◆中国と台湾が「反日」で共闘? 台湾の連戦氏が習近平氏と会談
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中国の習近平国家主席は1日、台湾国民党の連戦(れん・せん)名誉主席(元台湾副総統)と会談した。連氏は中国が3日に開催する「抗日戦勝70年記念式典」に参加するために北京を訪れている。中国国営新華社が伝えた。
習氏は会談の中で「日本が台湾を占領した半世紀の間、台湾同胞は抗争を続け、数十万人が鮮血と生命を投げ出した」と述べ、台湾の抗日運動を評価した。これに対し連氏は「同じ中華民族として共に抗日戦争勝利を記念するのは、血を浴びて外国の侵略と圧迫に抵抗した悲壮な歴史を追想するためだ」と述べた。
◎日中戦争で日本が戦ったのは共産党ではなく国民党
一方、台湾の馬英九(ば・えいきゅう)政権は、中国が「抗日戦勝の主役は共産党だった」とする動きを、歴史の歪曲として強く警戒している。というのも、日中戦争で実際に日本と戦ったのは、当時の中国大陸の一大勢力で、後に台湾に逃れた国民党軍だからだ。第二次世界大戦後、国民党と共産党は内戦に突入し、勝利した共産党軍が中華人民共和国を建国した。
親中派で知られる馬英九総統も、「国民党が抗日戦争を主導したという史実の歪曲は許しがたい」と訴え、台湾当局の中国式典への参加を禁止していた。しかし、連氏は馬氏に背いて訪中を敢行。こうした連氏の行動は台湾内からも批判されている。
連氏は2005年に訪中して当時の中国国家主席である胡錦濤(こ・きんとう)氏と会談し、歴史的な「国共和解」を成し遂げた。その後は台湾政界と中国とのパイプ役となり、「中国の指導者とは連戦を通さないと会えない」とまで言われる、筋金入りの親中派だ。
◎「反日」を旗印に、中国と台湾が共闘する動き
前述した習氏の「日本統治時代、数十万人の台湾人が殺された」という趣旨の言葉に、「そんな事件があったの?」と感じた人もいるかもしれない。この発言のもとには、2005年「抗日戦勝60周年記念」行事における、胡錦濤前国家主席の発言があると推測される。
その発言とは、「日本が台湾を侵略占拠していた50年間、台湾同胞は絶えず反抗し、65万人が犠牲となった」というものだ。今回の会談でもこれに習い、習氏、連氏ともに「抗日」を強調し、その戦いで「中華民族全体の勝利」を得たと位置づけ、中台が共闘する動きを見せている。
しかし、胡氏の言う「65万人」という数字には何の根拠もない。日本が統治した約50年間に、武力蜂起などで1万数千人の台湾人が犠牲になったという説はあるが、日本の統治は人道的だった。日本は、台湾を統治した半世紀の間に教育やインフラなどに巨額の投資を行い、今の台湾の繁栄の礎を築いた。日本の統治が人道的であったことは、現在の台湾が親日国であることからも分かる。
ちなみに、1947年に台湾人が反中国・反国民党を訴えて蜂起した二・二八事件では、国民党政府によって約1カ月の間に1万8千人〜2万8千人ともいわれる台湾人が殺された。それこそ、「悲壮な歴史」だ。
中国共産党は立党100周年の2021年までに台湾を吸収することを目指している。真に台湾の未来を思うのであれば、国際秩序の流れに逆行する中国に擦り寄るのではなく、日米を含む中国以外の国と連携して台湾を守る体制を固めなくてはならない。(真)
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2015年4月号記事 検証 日本の統治 vs. 欧米の植民地 アジアを繁栄させた日本
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◆五輪エンブレム使用中止 批判の中にも「愛」は必要
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2020年開催の東京オリンピックの公式エンブレムをデザインしたアートディレクターの佐野研二郎氏は1日、エンブレムの使用中止を申し出た。ベルギーのデザイナーが、自身がデザインした劇場ロゴと類似しているとして、訴訟を起こしていた件だ。
佐野氏は、「模倣や盗作は断じてしていない」と一貫して説明している。だがネットやメールなどでの批判が止まず、「これ以上は、人間として耐えられない限界状況だ」と、取り下げを決断したという。大会組織委員会も「国民の理解を得られない」と判断し、使用中止を決めた。新国立競技場の建設計画の白紙撤回に引き続き、組織委は大きく信頼を失墜した形だ。
◎ネット上で匿名のバッシング
この騒ぎに、ある種の既視感(デジャヴュ)を感じないだろうか。
佐野氏の模倣疑惑は、ベルギーのデザイナーがネット上で指摘したことを皮切りに、サントリービールのトートバッグの模倣や写真の無断転用など、いずれもネット上で匿名で指摘され続けた。
これは、小保方晴子氏がネット上でSTAP細胞論文の不自然な点を匿名で指摘され、その後、マスコミの一斉バッシングも加わって論文の撤回や理化学研究所の退職に追い込まれた経緯とよく似ている。
佐野氏は1日の夜、自身の事務所ホームページに次のように記した。
「残念ながら一部のメディアで悪しきイメージが増幅され、私の他の作品についても、あたかも全てが何かの模倣だと報じられ、話題となりさらには作ったこともないデザインにまで、佐野研二郎の盗作作品となって世に紹介されてしまう程の騒動に発展してしまいました」
「毎日、誹謗中傷のメールが送られ、(中略)家族や無関係の親族の写真もネット上にさらされるなどのプライバシー侵害もあり、異常な状況が今も続いています。(中略)繰り返される批判やバッシングから、家族やスタッフを守る為にも、もうこれ以上今の状況を続けることは難しいと判断し、今回の取り下げに関して私自身も決断致しました」
この文面からは、佐野氏が身の危険さえ感じていることが見て取れる。佐野氏が盗作を行ったかどうかは分からないが、これだけ騒動が大きくなってしまっては、佐野氏の今後の仕事にも支障が出るだろう。
◎批判には、相手に対する「愛」が必要
ネット上での匿名の批判の激化が発端となって、職業上の道もほぼ断たれてしまうような事件が増えている。佐野氏や小保方氏に限らず、発言の一部が独り歩きしてバッシングを受ける人もいれば、政治家にも失言で失職する人もいる。しかし、そうした人たちの行為は、職を奪われ、家族にも危険が及ぶような仕打ちを受けるほどのものだろうか。
ネット上で匿名で疑惑を追及している人たちの心理の中には、「悪を正す」という気持ちもあるだろう。しかし一方で、「成功者への嫉妬」もくすぶってはいないだろうか。そこに匿名性が加わることで、批判が過激になり、相手への配慮が乏しくなる面があるのではないか。それは、批判の対象が一人の場合、“集団リンチ"のような形になってしまう。
疑惑追及をすること自体は悪いことではないが、「敵に塩を送る」という故事もある。戦国武将の上杉謙信が、敵だった武田信玄の領民が苦しんでいることを知り、塩を送って苦境を救ったという逸話だ。批判にも、相手に対する「愛」が必要だ。(泉)
【関連書籍】
幸福の科学出版 『小保方晴子博士守護霊インタビュー』 大川隆法著
https://www.irhpress.co.jp/products/detail.php?product_id=1493
幸福の科学出版 『小保方晴子さん守護霊インタビュー それでも「STAP細胞」は存在する』 大川隆法著
https://www.irhpress.co.jp/products/detail.php?product_id=1144
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2015年7月2日付本欄 「STAP細胞はやはり存在する」 小保方氏守護霊が悔しさを吐露
http://the-liberty.com/article.php?item_id=9852
2015年10月号記事 新国立競技場問題 下村博文文科相の責任を問う - The Liberty Opinion 8
http://the-liberty.com/article.php?item_id=10067
◆特許移転にも課税 国民が税金を納めたくなる低税率を
http://the-liberty.com/article.php?item_id=10125
G20と経済協力開発機構(OECD)に加盟する約40カ国が、グローバル企業の過度な節税を防ぐための対策を固めた。9月のG20財務相・中央銀行総裁会議やOECDの最終調整の後、11月のG20首脳会議で採択される見通しだ。
グローバル企業の一部は、カリブ海にあるケイマン諸島やバミューダ諸島(いずれもイギリス領)など、税率が低い租税回避地(タックスヘイブン)に、特許などの知的財産を移して節税対策をしていると言われている。
◎企業の節税への対抗策
今回、固まった対策は、大きく4つの柱からなることを、1日付日経新聞が報じている。
一つ目は、タックスヘイブン対策だ。タックスヘイブンに別会社をつくり、そこに特許を移転。本社はその別会社に特許使用料を支払うことで所得を減らし、所得税の支払いを抑えている企業が存在する。このような実体のない会社との取引にも課税するという。
二つ目は、二重課税対策だ。本国と進出国に二重課税されているとして、企業が国と裁判で争うことも多い。そのため、課税している2国が協議し、最長2年で紛争を解決することを定める。
三つ目は、ネット企業への対策だ。ネット企業が、進出した国で倉庫しか持たなかったとしても、その国で収益を上げた場合は、課税できるとした。今までは、米アマゾン・ドットコムなどは法人税を納めていない国もあったという。
四つ目は、透明性の確保だ。企業の節税対策を行う税理士などに、当局への報告義務を課すことになる。
◎低い税率で、国民が喜ぶ国へ
確かに、儲けている企業は税金を払う義務があり、行き過ぎた節税は脱税と紙一重だ。しかし各国は、企業が節税対策に労力を使うような高い税率を課していることについて考える必要がある。
例えば、現在、日本では、所得に対して累進課税を採用している。所得が195万円を超え330万円以下の場合、税率は10%だが、これが4000万円を超えると税率は45%にはね上がる。これでは、富裕層になろうと努力する人が減り、ほどほどの成功しか目指さない国民ばかりになってしまう。そうなれば国がじわじわと衰退に向かうだろう。
また日本は、税金そのものの税率は低くとも、年金や健康保険など様々な名目で「税金」を取られるため、全てを合わせた税率は世界でも高水準。ただ、それだけの税金が必要になっているということは、政府が非効率な経営を行っていることを意味するのではないか。
もし、政府がフラット・タックスを導入し、収入にかかわらず、所得税や法人税を一律で1〜2割程度の低い税率にすれば、国民も労働意欲が湧き、企業も節税のためにあの手この手を使うこともなくなるだろう。そうすれば、結果的に国家の財政も安定する。
納税から逃げるのではなく、「税金を払うことは国民の義務」と思って、積極的に納税する国民を増やすためにも、政府は「小さな政府」「安い税金」を目指すべきだ。(泉)
【関連書籍】
幸福の科学出版 『松下幸之助 日本を叱る』 大川隆法著
https://www.irhpress.co.jp/products/detail.php?product_id=101
幸福の科学出版 『「未来創造学」入門』 大川隆法著
https://www.irhpress.co.jp/products/detail.php?product_id=1050
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2015年10月号記事 マイナンバー制度って何? 財産に対する監視に反対の声を - The Liberty Opinion 4
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2015年8月16日付本欄 NISAにも税金を取ろうという思惑!? 投資で得た利益に税金を課すな
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