中立国の悲劇を学ばない左翼の安保論
http://the-liberty.com/article.php?item_id=10155
安全保障関連法案をめぐる攻防が、大詰めを迎えている――。
安倍晋三首相は、同法案を来週17日に参院本会議で採決し、可決させる方針を示した。これに対し、法案に反対する左翼陣営の運動もヒートアップ。先週、国会前で行われたデモでは、警察発表で約3万人(主催者発表は12万人)が集まった。
左翼陣営が国防力の強化に反対する論理の一つに、「非武装中立論」がある。「非武装中立論」とは、軍隊や同盟を持たないという考え。かつて存在していた社会党が、公然と掲げたこともあり、現在でも左翼勢力の一部が主張している。
だが、中立論は現実を無視したものであり、左翼陣営は侵略を受けた国の悲劇から何も学んでいないと言わざるを得ない。
中立国のベルギー・オランダは侵略される
かつてオランダの支配を受けていたベルギーは、1830年に独立運動を起こし、39年のロンドン条約により、永世中立国になった。しかしその後、第一次世界大戦、第二次大戦ともに隣国・ドイツに侵略され、第二次大戦中には占領された。中立国にもかかわらず、ベルギーは2度の侵略を受けたため、中立政策を放棄した。
また同じく、第二次世界大戦が起きる前、中立を宣言していた国がある。それはオランダだ。同国女王のウィルヘルミナ女王は1939年、中立を守り抜くことを国内外に宣言。もし、ドイツが侵攻してきた時には、国境沿いで中立を示したサインを渡し、ドイツ軍に引き返してもらうつもりでいた。
だが、ドイツはオランダの中立をあっさりと無視し、ロッテルダムを空爆するなど、同国を占領。約30万人のオランダ人を強制労働させ、オランダの女王をはじめとする王族や政府は、イギリスへ亡命した。戦後、オランダは中立政策をやめ、NATO(北大西洋条約機構)に加盟した。
中立国の教訓で、国連は集自権を認める
第一次世界大戦、第二次世界大戦ともに、中立国は他国に操られたり、蹂躙(じゅうりん)されたりするなど、多くの国民が塗炭の苦しみを味わった。この反省などにより、第二次世界大戦後に発足した国際連合は、一国では平和を守ることはできないと判断したため、集団的自衛権を認めた。
左翼が主張する「非武装中立」がそれほど優れた考えであれば、とっくに世界は中立国で占められているはずだ。だがそうならないのは、ほとんどすべての国が「非武装中立は空想である」と見抜き、自存自衛の体制を整えている。
その点、日本国民は侵略を受けた国の教訓をもっと学ぶべきだ。そうすれば、国防の大切さを認識することにつながるであろう。(山本慧)
【関連記事】
2015年9月10日付本欄 高知 普通課高校に全国初の「自衛隊コース」 公益性の高い教育が日本を守る
http://the-liberty.com/article.php?item_id=10153
2015年9月6日付本欄 元最高裁長官の「安保違憲」発言 国民の幸福に資する憲法を
http://the-liberty.com/article.php?item_id=10140
2015年8月26日付本欄 安保法制のデマは明治時代にもあった
http://the-liberty.com/article.php?item_id=10105