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序論 : キリスト再臨についての8つの誤解
この世界の道徳が想像を絶するほど堕落し、資源が涸れ、自然災害が頻繁に起こり、不治の病が流行するにつれ、この世の終わりが近づいているという声を多く聞くようになりました。クリスチャンだけでなく世界中の人々が、終末について関心をみせ始め、その数が年々増加しつつある時代に生きています。
再臨はとても重要なことであるため、新約聖書だけでも331回言及されています。過去や現在、そして未来において、これより重要なことはありません。そのため、イエス様は誰も疑念を抱いたり、誤解したりしないよう、確かに再臨の約束をされました。「あなたがたのために、場所を用意しに行くのだから。そして、行って、場所の用意ができたならば、またきて、あなたがたをわたしのところに迎えよう」(ヨハネ14:2,3)。
神様の人類のための完全な救いの計画は、イエス様が再臨され、私たちを天へ連れて行ってくださるまでは実現しません。しかし、キリストの再臨はこの地球の歴史上にどのように臨むのでしょうか?この質問に答える前に、まず私たちは再臨についての聖書の確かな教えを理解しなければなりません。これは最も重要なことです。なぜなら今日、再臨に関する間違った教えが、多くのクリスチャンたちに炎のように広がっているからです。
弟子たちがオリブ山の上で「主の再臨と世の終わりには、どんな前兆がありますか?」(マタイ24:3参照)と聞いたとき、イエス様が「誰もあなた方を迷わすことができないようにせよ」と答えられたことに注目しなければなりません。主の言葉に表れている確かな暗示は、主の再臨に関する間違った教えが終末時代に多くなるという事実です。
そして、終末時代となった今、キリスト教界には主の再臨に関する深刻な誤解が広まっています。今日の数百万のクリスチャンに何の検討もなく受け入れられ、キリスト教界において思いもよらぬほどひどい教理的混同の要因になっている神学的質問が1つあります。それは世界の終わりにキリストがどんな方法でこの地に降臨されるのかという質問です。たくさんのクリスチャンに、キリストが秘密裡に空中再臨されるという教え、いわゆる秘密携挙(The secret rapture)説が広く受け入れられています。携挙説を唱える人たちは、イエス様が患難前に義人だけを秘密裡にそっと天に連れて行ってくださると言います。
そして、秘密携挙説を信じるクリスチャンたちは、これから地球上ではおびただしい衝突事故が起きることを予想しています。飛行機の操縦士やバスや自動車の運転手が、秘密携挙によってある日突然消えてしまったら、ものすごい事故が次々に起こるだろうという空想小説のような話を信じているのです。
しかも、そのように信じているクリスチャンがかなり多いという事実に、私たちは驚かずにはいられません。また、秘密携挙説は“ディスペンセーション主義”または“未来主義”を支持する牧師たちによって教えられている預言解釈と結び付き、様々なかたちの誤解と混乱を生み出します。ではまず、秘密携挙論者らが作り出した終末論のシナリオを見てから、彼らの主張を8つに分け、1つずつ分析してみましょう。