水本爽涼 歳時記

日本の四季を織り交ぜて描くエッセイ、詩、作詞、創作台本、シナリオ、小説などの小部屋です。

めげないユーモア短編集 (7)思いどおり

2022年10月09日 00時00分00秒 | #小説

 世の中がすべて自分の思いどおりに進めば、これはもう、誰だって何も言うことはないだろう。ところが世の中はそう甘くないから、自分の思いとは逆の姿を見せて妨害をする。めげれば物事はそれで終わり、一歩も前へは進まず、コトは潰(つい)える。だが、それに抗(あらが)い、めげないで頑張ろう! とするのが人のいいところだ。めげるのは簡単だが、めげないで頑張ろうとするのが人なのである。思いどおりにいかない、いかせない物事は、見える事象、見えない事象に関わりなく人を攻撃する。何らかのエネルギー得て、めげずに頑張りたいものだ。私だって年老いてもまだ頑張っている。思うに、人が頑張れなくなったり頑張らなくなったときが人生の終焉のように思えている昨今だ。皆さん、自分の思いどおりにならなくても、グッ! と堪(こら)えて頑張りましょう!^^
 サラリーマンの男が二人、公園のベンチで缶コーヒーを飲みながら話をしている。どうも営業マンのようだ。
「先輩っ! 暑くなってきましたよっ!」
「馬鹿野郎っ! 暑さが何だって言うんだっ! これくらいのことでへこたれて、契約が取れるかっ!!」
 先輩風のサラリーマンが後輩風のサラリーマンを一喝(いっかつ)した。思いどおりに契約が取れないのは暑さの所為(せい)ではない・・という言い分だ。
「はい、それはそうなんですが…。もう昼近くですし…」
「んっ!? …それも、そうだなっ! 腹が減っては戦(いくさ)が出来ぬと言うからなっ! 先にそこいらで昼にするかっ!」
 先輩風のサラリーマンは折れ、後輩風のサラリーマンの言い分を、あっさりと受け入れた
 二人が食事を終え、再び契約先の会社を訪れると、取れなかった契約があっさりと取れた。対応した会社の担当者も昼を済ませたところで、気分がほぐれていた・・ということもある。
 このように思いどおりにいかなかった内容も、ワンクッション入れると、思いどおりになることもある・・というお話でした。皆さんの参考になれば…と思います。^^

                   完


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする