今、パブリックコメントを募集している「就学前教育・保育施設再編実施計画」案は、向こう10年ほどの間に、市内の4つの保育所、4つの幼稚園をほぼ全てなくして、民間の認定子ども園に置き換えていくというものだ。
「ほぼ全て」というのは、府営要池住宅の一角にある要保育所は、「当面は公立のまま認定子ども園とすることが考えられる」が、子どもの数、施設の老朽化等で、今のままの施設では使えなくなったときは「民間の認定子ども園が望ましい」としているので、そうなったときには、市内の公立の就学前保育・教育施設は、現行の3つの認定子ども園だけになる。
それでいいのか?
「計画」案の文章をそのままを引用すると以下の通り。
公立の保育所等の施設を建て替えする場合、国の補助はなく全額市負担になりますが、民間事業者の場合は、国の補助を活用することができるため市は4分の1負担になります。(5ページ)
施設整備については、定員拡大等のため公立の施設を整備するには、その費用は全額市負担となりますが、民間施設の場合は市の負担は4分の1で済むため、原則として、公立施設については再編のための施設整備は行わないこととします。(12ページ)
つまりは、建て替えも、増改築も「公立では全額市の負担。民間なら4分の1」ということだ。
これでは「公立の施設整備はあきらめなさい」ということになる。
確かに、公立の施設への「国の補助金」はなくなっている。民間の場合は「補助金」として残されている。
しかし、国が公立の施設整備に対する財政措置を一切やめてしまったわけではない。
国の財政措置は、全国どこにいても憲法に基づく福祉や教育のサービスを受けることができるように、自治体の財政力の格差を補う地方交付税措置としてある。その財政措置を受けたうえで「全額市の負担」ということになる。
「公立保育所の施設整備費及びにつきましては、国庫補助金の一般財源化による影響が生じないように、適切な地方財政措置を講じているところであります」という国会答弁もある。(2015年3月24日 吉良よし子参議院議員に対する高市早苗総務大臣答弁)
委員会協議会では、これまで乳児保育所新設、幼稚園と保育所の一体化による認定子ども園化を、3つの施設で行ってきたが「それは何の国の財政措置もなく全額、市の負担で行ってきたのか?」と問うた。「一定の交付税措置がある」ことは認めた。
「一定の」とはどれほどか?
少なくとも国は、「一般財源化の影響が生じないように適切に財政措置を講じている」としている。
そうでないとすれば、国に対して抗議の声をあげなければならないところではないのか?
施設整備費だけではなく、運営費についても同様の考え方が示されている。
ほとんどの市民は、地方財政の仕組みについての知識や理解があるわけではないだろうと思う。
現にある公立の施設を全てなくして、民間の運営に委ねることの「理由」を、「計画」案のような書き方をするのは、市民をだますものではないのか?
そうまでして「公立」の施設を一気になくしてしまっていいのか?!
「公立」の施設の果たす役割についてあらためて考えていきたい。
これはまた明日。