 歳時記

日本の四季を織り交ぜて描くエッセイ、詩、作詞、創作台本、シナリオ、小説などの小部屋です。

SFコメディー連載小説 いつも坂の下で待ち続ける城水家の諸事情 -58-

2015年09月23日 00時00分00秒 | #小説

 彼等はそれぞれに捕獲袋を持っていた。この袋の繊維は地球上にはない物質で出来ており、伸縮自在で時空移動が自在な袋だった。袋が縮めば、確保された生物も縮むという具合である。その後、時空移動してUFO内に送られ、保管された。生物は動植物を問わず、異種の生物が対象になっていた。。城水がぐっすりと眠っている間にも、その地球規模の大異変が進行していたのだが、城水が住む街自体には何の変化の兆(きざ)しもなかった。街は静かに眠っていた。
[聞こえるか、城水0号]
 熟睡(じゅくすい)する城水に突然、テレパシーが送信された。城水は、ハッ! と目覚めた。
[はい!]
 里子に悟(さと)られては拙(まず)い。城山は横たわったまま微動せず、テレパシーを送り返した。
[就寝中、申し訳ない。緊急に伝えておくことが出来た。今、地球規模の変革が開始された。世界各地に下り立った各編隊への指令は、すべて私が行っている]
 城水は、そんなことはどうでもいい…と思えた。知りたいのは、地球規模の変革とは何なのか、だった。だが、そうは言えなかったから、思うに留(とど)めた。
 城水が知りたかった異星人による動植物の種族確保計画は、城水がUFO指令と会話している間にも、刻々と地球規模で進行していた。進行速度は人間が考えるほど緩(ゆる)やかなものではなかった。地球文明が目にしたことがない高度な文明が作りだした装置なのだから、それも頷(うなず)けた。


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする