3月11日2時46分。それからの10日間。舞台は岩手県釜石市の「遺体安置所」。
どんなに悲しい映画でも、また深刻な社会問題をテーマにした映画でもどこかに、ほのぼのとしたユーモア、笑いがあります。
気のきいたジョークであったり、子どもの無邪気な表情であったり・・・・。
映画館で「笑う」ことは日常を離れた楽しみです。
この映画は最初から最後まで笑うところはありません。
でも、「ひたすら暗い」のではなく人間の強さ、やさしさ、暖かさに、あふれていました。
「感想」は言葉になりません。
なのでパンフレットから君塚監督の言葉を引用します。
「もしかしたら僕のやっていることは、被災者の方々、ご遺族の方々の傷口をこじ開けているにすぎないかもしれないという気持ちは常にありました。・・・しかし僕は『もし批判されたとしてもこの作品を撮らなければならない』と全責任を負う覚悟で作りました。(談)」
監督も演ずる者も「覚悟」して世に出してくれた作品です。
原作;石井光太『遺体 震災、津波の果てに』(新潮社)
脚本・監督 君塚良一
出演;西田敏行 他