朝鮮半島の分断は日本のせい? 中谷防衛大臣が韓国でバッシング
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南北分断は誰の責任か。それは日本だ――。そうした議論が大真面目に行われる韓国で、中谷元防衛大臣がバッシングを受けた。
このほど韓国を訪問した中谷大臣は、韓国の国防大臣との会談で、朝鮮半島有事における自衛隊の役割について、「韓国の有効な支配が及んでいる範囲は南北軍事境界線(38度線)より南側だ」と述べ、北朝鮮への自衛隊の活動に韓国側の同意は不要であるとの認識をほのめした。
これに対し、韓国メディアは批判的に報じ、朴槿恵大統領も「自衛隊の韓半島進駐はあり得ない」と述べた。
今回の発言が批判されたのは、韓国内では「北朝鮮は自国の領土である」との認識が強いためだ。そのため、北朝鮮への自衛隊出動も韓国の同意が必要と主張している。その批判的な報道の中には、日本の統治にまでさかのぼる誤った論旨のものもある。
南北分断は日本のせい?
最大手紙の朝鮮日報は、「南北分断は日本のせい、中谷防衛相の発言は許せない」との見出しが躍るコラムを掲載した(23日付日本語電子版)。
同紙は、朝鮮半島が分断されている直接的な原因として、ソ連軍の半島への介入を指摘しつつも、「突き詰めれば日本の帝国主義侵略から始まった」と主張。
その上で、「19世紀末、日本帝国主義の朝鮮侵略は、軍隊の派遣から始まった。(中略)南であれ北であれ、韓国の同意なき『日本軍』の韓半島侵入は容認できない」とした。
しかし果たして、「南北分断の原因が日本にある」との歴史観は正しいのか。
ヤルタ会談で南北分断が決定的に
ヤルタ会談に臨む英首相のチャーチル(左)、米大統領のトルーマン(中央)、ソ連の最高指導者のスターリン(画像はWikipediaより)。
日本が明治時代に朝鮮半島に進出した理由は、ロシアの南下が脅威だったためだ。
ロシアが半島を占領すれば、九州とは目と鼻の先の距離。日本はその脅威を排除するため、1904年の日露戦争を戦い、逆に、半島を統治した経緯がある。
その後ロシアの体制がソ連に変わるが、半島への関心は衰えなかった。
大東亜戦争中の45年2月、アメリカ・イギリスとの首脳会談(ヤルタ会談)で、ソ連は、半島を連合国の信託統治にすると決めた。
8月8日に突如として対日参戦を表明すると、翌9日には、日本軍がいた現在の北朝鮮を攻撃。
一方のアメリカは、主力部隊がフィリピンにいたため、半島に押し寄せるソ連軍をけん制できず、北緯38度線を境界として南北を分割統治しようとソ連に打診。
ソ連はこの提案を受け入れ、その後、半島北部に金日成による傀儡(かいらい)政権をつくった。
日本を"悪役"にすれば、統一しやすい?
つまり、朝鮮半島が分断された原因は、ロシアの領土欲がきっかけであり、今も分断が続くのは米ソ冷戦の名残である。未だに統一されていないのは悲劇的ではあるが、その責任を日本に転嫁するのは正しくない。
韓国で最も盛んな平和教育は、半島の統一に関するものであるという。そこには「民族の宿願」がこめられているが、一部の教育には“日本を悪役"にすれば、統一を促しやすいという“悪意"に基づいたものもある。
韓国は、半島を分断させたのは「共産主義」であって、日本ではないことに気づくべきだ。誤った歴史観が、日韓の対立を招いている。(山本慧)
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