赦されることのない罪とは 第15回
≪子を探す父の声≫
昔、アメリカ南北戦争の終わり頃、ペンシルバニア州で、大きな戦いがありました。二人の将軍の指揮のもと、北と南に分かれて、ペンシルバニアの大きな草原で戦いました。本当に多くの兵士が集まって、多くの人が死んでいったんですね。南北戦争の中でも、最後の最も大きな戦いがそこで繰り広げられました、若い兵士たちは、同じ人間同士が、何のために戦うのか、何で命をかけて戦うのかよく分からないまま、激しく戦い、多くの若者がむごたらしく殺されていきました。
戦争が終わった後、戦場には傷ついて動けない人や死んだ人がたくさん残されていました。そこへ一人の人がやって来て、大きな声をあげてこのように言ったのです。「私の息子よ、どこにいるかい?私の声が聞こえるかい?」。たくさんの死体が散らばっている広い戦場の中を、「息子よ、お父さんが来たんだよ」と息子の名前を叫びながら、何時間も息子を探し回りました。
そうやって、この人が探し続けていると、ある所から「お父さん、お父さん、ここにいます!」という返事が聞こえてきました。その声を聞いたとたんに、そのお父さんは声のする方へ全速力で走り寄っていきました。子供を見たくて、生きている子に会いたくて、走って行ったのですね。そして息子を抱きかかえて、ただ抱きしめて、「さあ帰ろう、家へ帰ろう」と言いました。その父親は、もう死にかかっている子供を抱いて、家に帰ろうと言ったのです。「ふるさとへ帰ろう、父と一緒に」と・・・。
皆さん、この世界でいろいろな苦難とか悲しみがあったとしても、迫害や困難があったとしても、覚えて下さい。私たちの天の父なる神様は、皆さんの名前を呼んで探していらっしゃるのです。自我の戦場となったこの世界で、傷つき倒れそうになっている私たちを、神様は探し出して、天にあるふるさと、神様と共に住む永遠の住まいに導いて下さるのです。死ぬほどの苦しい経験をするかもしれません。しかし神様はみなさんのことを、決して忘れてはおられないのです。
両親が子供を忘れることがないように、天の父なる神様はあなたの名前を、手のひらに書いて皆さんを呼ばれます。