欲がない者は、残念ながら世間で、そう大した人物にはなれない。この場合の欲は意欲であり、私達が考える食、色、金など下世話な欲ではない。^^ 私達は、グッ! とそれらの欲に負けまいとめげないで意欲を燃やし生きているのである。ところが、日々の生活の中には、その意欲を削(そ)ぐ人や諸事が溢(あふ)れ返っている。それでも私達はめげないで懸命に意欲を持って生き続けているのである。人生とは、ある意味、めげないで自身を高める修行の場なのかも知れない…などと、暑くならない朝早くから畑の除草作業をしながら、お坊さんのように偉そうに思っている訳だ。^^
とある都会の通勤風景である。列車から降りた乗客がドッと駅から昇降階段へと殺到し、いつもの馴れたパターンで改札口をスゥ~と出ていく。そんなラッシュ時の二人の会話だ。
「教授、最近、ダメなんです、僕。バテちゃって…」
「ははは…なに言ってんだっ! 私なんか意欲がめげるこの年だぞっ! それでも日々、頑張ってんだっ! 君なんか、これからじゃないかっ!」
「そうなんですがね…。昼間は研究所、夜は嫁と・・これじゃ意欲も出ませんよっ!」
「じゃあ~コレ飲んでみろっ!」
「ははは…そういや、そんな通販のCMありましたねっ!」
「なに言ってんだ、君はっ! コレは私の開発薬だから、よく効くはずだ…」
「この前も同じこと言いましたよ…」
「何度でも言うっ! 認可されて市販されてんだから、文句なかろっ!」
「文句はありませんがね…。ただ、意欲が出るかどうか…?」
「君も助手として手助けしてくれてたろっ!?」
「ははは…だから、余計に…!」
「余計に何だって言うんだっ!」
「意欲が出ません…」
めげない意欲は、本人に確信が持てないと湧かないようです。^^
完