平成27年9月19日、国会は「平和安全法制整備法案」と「国際平和支援法案」を成立させた。これが多くのメディアと政党が「戦争法案」と勝手に呼称して非難した安全保障関連法案の正式名称である。
国民のどれほどが正式名称を知っていたか。「平和安全法制整備法案」は自衛隊法や武力攻撃事態法など十本の改正を一括したもので、「国際平和支援法案」は他国軍の後方支援を随時可能にする新法である。
この新法制は、米国など「親密な関係にある他国」に対する武力攻撃が発生した場合に、それが我が国の「存立危機事態」と認定されれば、集団的自衛権の行使を可能にするものである。
たしかに後方支援や自衛隊の海外派遣先での駆け付け警護、国連平和維持活動(PKO)の任務や活動範囲も拡大することになるが、新法制の根幹をなす集団的自衛権の行使は、自国防衛のみを目的とする限定的な容認にとどまる。
安全保障政策を専門としない憲法学者の「違憲論」が幅を利かせ、国会で実のある議論を避けて国民の目をくらませた野党や識者と称する人々の無責任が厳しく追及されないままなのは残念だが、「新しい日本人」はそうした旧態依然の主張に流されることはなかった。
この法案成立までの過程でメディアの多くが国民を誤った方向に導こうとした。
たとえば安保関連法案の衆議院通過後に行った世論調査の結果として、安倍政権の支持率下落を報じた。これは平成25年12月に特定秘密保護法が成立したときも同様だった。
特定秘密保護法案は、国の安全保障上、高度な機密情報の漏洩防止を強化することが狙いで、国家安全保障会議(NSC)創設に伴い、友好関係にある諸外国の情報機関との情報共有のために、これは必要であった。
ここで日本国民に思い出してほしいのは、「尖閣沖での中国漁船体当たり事件」である。
平成22年9月7日、我が国の尖閣諸島沖で違法操業していた中国漁船が海上保安庁の巡視船「よなくに」「みずき」に体当たりをしてきた。
同庁は当該漁船の中国人船長を公務執行妨害容疑で逮捕したが、那覇地検は同月25日、処分保留のまま釈放した。同年11月、一色正春海上保安官(当時)が体当たりの様子をインターネットの動画サイトに投稿し、国民の知るところとなった。
一色氏は国家公務員法(守秘義務)違反容疑で書類送検され、起訴猶予処分となったが、一色氏の「やむにやまれぬ思い」がなければ、国民は中国漁船の攻撃的な態度を知ることができなかった。
当時の菅直人政権は映像の公開を拒否し、動画サイトに映像が流出すると仙谷由人官房長官(当時)は「ゆゆしき事件だ」と厳しく批判し、「犯罪行為」と断じた。
映像流出後、菅政権は仙谷氏主導で情報漏洩防止のため秘密保全法制を検討し、有識者会議が「最高刑懲役10年の罰則を盛り込んだ秘密保全法制を早急に整備すべきだ」とする報告書をまとめたものの、法案提出には至らなかったという経緯がある。
当時の民主党政権の判断は、明らかに中国に迎合した摩擦回避で、日中関係における日本の正当な主張を自ら弱め、安全保障上も大きな不利益をもたらした。
このような運用がなされる「特定秘密保護法」であってはならないが、安倍政権は、民主党政権時代の映像流出は「特定秘密保護法案が想定する特定秘密に当たらず、秘匿(ひとく)の必要性はない」との見解を示したにもかかわらず、多くのマスメディアは警戒論しか展開しなかった。
問題なのは、彼らが民主党政権下の「秘密保全法制」には反対の声を上げなかったのに、安倍政権の「特定秘密保護法」には激しく反対したことで、これは悪質な二重基準である。
しかし、結果的に「新しい日本人」はマスメディアのこうした二重基準を見抜いて「いつか来た道」式の警戒論には乗らなかった。むしろ、民主党政権時代のような対応では困ると考える人々がはっきり増えているのである。
---owari---
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