水本爽涼 歳時記

日本の四季を織り交ぜて描くエッセイ、詩、作詞、創作台本、シナリオ、小説などの小部屋です。

めげないユーモア短編集 (20)疲労

2022年10月22日 00時00分00秒 | #小説

 身心を酷使すれば、誰だって疲労する。ただ、その疲労で、めげるかめげないかは、同じ疲労の度合いでも人それぞれで違う。Aという人物は息絶え絶えでギブ・アップ[降参]したとしても、Bという人物はめげずに耐え抜いて、『まだまだ…』と逆襲したりする訳である。プロレス中継なんかをよく観ておられる方は攻守が変化わる格闘を目(ま)の当たりにされ、よくご存じだと思う。『ワン、ツー、スリー!!』でゴングが鳴る、『ワン、ツー!』で跳ね返す・・と言った場面を、である。^^
 とある町の商店街である。二人の店主が売れない商品をハタキで埃(ほこり)を拭いながら店前で話をしている。
「さっぱりだなっ!」
「ああ、入荷しても売れんからな…」
「すべてはコロナか…」
「まあな…」
 二人は、すっかり精神的に疲労した声だ。
「今月も…」
「というより、今年も、だろ?」
「人類も、いよいよ絶滅かっ!?」 
「ははは…恐竜のようにっ?」
「ははは…まあ、そんなことは、ないだろうが…」
「そういや、鹿、馬、猿とかのウイルス話は聞かんなっ!」
「ああ、豚、牛、鳥は、よく聞くが…」
「その辺りに何か終息のヒントがあるんじゃないか?」
「医学のことはよく分からんが、感染免疫の差か?」
「かもな…。まあ、そういうことは専門家に任せて、俺達はめげないで商売するしかないが…」
「ああ…」
 原因が探れない者は、疲労にめげないで頑張るしかない訳である。^^

                   完


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