水本爽涼 歳時記

日本の四季を織り交ぜて描くエッセイ、詩、作詞、創作台本、シナリオ、小説などの小部屋です。

めげないユーモア短編集 (8)オリンピック論議

2022年10月10日 00時00分00秒 | #小説

 いよいよコロナ禍の中のオリンピックが開催されるようだ。賛否両論ある中、私的な意見は避けるとしても[…よく分からないから^^]、なんとか成功して欲しいものだ。というか、なんとしてでも成功させて欲しい。世界のオリンピック史上、消えない禍根を残さないためにも…という気分は誰しも同じだろう。
 とあるテレビ局である。二人の論客が、ア~でもないコ~でもないと論議している。
「だって、開催してみないと分からないじゃありませんかっ!」
「馬鹿なことを…。専門家の意見とも思えないっ! 失敗してからでは遅過ぎるんですよっ! 未来永劫、歴史に残るんですからっ!」
「あらゆる障害に、めげないでやってこそのオリンピックですっ! 戦争だってコロナだって同じですよっ!」
「やって失敗したらどうするんですっ! 首都のロックアウトですかっ!」
「そんな弱腰でどうするんですっ! あんた、男でしょうがっ!!」
「男だろうと女だろうと、そんなの関係ないっ!!」
「やっぱり!!」
「なにが、やっぱりだっ!!」
「まあまあ、お二方(ふたかた)っ!」
 激高する二人を見かねたアナウンサーが止めに入った。
「あんたは、どう思うんだっ!?」「そうだっ!」
 激高する二人のの矛先がアナウンサーに向けられた。
「いや、私は司会者として…」
「司会者だって思うところがあるだろっ! それを披瀝(ひれき)しなさいっ!!」「そうだっ!!」
「それは…」
 アナウンサーは二人の論客の想定外の攻撃にめげないで暈(ぼか)す。そのとき、フロアディレクターのサインが助け舟のように出た。
「あっ! コマーシャルのようです…」
 オリンピック論議で困ったときは、めげないで暈すことが肝要(かんよう)となる。^^

                   完


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