福音の道しるべ 10 事務所に飾られていたユリ
Ⅱ.聖所に関する最初の幻
シナイ山の頂上から、神はモーセに、天の聖所に関する幻をお与えになり、原型にのっとった幕屋を建てるようにとお命じになった。「彼らは、天にある聖所のひな型と影とに仕えている者にすぎない。それについては、モーセが幕屋を建てようとしたとき、御告げを受け、『山で示された型どおりに、注意してそのいっさいを作りなさい』と言われたのである」(ヘブル8:5)。
創世記3章において、神は、単純化した聖所の儀式を通して、アダムとエバに贖いの計画を啓示されたのであった。この事は、創世記3章の20節、21節に記述されている。神はアダムとエバに死と苦しみを、地には呪いを宣告なさったばかりであった。アダムは自分の妻をエバと名づけたが、それは、「すべての生けるものの母」という意味であった。ほんの少し前に死を宣告されたアダムが、なぜ、このような楽観的な名を彼女につけたのだろうか? アダムが妻の名前をつけたのは、罪を犯す前ではなく、犯した後のことであった。この行為をとおして、私たちはアダムの信仰をかいま見ることができる。
「主なる神は人とその妻とのために皮の着物をつくって、彼らに着せられた」(創世記3:21)。
皮の衣を作るためには、動物が殺されねばならなかった。彼らの裸の体を覆うために、生き物が犠牲となったのであった。彼らを皮で覆われたときに、主は、次のような説明をなさったはずである。将来、救い主の義の衣が、彼らのように罪を犯して、光の衣を失った多くの人を覆うであろうと。アダムたちのために犠牲となったその動物の死に、彼らは神の贖いの計画を見たことだろう。アダムは、自分の罪のために神の小羊が殺される時を、信仰の目で見たことだろう。