多重債務に陥る背景に、個人の心がけ、生活スタイルの問題にだけ帰することのできない社会の歪みがあることを、宇都宮けんじ氏をモデルとする弁護士に語らせている。
主人公が探し続ける関根彰子の「自己破産」の経歴について・・・「・・・何も特別にだらしのない女性ではなかった。彼女なりに、一所懸命に生活していました。彼女の身に起こったことは、ちょっと風向きが変われば、あなたや私の身にも起こり得ることだった。・・・」
宇都宮けんじ氏は、一生懸命生活しながら、生活困窮、泥沼に陥る人々を救うために弁護士として闘い、大元の法律を変えるために闘い、今、首都東京のリーダーとして、人々の命を守る闘いの最前線にいる。
著者 「あとがき」より
・・・とりわけ、超多忙なスケジュールのなか、貴重な時間を割いて取材に応じてくださり、クレジット・サラ金問題の現状について有益なお話を聞かせてくださいました弁護士の宇都宮健児先生には、この場をお借りして厚くお礼申し上げます。
著者:宮部みゆき
新潮文庫