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アメリカ社会の大問題は「貧富の差の拡大」

2018年12月13日 | 政治・経済

アメリカは孤立主義、内向き志向になっているが、原因の一つは2008年に起きたリーマン・ショック以後の経済の低迷にある。たしかにアメリカの経済規模はいまも世界一である。2015年の名目GDP179470億ドルで、第2位の中国の109828億ドルを大きく引き離している。

 

ちなみに日本は第3位で41232億ドル。アメリカは依然として世界経済の2割を占める大国なのだが、問題は経済の規模よりも質であり、国民生活に豊かさをもたらしているかどうかである。

 

大統領選挙でも「国の分断」が指摘されたが、アメリカ社会の大問題は貧富の差の拡大である。それは従来の白人富裕層に対する有色人種の移民たちの相対的貧しさという図式だけでなく、白人のブルーカラーを中心にした労働者階級と資本家・投資家との著しい格差が重なっている。

 

リーマン・ショック後の2009年から2010年にかけてのアメリカの一般労働者の家計収入(実質所得)は、平均2%しか伸びなかったのに対し、所得上位1%のそれは12%の増加で、しかもこの1%の富裕層が手にした所得は全体の93%に及ぶ。

 

また、19792007年にかけて所得上位1%を占める超富裕層は税引き後の収入が3.8倍に増えたのに対し、下位2割の低所得者層は18%しか伸びなかったという米議会予算調査局CBO)の調査報告(201110月)もある。CBO「この30年間で米国民の所得は、かなり不平等となった」と分析した。

 

さらに、米市民団体の「税金の正義を求める市民の会」が発表した米主要企業280社の納税実態調査によれば、2008年から2010年にかけて78社が少なくとも1年間は連邦所得税を納めておらず、30社は3年間にわたって納税しなかったという。

 

一握りの超富裕層とそれ以外の人々の格差はより深刻さを増し、納税の有無を通じて国民道徳の問題ともなっている。

 

トランプ氏は、「ウォール街と結託する(民主党の)クリントン候補は邪悪だ」と訴え、ヒラリー・クリントンと民主党の大統領候補指名を争ったバーニー・サンダース上院議員も、ワシントン政治とウォール街の「結託」を批判して支持を集めた。

 

トランプ氏もサンダース氏も名指しした「ウォール街」は何を象徴しているか。それは民主、共和両党の主流派が推進してきた経済のグローバリズムである。

 

トランプ氏は過激な表現でそれを批判し、白人の中間層を中心に米国民の多くがそれに唱和した結果、トランプ氏は大統領に当選した。底流にあるのは、近年の米国型資本主義への激しい反発である。

 

---owari---

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